【ワシントン・ポスト】対イラン政策の分かれ道 — 次はイラン?
ワシントン・ポストの記事から。
U.S. Faces a Crossroads on Iran Policy (July 19, 2004、登録必要)
この記事、次のように始まる。
The Bush administration is under mounting pressure to take action to deal with Iran -- and end the drift that has characterized U.S. policy for more than three years.いままでまったく不在だった対イラン戦略をきちんと立てましょう、というプレッシャーに現政権がさらされているという記事なのだが、"to take action to deal with Iran" という言葉の意味を考えると、要するに、肚を決めてかかりなさい、と迫られている情勢のようだ。例えるならば、9/11後のアフガン戦争が終わった頃に、「対イラク戦略を立てましょう」と言っていた状況と似たような状況らしい。このエントリには少しセンセーショナルなタイトルを付けたが、それほど的外れでもないと思う。
と言うわけで、この記事はアメリカ政治のゆくえに興味のある方は必読なのだが、少し解説。
まず、「対イラン戦略」を考えなければならないとされる背景には、イランとアルカイダの関係があるとされる。先日終わった9/11調査委員会の最終報告が木曜日に発表されるが、イランは、テロ犯人19人のうち8人をアフガニスタンから通過させていた疑いが持たれている。それも、イランを通過したという証拠が残らないように、入国スタンプを押さないと言うことで、イラン政府がどこまでテロに協力していたかが問われている。現CIA長官(代理)は、そういう証拠はないと言っているが、イラン政府は否定していないらしい。(また、ネオコン系・National Reviewの記事によると、ロンドンのアラブ系新聞、Asharq Al-Awsatは、ビンラーディンの組織のメンバーなど300人以上の指名手配テロリストがイラクに潜伏しているとリポートしているらしい。)もちろん、イランの核開発疑惑もある。
ワシントン・ポストの記事に戻ると、今日19日、シンクタンクの外交問題評議会はイラン外交に関するレポートを発表し、米・イラン関係の正常化、つまり外交による諸問題の解決を求めている。このレポートにはロバート・ゲイツやブレジンスキーなど、米政権の元外交顧問が入っている。また、イラク戦争でも反対に回ったブッシュ(父)政権のときの国家安全顧問のスコウクロフトもイランに対しての強攻策に反対している。
一方、議会の方はすでにイランに対して何らかの手を打つための法案に取りかかっていて、下院の方はイランの核開発を止めるために政府が「すべての適切な手段」を使うことを許可する決議を376-3で採択している。(この決議の用語は、イラク戦争前に武力行使を許可した議会決議と似ているとこの記事は指摘している。)また、上院では同様の決議案を夏休み明けの9月に上程するらしい。イランは「悪の枢軸」の一国なのだが、現政権の今までのイラン政策は、場当たり的で一貫性がないものだった。しかし、ここで包括的な対イラン戦略を打ち出すよう、プレッシャーがかかりつつある。
という記事なのだが、今のところ、ブッシュ政権は、選挙前に対イラン戦略を打ち出すことはしないといっているらしい。その一方で、上の記事に見るようなネオコン系の人々は、早く手を打ったほうがいい、と、政権交代(Regime Change)を含む強硬策を推進しようという気運を高めている。このワシントン・ポストにリンクしているアンドリュー・サリバンのブログでも、イスラム・テロリストとの戦いに勝つためにはイランを民主化しなければいけないと思う、と書いている。サリバンは、この「イラク問題」はこの秋の選挙の論点の一つにすべきで、両候補がきちんと自分の立場を主張すべきだといっている。まあ、サリバンもすぐに武力行使を、と言っているわけではないのだが、「イランの民主化」は必要、というのは、イラク戦争前のネオコンの発想に似ている。
この件、今のところ、選挙後まで持ち越しという見通しらしいが、まだどうなるかわからない。今週から始まる両党大会で「イラン」という単語が出てきたら、このことだと思っていい。また、サリバンが言うように大統領選の討論会でこの問題が出るかどうかもわからない。でも、このワシントン・ポストの記事の書き方だと、山場だ、という感じはする。注視しておくべき問題だろう。
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