『華氏911』を批判する
今晩見てきた。うまくまとまるかわからないのだが、記憶が新しいところで書いておく。(書いた後で後悔したりするかもしれないが。)
正直、私はテレビのインタビューなどで見るマイケル・ムーアは嫌いだったし、この映画についても最初からかなり疑いの目を向けていた。しかし、映画を見終わった直後、感情的にはかなり複雑な反応をもった。それは、この映画にこめられている感情、とくに怒りはリアルなものだからだ。その怒りを見逃すことが自分には出来なかったし、見逃したくないとも思う。しかし、この映画のやり方には結局説得されなかった。
映画の中で描かれている事実は、他のメディアでも報じられているもの。例えば、ブッシュ一家とサウジ王家の親密な関係については、最近本が出ている。映画でムーアのインタビューに答えているのはこの本の著者(ウェブサイトはこちら)である。また、ブッシュ政権とテキサスの石油・エネルギー関係企業との癒着については、さんざん報道されてきた。もちろん、報道されているからといって人々の意識にのぼるかというとそうでもない。(私自身、先日Salon.comの記事を読むまではいまいちぴんと来なかったのだが。)
しかし、この映画を見ていると、ムーアの正義感というか、「この戦争はおかしい!」という怒りがひしひしと伝わってくる。ブッシュ政権の取り巻きには石油産業・軍事産業に絡んでいる人々が大勢いて、この戦争でもひともうけしている。一方、戦場に送られる兵隊の多くは貧しい家庭の子息で、不況で就職先もなくて、大学奨学金を稼ぐために志願兵となった人が多い。貧しい人々が、貧しい人々を殺す戦争。映画では、息子と娘を戦場に送り、息子を亡くした一人の母にスポットが当てられているのだが、息子を明るく送り出し、毎日星条旗を自宅に掲げる姿と、息子の訃報を聞いてただ泣き崩れるばかりの姿のコントラストが涙を誘う。こういうアメリカ人の家族は確かに多いだろうから、「プロパガンダだ」と糾弾する気持ちよりも、この一人の母親のリアルな悲しみややりどころのない怒りを思わずにはいられない。また、戦渦に巻き込まれる無辜のイラク市民の映像も多くある。これは理不尽だよな、とやはり思う。個々の論点は(局地的には)正しいし、怒りももっとも、とは思う。
しかし、この映画は結局プロパガンダなのである。優れたプロパガンダかも知れないが、この映画の限界はそこに尽きる。上に挙げたような事実は、すべて、ブッシュ大統領が諸悪の根元であり、秋の選挙で大統領が交代させなければならない、という目的のもとに集められ、提示されている。特殊効果やら音楽やらを駆使しながら、とにかくこの「真実」を伝えることがこの映画の目的なのだ。この映画を擁護する人達(たとえば町山智浩氏)などは、この映画で現政権が倒れるんだったらそれでいいんじゃないか、と言う。でも、私はそれはやっぱり違うと思う。この映画は、ムーアの意見を主張するのに一生懸命で、見ていて、なんだか自分の感情をいじられているような気分になってくる。映画の途中で、アメリカの「テロ警報システム」(あの5色のやつ)は、政権がアメリカ人の恐怖心を煽ってやりたいことをできるように利用しているのだ、とムーアは言う。それはそうだろう。でもこの映画も結構露骨に観客の感情を煽るじゃないか。そりゃあ、自分の息子が戦争で死んだら悲しいのは当たり前。でも、そういうみえみえの演出でこっちの涙を誘おうという手が見えると、そうはいかないぞ、と反発したくもなる。とにかく観衆を力ずくで説得しようとする、そういう映画なのだ。それに対して、私は、怒りはわかるが、ムーアよ、そういうおまえは何様なのか、とも思う。マイケル・ムーアはそういう心理がわからないか、まったく無視してこの映画を作っているのだ。
ふと思うのだが、この映画を見て、「ブッシュは何て悪人なんだ」とコロリと信じちゃう人達というのは、現政権のプロパガンダを額面通り受け取ってるブッシュ大統領の支持者の人達と、本質的に変わりないんじゃないだろうか。その相似性こそが問題というか、アメリカの貧しさだと思う。この映画には、「燃やせ!燃やせ!」と叫ぶメタル系のバンドのCDをかけながらイラクの戦場に赴く(そして無実のイラク市民を「燃やす」かもしれない)若者が登場する。また、間違いのテロ警報がでた田舎町で、「この町でテロの標的になりそうな建物は?」と聞かれて、「ウォルマートかな」と答える町の人が出てくる。これは私が外国人だからかも知れないが、こういう人達を見ていると、アメリカって精神的に貧しいよな、とかいう感慨を一瞬持ったりする。町に守るものがウォルマートしかないの? アメリカ人は「歴史のない」国民だよな、とか。しかし、私の日常生活を見ていて、ウォルマート以上に大事なものがない町の人々の暮らしと比べてそんなに豊かかと考えると、そんなに差がないんじゃないかと疑ったりする。この映画が糾弾するものと、この映画を見る人々がもっているものとは、実はそれほど変わりがないのではないだろうか。この映画は、アメリカを映す鏡なのだ。多分、ムーアの意図するとことは違うんだろうが、この映画の一番の教訓はそこにあると思う。(意地悪な言い方をすると、マイケル・ムーアがいわゆる「バカでマヌケなアメリカ白人」のステレオタイプを体現したような外見をしているのは偶然ではない。)
さらに、もっと深刻なことをいえば、アメリカ人のほとんどすべて、いや、先進国の人々のほとんどすべてが、この映画で批判されている石油・エネルギー産業のお世話に少なからずなっているのである。アメリカで暮らしていると、あまりのモノの豊かさに、「こんなに豊かでいいんだろうか。何か、絶対おかしいよ」と思うことがあるが、実際のところ、どこかで何かが狂っていて、多少(たくさん?)悪いこともしているから、アメリカに住むみんなが豊かな暮らしを享受できるのだろう。広い視野で見れば、そのような豊かさを享受している一人一人が、この戦争に荷担しているともいえるのではないだろうか。この映画のロジックは「ブッシュ憎し」でまとめてあるから、そういう問題には触れない。ブッシュ大統領に対する意見さえ一致していれば、見ている人が楽しめる安全さがある。でも、この映画が語っている真実というのは、そこから自分の足場が崩れていくようなものではないだろうか。まあ、こういう問題は今に始まったことでもないし、ものを考えたことがある人なら一度はどこかで考える問題のはずなのだが。この映画を見に来るアメリカ人のティーンエイジャーがその辺に気がつくんだったらこの映画も価値があるのかも知れない。
この映画、現在世界中に広がっている「反ブッシュ感情」に乗せて多くの人が見るだろうし、日本でもこの映画の尻馬に乗っかって大騒ぎする輩が出てくると思うが(いや、すでに出てきている)、そういう人達に問いたい。この映画を見るまで、イラク戦争やら、人間社会の貧富の差とか、そういう問題について考えたことがなかったの? もしその答えが「ノー」だとしたら、それこそが一番悲しいことだと思う。この映画に踊らされるような人々には、もっと自分でものを考えろよ、と言いたい。まあ、私もこの映画を見ていろいろ考えさせられたのだから、(ムーアの意図はどうであれ)その点においてこの映画は見る価値のある映画なのかもしれないが。
TrackBack
Listed below are links to weblogs that reference 『華氏911』を批判する:
» 米兵は「最後の人間」か? from HPO:個人的な意見 ココログ版
本を読むのが遅いので、3週間あまりかけてようやく「歴史の終わり」を読了した。この3週間の間にリアルは当然動いているわけだ。平成16年5月6日現在の「今」の様子をみて感じるのは�... [Read More]
Tracked on Jul 10, 2004 8:07:00 PM
» 「ブッシュの悪」で「アメリカの悪」を覆い隠す『華氏911』 from REPLICA
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=145 華氏911についての宮台真司の論考。僕は華氏911は結構面白く観たし、今でもその気持ちに変わりはないが、どこか手放しで面白いと言い切れない、もどか�... [Read More]
Tracked on Aug 26, 2004 6:02:57 PM
» 『華氏 911』(マイケル・ムーア) from 0 1/2
『華氏 911』(マイケル・ムーア) 戻る ☆アングル☆ ━ [Read More]
Tracked on Sep 3, 2004 8:32:13 AM
» 今こそ「華氏911」について率直な感想を述べておこう。 from ■■ 渋谷発! “ 宝毛 ” ~ takarage ~...
今さら…という感も否めないが、例の放送中止騒動もあったので、ここはマイケル・ムーア監督の「華氏911」について、俺が感じた率直な感想を述べておこうと思う。
映画を見て最�... [Read More]
Tracked on Oct 26, 2004 7:43:24 PM
Comments
むなぐるまさん、こんにちわ、
先日は、ほんとうに生意気なことを申しまして失礼いたしました。
ご旅行はいかがでしたか?
しばらく前に書かせていただいた記事をトラックバックさせていただきましたが、最終的にはアップするときに削除してしまった箇所があります。
「米国が貧困の問題を真剣に解決しようとしないのは、兵士を確保するためではないだろうかと、疑いたくなる。」
やっぱ、ほんとにそうなのでしょうか?West Virginiaとか以前行きましたが、かなりほんとに貧困層がいますよね。学校の先生が「いまだに穴を掘ってくらしている人がいる。お風呂にはいったことがないひとがいる。」とかいっていて、この人はあきらかにスーパーリベラルだったので、まじかよ、とか思ってあまり信じていなかったのですが、結構結構らいしいですよね。
本題と外れるコメントで恐縮です。「華氏...」それでも見てみたいです。
Posted by: ひでき | Jul 10, 2004 3:32:06 AM
“ひでき”さんのコメントも含め、興味深かったです。今、お酒が入っているので、これ以上は差し控えます。
《記憶が新しいところで書いておく。(書いた後で後悔したりするかもしれないが。)》
とあるので、こんなコメントでもあった方がいいかと、というか、自分も、内輪のメーリングリストとかで書いた後で、反応が無い(少ない)と後悔したりするので、書かせていただきました。
Posted by: tito | Jul 10, 2004 12:49:41 PM
>ひできさん
アメリカの貧富の差は本当にすごいですよね。私の住んでいる町でも、中流から上が住んでいる地域と、貧しい層が住んでいる地域がはっきり分かれていて、まったく別世界のようです。
>「米国が貧困の問題を真剣に解決しようとしないのは、兵士を確保するためではないだろうかと、疑いたくなる。」
米政府は表向きにはこういうことは絶対言いませんが、現実、兵隊に取られるのはほとんど貧困層という一面があります。最近、徴兵制復活が論ぜられたのは、貧困層ばかりがイラクに送られるという不公平を是正し、戦争のことをみんなが自分の問題として考えようという意図で始まったものだといわれます。私もこの考えは賛成。しかし、アメリカでガソリン税を増税せよというのと同じで、正しくても絶対通らない法案だとは思いますが。
一方、アメリカのほとんどの大学にはRTOC(予備役将校訓練隊)というのがあり、こちらの方にはさまざまな層の学生が志願して訓練に参加していますね。私のいたことのある大学でも、エリートの学生がけっこう参加していてびっくりしました。
『華氏…』はいろいろな意味で面白い映画、と言うか社会現象だと思うので、ぜひご覧下さい。
これからも気軽にお立ち寄り下さい。
Posted by: むなぐるま | Jul 10, 2004 1:27:33 PM
>titoさん
心配頂き恐縮です。このブログ、基本的に私が書きたいことを書くという方針でやってますが、今回の記事も、まあ書くべきことは書けたんじゃないかと思っています。これからもよろしくお願いします。
Posted by: むなぐるま | Jul 10, 2004 1:30:41 PM
むなぐるまさん、貴方の全てを疑い何ものにも容易に追従しない真摯な態度、特にウォールマート位しか守れるものが見当たらない田舎町に住んでいるご自分への批判さえもがあっぱれレ!胸を打ちました。
NYでもこの映画に対する話題は騒然で、ほとぼりが冷めた頃暇つぶしに見に行くかもしれませんが、
私としては永遠のヒーロー、マーロン ブランド氏の追悼も兼ねて、皆さんに”ゴッドファーザーシリーズ“又はデ、ニーロ氏の"ワンス アポンタイム イン アメリカ”などを見てもらったほうが余程、世界情勢が見えてくると思います。そう、全ての世界情勢のシナリオは闇の帝王により支配されているのであり、ケネディ、ゴルビー、ブッシュちんも皆、操り人形にしか過ぎません。
彼らも心底では、泣きながら道化師を演じているに過ぎないのかもしれませんね。
あらゆる角度から物事を眺め、批判し自分なりの見解を深めていく精神を、平和な田舎町でも持ち続けている貴方にNYよりエールを送ります!(ちなみに近頃NYは第2のシチリアと化し、訳も無く発砲事件が相次ぎ街は、仁義無き戦いの毎日です。)
敬具
ドンナ、コルレオーネより
Posted by: Donna Corleone | Jul 10, 2004 10:11:57 PM
ご無沙汰いたしております。
自分はまだちゃんとくだんの作品を観ていないので軽々には賛否を明確にできないのですが、町山さんの日記、そしてむなぐるまさんのレポートなど見るところ、良くも悪くもムーアもアメリカ国民なのかな、という思いはしました。
ムーアはイラク戦争については確かにNOを突きつけていますが、その理由はぶっちゃけて「アフガンでタリバンやアルカイダをやっつけてビンラディンをとっつかまえるほうが先なのに、ブッシュが勝手にイラクに攻め込んだから」というものなわけで、町山さんも指摘してるように、必ずしも「反戦」でなく「対テロ戦争」という戦い自体は支持しているように感じます。どうもそのあたりの意識のギャップは、日本でのムーア賛同者、支持者(いわゆる反戦平和主義・どんな戦争もダメゼッタイ!なひとが多いのですが)は触れていないし、分かってて言ってるのかな、という気はしています。
一応、どんなものか見に行こうとは思います。
Posted by: 木靴 | Jul 10, 2004 10:52:53 PM
>ドンナ・コルレオーネさん
ご訪問ありがとうございます。おほめ頂いて恐縮です。
少し上の文章に補足したいのは、「アメリカの貧しさ」ということです。アメリカ人がこの映画を見たとき、CDを聴いてる若い兵隊(本当に若者ばかり!)やら、テネシーの「ウォルマートしかない」と言った人を見ても、とくに何も感じないと思います。でも、私は「何だか寂しいよな」と感じる感性がある。それは、私が日本で育ったことに関係があると思っています。もちろん、現代の日本社会だっていろんな意味でアメリカに似ているから(どんな田舎にもコンビニがありますよね)、果たして自分が持っているものは何だろうと疑問を持つ。でも、この「寂しさ」というか、「貧しさ」を感じる感性や、その反対の「豊かさ」は何だろうという疑問は常に持っていたいと思うんですよ。この感覚を大事にしたいと思っています。
NYですか…。私はニュージャージーに住んでたことがあるので、よくNYに遊びに行きました。「仁義なき戦い」っていうよりはSopranosなんじゃないですか。(私は見ていないけれど)
またお越し下さい。
(一部修正済)
Posted by: むなぐるま | Jul 10, 2004 11:40:22 PM
>木靴さん
こちらこそご無沙汰です。いつもサイト拝見してます。
ムーアの戦争に対するスタンスなんですが、確かにインタビューなどでは「テロ戦争は賛成、イラクは反対」って言っていますね。この映画からは、その真意は測りかねるのですが…。イラク戦争反対で多数派をまとめ上げるためのレトリックなのか、それとも心からそう思っているのか。彼の本などを読めばその辺がはっきりするのかもしれませんが。それから、映画でも彼は何度も「星条旗」に対する想いを表明しているし、兵隊に出て行った貧しい家の出身の若い兵隊たちについても、「理不尽な戦いだからこそ、彼らの(兵としての)仕事はわれわれへの大きな贈り物だよ」と言ったりしています。この辺の感覚は、日本の反戦平和主義者とはまったく違うのは確かです。
この映画についてはもう少し調べてみます。
Posted by: むなぐるま | Jul 10, 2004 11:49:42 PM
こんばんは、むなぐるまさん。先日は書き込みありがとうございました。
おっしゃるようなプロパガンダ性の全面強力開示みたいなのがもう見えすぎて見えすぎて見に行く前から気分が悪くて未だに見に行ってません。躊躇しすぎだなって思いますが(^.^;;
見にいく気にならない理由のひとつはネタ的には知っていることが多すぎるということもあります。私個人の興味関心だけでなくカナダでは昨年秋にその名も「陰謀論」というテレビ番組をCBC(BBCのカナダ版)が流していたりして、なんかこう、こういう話もあるのだなと思って現状を追うというのが標準になっているので、今さら何をと思う人は多勢いるみたいです。で、それについて先日新聞の投稿欄で「これはあの広大なアメリカの真ん中にいる人たちへのwake up callなんだ」、だからどうなるのかそれを見ていよう、というのをみました。
と、私が不思議に思うのは日本も情報から見た位置的にはカナダ的だと思うんですよね。それなのになぜかようなまでに日本の中で話題にする人がいるのか。冷静にアメリカの成り行きを見ながらこちらの対応を考えればいいだけの話だろうに、私には一緒に動揺してがっているように見えたりします。そういう先のことまで考えてさらに見に行きたくなくなっている私です(^.^;;
Posted by: Soredaなおこ | Jul 15, 2004 2:37:59 AM
>Soredaなおこさん
コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、ネタ的にはすでにご存じのものが多いと思いますよ。カナダや日本では、ハリバートンとチェイニーとか、そういう話は主要メディアでも出ているし話題になっているでしょう。一方、アメリカでは、確かに「戦時体制」というか、アメリカ軍を不利にするような情報はニュースで流すべきではないという風潮はありますね。Fox Newsがまずそう言い出して、他が追随しているという感じでしょうか。でも、ネットとか見ればそういう情報はけっこう入ってくるものなのですがね。やっぱり、自分に都合が悪いこととか、自分と違う考えの人の意見は聴かないというメンタリティが問題だと思います。
そういう意味では、マイケル・ムーアも同じですよね。あの映画は、ミドル・アメリカのブッシュ支持者が見た後で意見を変えるようなものじゃありません。「この映画を見てブッシュ政権支持者の考えが変わったら」と思っている人は、たまにFox Newsでも見てミドル・アメリカの人がどんな考え方をしているのか少し勉強したら、と思います。記事にも書きましたが、アメリカ中西部・南部ではFox Newsやら保守系ラジオ番組の影響力は相当強いです。ビル・オライリーがアメリカ・ケーブルテレビのNo.1ニュースキャスターなんですよ。他にも、ラッシュ・リンボーとか、ショーン・ハニティとか。彼らは、すでに大々的なアンチ・ムーアのキャンペーンを張ってますから、この映画を最初から見ないと決めている人は多いし、見たとしても、ラジオやらの反論を聞いて、ムーアの言うことは信じられないという結論を出すことでしょう。これは、ムーア自身にも問題があると思います。どこかの評論家が書いていましたが、彼は、自分と反対の意見の人の意見を変える説得術を決定的に欠いていると思います。
こういうアメリカの「草の根保守メディア」は、今考えると結構マイケル・ムーアと似ていると思うんですよね。それは、彼ら両方とも「大手メディアは真実を伝えていない」というメッセージを持ってのしあがってきたということです。不思議なもので、ムーアにとってはリンボーやらは「Fox Newsなどのブッシュ大統領の手先」なのですが、リンボーなどにとっては、ムーアは「リベラル・メディアがケリーを当選させるために仕組んだ陰謀」なのです。
私が少々しつこくムーア関係のエントリを書くのは、多分この映画をヨイショする連中が日本でも多く出てくるのを予想して、予防線を張っておくためです。早野透氏あたりが「ポリティカにっぽん」なんかでムーアについて書くんじゃないですかね。目に浮かぶようです。おっしゃる通り、こういう時こそ、アメリカの成り行きを見極め、冷静なチョイスをできるように考えることこそ大事だと思いますが。
Posted by: むなぐるま | Jul 15, 2004 7:49:51 PM
追記:
ムーアの批判ばかりしましたが、『華氏911』で満足されなかった方には、"Fog of War" をお勧めします。前に私がこのブログに書いた記事を参考にしてください。
../../2004/04/fog_of_war_.html
Posted by: むなぐるま | Jul 15, 2004 8:07:38 PM