むなぐるま

アメリカ在住の研究者(の卵)による日常観察・オピニオン系Blog

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April 30, 2004

「元人質、誘拐犯への同情を示す」

昨日は元人質の郡山サン、今井サンの記者会見があった。これについての海外の通信社の記事がなかなか面白い。どれも、元人質が国民や政府から批判されているという前提で書いているのだが、その扱いが微妙に違う。
ロイター電(たとえばこれ)の方は、自らの行動を弁護した点を強調しているが、APでは、2人が誘拐犯を弁護している点に注目している。英紙ガーディアン(電子版)に載った版の書き出しでは、

They were menaced with guns and knives and held hostage for more than a week. Still, two Japanese who were kidnapped in Iraq expressed sympathy for their captors Friday, calling them ``soldiers'' and ``resistance'' fighters in their first public comments since their release.

短い文章だが、この事件に対して日本の多くの人が感じている違和感の一部を的確についていると思う。誘拐され、何日間も軟禁されても、なお犯人の行動に同情できるというのは、普通の誘拐事件では考えにくい事態。それから、このAPの記者は、彼らが犯人を「兵士」とか「レジスタンス」とか呼んでいるという、重要な単語のチョイスもまっさきに指摘している。元人質の政治的立場がこうして世界に伝えられるのは意味があると思う。彼らは人質と言うよりは人間の盾なのだから。ニューヨークタイムスのオオニシ記者はどう伝えるのだろう。
 ちなみに、毎日新聞の英語版に載った記事の見出しも"Ex-hostages tell press that captors just 'ordinary Iraqis'"となっている。本紙の方でも「元人質、誘拐犯は『普通のイラク人』と記者団に語る」とでも見出しをつけてほしいものだ。

今日のアメリカのニュースは、イラク刑務所の虐待事件でもちきり。戦争では、軍紀が乱れてこういう状態になることは珍しくないとは思うが、これはアメリカの対外イメージに大打撃だろう。

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Tracked on May 2, 2004 9:29:27 AM

Comments

日本のメディアは、

「一部マスコミ、北朝鮮拉致被害者より元人質への同情示す」

という感じでした。

わたしの家では日経をとっているのですが、人質の記者会見
の記事が1面ベタと社会面半分、対して拉致被害者の集会
(6000人参加、デモはもっと多かった模様)は対面の社会面
3分の1、という感じでした。
しかも記者会見の内容は、外国人ジャーナリストの「自己
責任」論への疑問、というのをそのまま垂れ流ししたような
感じでしたね。

Posted by: 木靴 | Apr 30, 2004 11:03:57 PM

この元人質の記者会見、どうも腑に落ちない部分が多いですよね。いろいろな事実がやがて明らかになるとは思います。拉致問題は、今は難しい局面ですが、風化させてはいけない問題だと思っています。

Posted by: むなぐるま | May 1, 2004 8:58:39 AM

>誘拐され、何日間も軟禁されても、なお犯人の行動に同情できるというのは、普通の誘拐事件では考えにくい事態。

「ストックホルム症候群」なんてのは珍しい現象でもないと思いますが…
#ちなみに現状の私は「人質連中は思想的に偏向はあるけどそれ以上にまぬけ」という立場です。

Posted by: 内藤 | May 1, 2004 9:50:02 AM

>内藤さん
そうですね。「ストックホルム症候群」てのは知りませんでした。勉強になります…。でも、この人たちはイラクに行く前から日本政府やアメリカに反感を持っていたわけで、誘拐事件の心理的ファクターだけでは説明がつきませんよね。というか、元人質に好意的でない人たちはそこのとこを説明してもらいたいと思っているんじゃないでしょうか。よくわからないですね。
 この事件については、周囲のアメリカ人にもよく聞かれます。なんで日本人は被害者に同情しないのか、とか。正直、今の時点では事実関係が少なくて、いろいろ推測しても後で無駄になると思うんですが、聞かれるし、気にもなるので、考えをまとめてみようと思って書いています。それから、NYTなどの「自己責任」批判のキャンペーンには非常にうさんくさいものを感じますが。

Posted by: むなぐるま | May 1, 2004 10:36:54 AM

(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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