むなぐるま

アメリカ在住の研究者(の卵)による日常観察・オピニオン系Blog

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July 30, 2004

エドワーズ氏と弁護士ロビー

DNC Delegates pay $120 each to protect them from Edwards' funders (Wonkette)

今回の米民主党大会で、主催者は総額240万ドルの責任保険をかけているという。参加者1人換算で120ドル。責任保険 (liability insurance) というのは、被保険者に対して損害賠償の責任が生じたときに支払われる保険。要するに裁判沙汰になって負けたときのための保険なのだ。なぜこんなに保険が高額かというと、今回の民主党大会には特に弁護士の参加者が多いためだと噂されている。石を投げたら弁護士に当たる、というか、石を投げて弁護士に当たったら訴えられる、ということらしい。そのための保険料が1人あたり120ドル、というのはすごい。(元記事はNYTのブログのエントリ)さて、弁護士が多く出席しているのには、エドワーズ副大統領候補が元法廷専門弁護士だったことに関係がある。
ケリー/エドワーズの選挙運動に最も多額の献金をしているのは、弁護士業界である。ワシントン・ポスト(Thomas B. Edsall, James V. Grimaldi and Alice R. Crites, "Redefining Democratic Fundraising", Washington Post, Jul. 24)ではこう報じている。

Lawyers, especially trial lawyers, are the engine of the Kerry fundraising operation. Lawyers and law firms have given more money to Kerry, $12 million, than any other sector. One out of four of Kerry's big-dollar fundraisers is a lawyer, and one out of 10 is an attorney for plaintiffs in personal injury, medical malpractice or other lawsuits seeking damages.

興味深いのは、ケリー氏に献金している弁護士の多くが、大企業、病院相手に個人を代表して損害賠償を求めるタイプの弁護士だということ。その代表が、フレッド・バロンという法廷弁護士で、ケリー/エドワーズの選挙本部長に最近就任したのだが、彼も環境汚染絡みである市が石油会社を相手取って起こした訴訟に関わったばかりである。(バロン氏についてはこのブログのエントリが詳しい。)このワシントン・ポストの記事には、他にもケリー陣営に10万ドル以上献金した人のリストの中で、たばこ会社やら医者の誤診に関わる訴訟に関わった弁護士の名前がぞろぞろ出てくる。
 さて、なぜこういう損害賠償訴訟の弁護士がケリー/エドワーズを支持するかというと、エドワーズ自身がまさにこの手の弁護士だったからである。この件についてABCテレビのジャーナリスト、ジョン・ストッセルがレポートしている。このレポートによると、エドワーズ自身が損害賠償訴訟に多く関わっていて、特に医者の誤診に関して何百万ドル級の賠償金がかかった大型訴訟に関わっていた。エドワーズ氏が特に力を入れていたのは、赤ちゃんの中風に関わる訴訟。「医者が帝王切開をしていれば中風は防げた」という議論で医者を訴えては勝訴していたという。実はこの論には現在医学的な裏付けはないそうだが、この手の訴訟が次々起こったためアメリカでは医者が不必要な場合でも帝王切開を選ぶケースが増えたという。(面白いのは、このレポートが放送されたとき、メインキャスターが「ABCテレビはこのレポートの内容に責任を持ちません」とコメントしたということ。ABCは民主党よりなのか、それとも彼らも訴訟が怖いのか?)ともあれ、不必要な帝王切開が増えているとしたら、出産する女性としてはたまったものではない。
 弁護士がこういう過去を持つエドワーズ氏を支持する理由の一つには、弁護士のイメージ向上があるだろう。エドワーズ氏が「私はずっと中流家庭のために戦ってきた」と演説で言うとき、その意味は上のような訴訟に関わったということであるから、同業の弁護士にとってはこれ以上の宣伝はない。(確かにたばこ会社やら石油会社相手の訴訟というといいことをしているイメージがあるが、ABCのジャーナリストが言っているように、訴訟をおそれての不必要な手続きでサービスに歪みが生じたり、訴訟対策のコストがかかったりする。また、大型賠償金が出る訴訟では、弁護士が賠償金の数%を受け取る契約になっていることが多いから、弁護士が多額の収入を手にすることは言うまでもない。)また、アメリカ政治の常として、献金には見返りがあるだろうから、ケリー/エドワーズ政権がこうした法廷専門弁護士を優遇する政策をとることも十分予想される。民主党が政権を取ったら在米日本企業に対する訴訟が復活するのではないかという懸念が出ているが、エドワーズ氏の保護貿易路線とともに、このような点も注視していく必要があるだろう。

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日本のほとんどのマスコミは、もうケリーこそが大統領選で勝つべきで、いい加減ブッシュを追い落とすべきだ、という論調に染まり切っているようです。本当にこれで良いんでしょうか... [Read More]

Tracked on Jul 30, 2004 2:53:17 AM

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