米民主党大会:3日目
エドワーズ氏の演説。まず奥さんが登場、彼が地元の教会に関わったり、ボランティア活動をしたりという庶民性をアピール。また、結婚27年という円満な結婚生活をアピール。(これは保守層に安心感を与える。)「結婚記念日は毎年ウェンディースで祝っています。やっぱり、どこに行くかじゃなくて、誰と行くかですよね」とかいうエピソードも披露。彼自身の演説では、ブルーカラーの父、共働きで彼を大学に送った母が紹介される。画面に映った両親は、アメリカのどこにでもいそうな普通の人たち。この辺りのイメージ戦略は、うまくはまっていた。
政策も、税金、健康保険、教育などの国内問題ではさすがに強みを発揮していた。毎日の生活に苦労している庶民が聞いたら涙が出るような内容。私もそんなに豊かでない家の育ちなので、彼のレトリックには少し心が動く。でも、彼が支持しているのはアメリカの庶民だから、雇用回復=保護貿易主義とつながる。そうすると必ずしも私の味方ではない、と思ったりして(当たり前か)。そう、彼は典型的な保護貿易論者というのは覚えておいた方がいいと思う。どちらかというと自由貿易主義のケリー氏とどう折り合いをつけるのだろうか。
それから、「強さ」を打ち出すため、テロ戦争継続を表明。「アルカイダよ、お前達を打ちのめす」とか言っていたが、さわやかなイメージの彼が言ってもあまり説得力がないという評判だった。
「本当に、打ちのめす、っていう感じではないですね」
「アルカイダを告訴するんじゃないの(彼は弁護士出身)」
とか冗談を言われていた。確かに、そういう印象。同じ台詞をチェイニー副大統領が言ったら100倍怖いだろうな、と思う。それがいいか悪いかは別にして。このへんの印象が後でどう響いてくるか。
ちなみに、イラク政策では、米軍の増派、防衛予算の上乗せを表明。民主党内のタカ派でも文句がつけられないような内容になっている。朝日新聞はがっかりだろうな。それから、誤解のないように書いておくと、米民主党内ではイラク戦争反対派はもちろん多い。熱心な党員の多い党大会参加者の間では、9割がイラク戦争反対、という。しかし、穏健派の国民を説得しないと選挙は勝てないから、今は上から押さえ込んで中道イメージを打ち出している、と言うわけ。党内でくすぶるリベラル層の不満をどうするか、という問題は潜在的にはある。でも、今回の選挙では、民主党はとにかく「打倒ブッシュ」で団結しているから、乗り切れるだろうとケリー氏は踏んでいる。とにかく、今のところ、民主党は非常にスマートな選挙戦を展開しているとは言える。
それから、彼は上院議員になる前は大企業相手に大規模訴訟を起こして、数百万ドルを稼いだ弁護士だった。確かに、陪審員を説得するの生業としてきただけあって弁が立つが、「弁護士」のイメージはアメリカでは諸刃の剣。アメリカの中道層が彼にどういうイメージを持つかというのも鍵だろう。
演説後、ジョージア州のミラー上院議員が「彼は言っていることとやっていることが違う。彼はイラクにいる米兵を支援する予算修正案に反対した4人の議員のうちの1人だったじゃないか。言うだけなら楽だよ」と反論していた。このミラー氏、民主党所属のベテラン穏健派議員だったのだが(今年で引退)、反ブッシュ感情渦巻く民主党に嫌気がさして造反。今年は何と共和党大会に出席してブッシュ氏再選を訴えることになった。彼のような南部出身のベテラン議員が「今の民主党はリベラルすぎる」と言うのは、共和党にとっては願ってもないこと。でも、今回の民主党大会での、穏健な政策と「国民が一致団結できる党」をアピールして、共和党こそが「極右政権」というレッテルを貼るという作戦は今のところうまくいっているように思う。後は、ミラー氏のような「言ってることとやってることが違う」という反論にどれだけ応えられるか、だろう。
それから、シャープトン師。空気読めという感じだが、確かに演説はうまいな。
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Comments
日本の左派系メディアは、エドワーズ氏の企業訴訟弁護士としての顔を伝えませんね。また、大統領選の結果が日米関係にどのように影響するのかについて、テレビではほとんど語られていません。
Posted by: aki | Jul 29, 2004 11:12:27 AM
>akiさん
エドワーズ氏は弁護士ロビーの支持を受けているわけですが、確かにクリントン政権の時に多発した日本企業に対する訴訟に照らして考えると気になります。この件については別エントリに書きました。
Posted by: むなぐるま | Jul 30, 2004 12:46:53 AM