むなぐるま

アメリカ在住の研究者(の卵)による日常観察・オピニオン系Blog

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July 16, 2004

アメリカで『風雲!たけし城』がカルト番組になっている

「料理の鉄人」など、アメリカのテレビで日本の番組がカルト的人気を得ることは今までもあった。ホットドッグ早食いの小林尊クンなどもある意味そうだろう。で、最新の日本発ヒット番組は何と『風雲!たけし城』らしい。Slate.comの記事から。
No Pain, No Gain (Slate)
アメリカでのタイトルは "Most Extreme Elimination Challenge" (略称MXC) という。この番組を制作・放送しているチャンネルはSpike TVというのだが、このチャンネル、"First Network for Men" というだけあって、若い男性向けの番組を24時間放送していて、「マグガイバー」の再放送があったり、お色気番組があったりする。その中で、この評者はMXCを「奇妙に芸術的で、純粋に共感を呼ぶ」唯一の番組として紹介しているのだ。
最近、アメリカのテレビは「リアリティーTV」流行り。一般の視聴者が参加して、いろいろなゲームやら課題にチャレンジさせて勝者を決めるというフォーマットだ。一般人の素のリアクションやら脚本のないドラマなどを楽しむ番組。日本では『電波少年』あたりから人気があったが、アメリカでは3、4年前からこのジャンルに火がつき、ネットワークのチャンネルはこの手の番組を毎日のように放送している。で、『たけし城』の映像はこのアメリカのテレビ番組のムードにぴったり合うらしい。

米国版"MXC"は、オリジナルをかなり編集して制作されている。会話はすべてこちらのコメディアンが吹き替えているし、たけし軍団や挑戦者の名前はすべてアメリカ人の名前に変わっている。そのまんま東演ずる家老は「ケニー」。画像として面白い部分を集めただけの編集なので、最後に城が乗っ取られたかどうかもわからない。でも、ラッシャー板前が両足に馬をくくりつけられてまた裂きにあったり、顔から泥につっこんだりというのには翻訳は必要ない。ばかばかしい映像には国境はないのである。(それにしても、この番組、今になって見直してみると、泥やら水やらに突っ込むシチュエーションが多いよな。)

ところで、この紹介記事では、筆者が映画監督ということで、けっこううがった見方をしている。まず、殿様役をしているのが今は国際的な映画監督になった北野武(筆者は「小津やスコーセシに比肩する」と紹介している)だということをしっかり押さえている。これは、この番組をバカ・コメディとして見ているアメリカの視聴者は見逃してもおかしくないところ。監督としての北野武は、キタノがオオシマやらイマムラほどポピュラーなフランスほどではないかも知れないが、アメリカでも外国映画ファンには「その男凶暴につき」「ソナチネ」「HANA-BI」などが知られつつある。また、記事でも紹介しているが、今月には『座頭市』も公開される。この記事では、その北野武が昔はビートたけしというコメディアンだったことなど、彼の日本でのキャリアを紹介している。また、彼が『たけし城』で演ずるキャラは「(ダンテ『神曲』の)ヴァージル役」(つまり、地獄の案内人)で、防具はヘルメットしか着用していない一般参加者が次々とおまぬけなゲームで苦闘するのをすまして高みから見下ろしている重要な役割なのだと指摘している。これって、たけしのコメディの本質を突いていないだろうか。

さらに、たけしのことを、ハイ・カルチャーとロー・カルチャーが混在しているという意味で、クエンティン・タランティーノ監督と比較している。この比較はけっこう的を射ている。タランティーノが『バトル・ロワイヤル』の大ファンなのは有名な話で、日本のヤクザ映画などB級映画の影響は彼の "Kill Bill vol. 1" にも色濃く出ている。『たけし城』を作りながら映画も作るという感覚は、タランティーノにはよく理解できるのではないだろうか。(タランティーノ自身、リアリティTVで最も人気のある『アメリカン・アイドル』の審査員を務めて話題になった。)幸か不幸か、このタランティーノ=たけしのラインが、現代の日本の文化とアメリカの文化の関係を考える上で見逃せない強力な流れの一つになっているとさえ言えるのではないだろうか。

こう見てくると、現代のアメリカ文化と日本文化は思わぬところでつながっているし、似ていることも多い。この評者は、この番組ではわざわざテレビに出て恥をかくことこそが最大の賞品で、それは今のアメリカでも同じ、と言っている。アメリカ英語ではにわか有名人の期限は15分("Fifteen minutes of fame")という言い回しがあるが、それに引っかけて"Fifteen minutes of shame" こそが賞品、だとまとめている。まあ、それもそうなのだが、体を張ったコメディとか、キッチュな衣装とか言うたけしの芸風がこれだけアメリカでも受けるというのは面白い。この紹介記事にしても、細かく見ていくとけっこう誤解があるのだが、"First Network for Men" の番組を見てこれだけのうんちくを傾けることができる批評家がいるというのは、今のアメリカで日本文化がどう理解されているかという問いの一つの答えになっていると思う。

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Listed below are links to weblogs that reference アメリカで『風雲!たけし城』がカルト番組になっている:

» 風雲!たけし城 in India from 子育て 赤ちゃん "キッズ 王国"
 「風雲!たけし城」という番組をご存知だろうか。1986〜89年の放映なので、既に15年以上前のなつかし番組だ。ビートたけし最盛期の視聴者参加、とい... [Read More]

Tracked on Mar 10, 2005 1:58:02 AM

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 なんだかよ、やからなんか、言ったつもり、ぜんぜん無いのに、部屋がアップグレードされたのでご機嫌だ。  目の前に公園、その前には教会なんだから、かなりいけてる... [Read More]

Tracked on Mar 30, 2005 6:37:08 AM

Comments

また、早速コメントさせていただきます。

《防具はヘルメットしか着用していない一般参加者が次々とおまぬけなゲームで苦闘するのをすまして高みから見下ろしている重要な役割なのだと指摘している。これって、たけしのコメディの本質を突いていないだろうか。》

これを読んで、『たけしのTVタックル』という番組にも当てはまると思いました。アメリカにいらっしゃるのでご存じかどうかわかりませんが、現役の政治家も結構出て、「熱くなって」議論している番組なのですが、それを、自分はボケているようで、実は、《高みから見下ろしている》というという感じも彼から受けます。

結構視聴率も稼いでいます。

『朝まで生テレビ』や『サンデープロジェクト』などから、現役政治家が、肩肘貼らない部分でも議論し合うというのが出てきた気がします。これは、今は無き『噂の真相』に“電波芸者”と書かれた田原総一郎氏の功績だと思いますが、彼の語りがだんだん暑苦しく感じられる中、タケシのある意味クールなタッチは得難いものだと思います。ミニ田原みたいな司会者はいくらでもいますが、あの、微妙なボケからは、最初確か、『たけしのTVタックル』の前に『天才・』をつけていたのも伊達じゃないという気がさせられます。

《防具はヘルメットしか着用していない一般参加者》とありますが、政治家についていうと、《防具は》期間限定でとりあえずもらったその肩書きでしょうか。

Posted by: tito | Jul 16, 2004 9:02:35 AM

今使っているBlogがβ版→正式版に移行する作業&トラブルのため2~3日閲覧・更新できない状態です。

さて、最近の日本のテレビはおばさん&高齢者に媚びていてつまらない、と書かさせて頂きましたが、そんな番組事情を2~3取り上げてみたいと思います。

「キスだけじゃイヤ!」http://www.kissiya.com/
日テレ系・読売テレビ製作の恋愛系視聴者参加番組。
一般応募のカップルが司会(島田紳助・熊谷真美)の前でお惚気トークするのは「新婚さんいらっしゃい」と同じ。
しかし、何か隠し事があるとか、片方が別の異性(同性の場合もあり)と付き合っているとか、番組内で別れを切り出すとか、そういう露骨なネタが多い。しかも番組終了後や後日談を(本人同意はあるが)隠しカメラで追跡取材している。
そこまでプライベート曝け出して良いの?と思うぐらいドロドロしている。とにかく、見ていて不快になる番組。
#ちなみに、titoさんが取り上げているテレ朝「たけしのTVタックル」の裏番組になります。フジの月9ドラマは、テレビ局も必死になって宣伝していますが、最近不振気味です。

「ロンドンハーツ」http://www.tv-asahi.co.jp/londonhearts/
マジで最悪な番組。ゴールデンタイムにここまで赤裸々にやって良いのかと思うぐらい。
若者向けだと思うけど、こんな番組好んで見る奴はろくなのがいないと思う。

「水10!ワンナイR&R」http://www.fujitv.co.jp/onenight/
例の「王シュレット」コントやって、王監督をマジ切れさせた番組。
こういう番組見ていると昔の「全員集合」や「ひょうきん族」の方が健全番組に見える。
#現実に、「全員集合」や「ひょうきん族」はDVD化されてバカ売れしてます。

「ザ・ジャッジ! ~得する法律ファイル」http://www.fujitv.co.jp/judge/
「行列の出来る法律相談所」http://www.ntv.co.jp/horitsu/
元祖・本家争いをした法律相談系のバラエティ番組。ともかくドロドロ系のえぐいトーク連発。

「めちゃ×2イケてるッ!」http://www.fujiint.co.jp/MECHA/
コント番組も数少なくなりましたけど、良くも悪くも「ひょうきん族」のDNAを受け継いだ番組。
「数取り団」なんかの体張ったコントもありますが、人気アイドルの「モーニング娘。」のなかで一番の馬鹿を決めるために学力テストやって珍回答晒すなんて事もやっている。
今月の24~25日にフジ系の27時間テレビがありますが、今年はこの番組がベースに。
27時間100kmマラソンなど、モロに日テレの24時間テレビパクった企画もあって、正直見る気がしません。

「トリビアの泉」http://www.fujitv.co.jp/trivia/みたいに、馬鹿馬鹿しくも為になる(しかも海外に売れる)番組もありますけど、大部分はこういうつまらない番組に時間が割かれているのが現実ですね。
#ちなみに「( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェー」は、「トリビアの泉」に於いて紹介されたトリビア(例えば「蛙は異物を飲み込んだとき胃袋を吐き出して洗う」というような役に立たないが思わず他人に教えたくなるような雑学・知識)に対して感嘆したときに押される「へぇボタン」の音を表現したものなんですよ。

ちなみに、「リアリティーTV」ですがCNNでも話題になったロナルド・トランプの番組が気になります。
日本版「サバイバー」がTBSで放映されましたけど、つまらなかったですね。

Posted by: ( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェー | Jul 16, 2004 1:40:38 PM

>titoさん
最近は『TVタックル』は見ていないのですが、結構幅広い層の人にアピールする番組というイメージはあります。普通は政治などに興味のない人からもこの番組の話題を聞いたりしますしね。でも、確かにたけしの、あの冷めた感じの司会ぶりは彼ならではですよね。私が日本にいたときは「誰でもピカソ」が結構好きでした。

>( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェーさん
日本の最近のテレビ事情のリポートありがとうございます。
最近は日本のテレビを見る機会も少なくてすっかり浦島状態です。でも、6年前にしばらくぶりに一時帰国したときに見た「ロンドンハーツ」はショックでしたねー。「ひょうきん族」で育った世代としては良質のコントを見てみたい気持ちはあるんですが。あと、「トリビアの泉」は面白そうですよね。ビデオを取り寄せてまで見たいとは思いませんが。

Posted by: むなぐるま | Jul 17, 2004 12:12:06 AM

>「誰でもピカソ」
今でもやってますよ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/pikaso/
世界の村上隆がニュース以外で唯一取り上げられる番組。
確かに、一部のフィギュアは取り上げるのに抵抗感あるかもしれませんけど、ルイ・ビトンのコラボレーションや六本木ヒルズのキャラクターなど結構おなじみのはずなのですが。
ともかく市川新之助改め11代市川海老蔵からワハハ本舗まで守備範囲の広いこの番組は結構好きです。

細木数子の毒舌交じりの占いが各局で引っ張りだこになって、TBSでレギュラー持つそうですけど、これ以上不快な番組増やしてほしくないですね。

Posted by: ( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェー | Jul 17, 2004 1:24:37 AM

「誰でもピカソ」、私も結構好きです。

10時になると子供を連れていって寝てくれという要請もあるので、いつもは見てませんが、これは思うときには子供を無理に追いやって見てます。

この番組では、渡辺満里奈さんと今田耕治君やげーじつ家篠原氏との組み合わせがいいと思っています。

『TVタックル』につては、阿川さんや大竹さんが在ってのタケシというか、監督タケシとして配役してるのかもしれませんが、「大人として」楽に見てられるという気がします

Posted by: tito | Jul 17, 2004 9:22:27 AM

(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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