むなぐるま

アメリカ在住の研究者(の卵)による日常観察・オピニオン系Blog

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July 08, 2004

「一票の重み」を感じるとき

今朝、在外投票の投票用紙が届いた。日本での投票日が近づいてきて、そろそろいくら速達で送っても間に合わないかと思って、やきもきしながら待っていたのだが、今朝になって速達で配達に来た。早速、郵便局に向かう。前から決めてあった候補者の名前を書き、投票用紙を2つの大小の封筒に順に入れる。投票用紙は日本の投票締め切り、すなわち日曜日の午後8時までに選管に着かなければ無効となってしまう。微妙なタイミングだが、とにかく出来るだけのことはしようと思い、FedEx の一番早いサービスで送ることにする。午前中のうちに投票用紙は最寄りの空港へ向かう。何とか期日までに着いてほしいと願う。
私は「在外投票」はこれで3回目なのだが、今回から領事館での投票と郵便投票が選べるようになり、だいぶ楽になった。(参照:外務省の在外投票サイト)しかし、私の住んでいるところから領事館は遠いので、今回も今まで通り郵送で投票することにした。

それにしても、この郵送投票も意外とお金がかかっている。まず、初めての場合、領事館で「在外選挙人証」の手続きをすると、日本の選挙管理委員会から手元に選挙人証が送られてくる。これがないと投票できない。私の今回の場合は、この選挙人証がすでに手元にあるのだが、選挙期日が近づくと、日本の選管から投票用紙の申込書が送られてくる(1)ので、この申込書と選挙人証を一緒にして日本の選管に送り返す(2)。すると、投票用紙が速達で返ってくる(3)。それから、送られてきた投票用紙を選管に送って(4)、投票日前に投票用紙が届けば完了となる。短期間で書類が日本と居住地(私の場合米国)を2往復するわけで、そのうち、(2)から(4)は短期間の間のやりとりなので、速達を使うことになる。私の場合、今回は少しケチって(2)を普通のエアメールにしたおかげで、投票用紙到着がぎりぎりになってしまった。やはり(2)から(4)は速達にするのが安全だ。領事館で投票すると(2)から(4)がワンステップでできるのだが、やはり投票用紙は全部まとめて日本に速達で送り、そこから各地の選管に速達で送っているようなので、これもお金がかかっている。一票当たり、郵便料金だけで30ドルから、下手すると70ドルくらいかかっているのではないだろうか。

このような手間もお金もかかるプロセスを実際にやってみると、とにかく一票を投ずることの重さを実感させられる。もちろん、インターネット投票などが出来るようになれば、この辺の経費が節約できるのだろうが、今のところは、これだけの手間をかけても、投票が出来ることに対しての驚きやうれしさの気持ちが先行する。住んでいるのは米国だが、やっぱり国籍は日本人なんだなあと実感する。将来、万が一アメリカ国内の治安・政情が悪化したり、日米関係が悪化したりしたとき、自分の身柄を保証してくれるのは(究極的には)日本の国家なのだから。一方、納税や年金の支払いなど、日本国民としての義務は海外にいてもついてまわる。投票によって、政治に参加するということは、自分にとってはそうした国家との関係を確認する儀式のような気がしている。

ここの訪問者の方に私の意見を押しつけるつもりはないのですが、棄権だけはしないで下さいね。一票の権利を行使しましょう。

ところで、一票の重みといえば、永住外国人に地方参政権を与えるかどうかがまた論争になっているようだ。私としては、まだやってるのという感じがする。この問題は5年ほど前にも法案が出たのだが、この法案は通したら面倒なことになるとその時思った。これこそ、政治の根幹に関わる大事な問題。この問題を論ずる上で、「外国人が大勢帰化してきたら乗っ取られるのでは」と心配する向きがあるが、基本的に移民国家ではない日本では、移民政策を大きく変更しない限り、大きな問題にはならないと思う。この問題は、結局、何やかや言っても日韓の二国間問題である。「永住外国人」という制度自体が、戦後に日本に残った在日の人達のためにつくられた特例的な制度なのだから、この問題は、在日の人達の「日本国籍を取らないまま日本の政治に参加したい」という感情に配慮して彼らに参政権を与えるかどうか、ということが中心にあるのだ。そこで、もし現状のまま参政権を与えたら、それは戦後の特殊な状況で生まれた「永住外国人」制度を恒久化することになる。(「三国人」ではないが)法的に「日本人」ではない、第三のカテゴリーを次の世代まで残すことになる。それは後々面倒なことになると思う。平和なうちはいいけれど、もし戦争やら何やらで個人が国家を必要とするようなシチュエーションになった場合、そのような第三のカテゴリーの人達の運命を国家は面倒を見るのだろうか、と想像をふくらませざるを得ない。そのような中途半端なカテゴリーをつくって結局法的差別を裏付けるようなことになったら、在日の人達にとっても本意ではないのではないだろうか。究極的には、もし在日の人たちが、一人の国家の構成員として政治に参加したいんだったら、国民としての権利を(差別なく)すべて受け、また国民の義務もすべて引き受けること、つまり帰化するしかないのではないかと思う。(この問題について考えを整理するのにすごく役に立った記事を紹介しておきます。)ともあれ、そのような根本的なことを考えずに韓国の大使に外国人参政権を約束しちゃう民主党は、やっぱりまだ政権を取る用意はできていないと言わざるを得ない。

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Comments

むなぐるま様
お久しぶりです。
外国人参政権の問題、全くおっしゃる通りだと思います。
鄭大均著『在日・強制連行の神話』(文春新書)という新書が6月に刊行されていますが、多分日本の政党や政治家の人達は、彼の丁寧な議論など読んだり、あるいは文献を自ら調べたり全くしないのでしょうね。
朝鮮人の日本への渡航史は日本現代史の重要な一部分なのだから少しは調べてみればいいのにと思いますが。鄭大均さん(彼も今年だったか、帰化したと聞いています)、それから彼に先立って先年亡くなった金英達(大野英達)さん(北朝鮮の人権問題で活動しているNGO・RENKの創立者で主要なメンバーでもありました)などの方々が在日の歴史をまともな方法で追究・解明してきました。
鄭大均さんの結論は、参政権は日本国籍取得(帰化)で獲得すべきだという結論です。
これが歴史的にも政治的にも最も穏当な方針だと思うのですが、日本の政党や政治家はそう考えていないようです。
それにしても日本では、マスコミが怪しげな輿論調査で「民主党躍進」と「自民退潮」を予測しています。しかしそれぞれの政党の国家の基本政策に関して検証したような記事はほとんどみられません。まるで株式の予想というより、プロ野球の順位予想のような塩梅です。(これも来年からは1リーグになってしまいそうな流れです! ひどすぎる。)
選挙について付け加えれば、溜池通信の吉崎達彦さん(http://tameike.net/)らが冷静に分析していますが、大体今回の参議院選挙で政権が変わる訳がないことを全く等閑視しています。だから、むなぐるま様は「うーん」と思われると思うのですが、日本では投票率はあまり期待できないのではないでしょうか。(これは11日を待たないと分かりませんがね。)
私は先月中に期日前投票を済ませました。

Posted by: I love さぬきうどん | Jul 9, 2004 4:44:00 PM

>さぬきうどんさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
鄭大均さんの「帰化」論は、雑誌に載ったものをどこかで読みました。この問題は、日本人の側から言っても在日の人達の感情的な反応をあおるだけという側面があって難しいのですが、在日の立場から考えても「帰化」すべきという鄭さんの論を興味深く読んだのを覚えています。リベラル的な「日本はマイノリティに寛容な社会か」という切り口だけでは割り切れない問題だと思います。日本の政治家は、60万人の新しい有権者を作って自分たちの味方にしたい、という位にしか考えていないんでしょうが。
 それから、参議院選挙の度に、参議院の意義については考えされられます。政権交代がないんだったら、何のための選挙なのか。衆議院よりも個々の政治家の個性を生かせる場と言うことであれば、尚更増元候補のような方はぴったりだと思うのですが。
 それにしても、ネットでのマスゴミ不信は相当なものですね。私も日本にいたら「世論調査は民主党へ」キャンペーンに協力していたと思います。
 ちなみに、私の投票用紙はどうも期日までに届かないようです。残念ですが…。

Posted by: むなぐるま | Jul 10, 2004 1:58:12 PM

在日、韓国・朝鮮人の方々(の親や祖父母)のほとんどが、「強制連行」=「徴用」ではなく、時には、密航までして日本にやってきたということは、ネットの情報を中心に知ってました。当時、法律的には日本人だったので、私の亡き母が女学生時代に、軍事工場にかり出されたのと法的には同じなのではないかと思います。

それと、在日外国人の選挙権の問題が絡んでいるということまでは、考えが及ばず、今回眼の開かされた思いがしてます。

Posted by: tito | Jul 12, 2004 12:35:46 PM

(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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