むなぐるま

アメリカ在住の研究者(の卵)による日常観察・オピニオン系Blog

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August 31, 2004

この大統領で大丈夫?

共和党大会の開催中、ブッシュ大統領の「テロ戦争」の定義を巡ってちょっとした問題が。リベラル系の有名ブログTalking Points Memoが追っかけている。
 問題になっているのは、この1か月のブッシュ大統領のテロ戦争に関する発言。このサイトを参考に、少し時系列順に追ってみよう。

2004年7月30日・ブッシュ大統領

"We have a clear vision on how to win the war on terror and bring peace to the world."

われわれには、テロに対する戦争に勝ち、世界に平和をもたらすための明確なビジョンがある。

8月29日・ブッシュ大統領、NBCのインタビューにて。
"I don’t think you can win [the war on terror]. But I think you can create conditions so that the — those who use terror as a tool are — less acceptable in parts of the world.”

[テロ戦争に]勝てる(win)とは思わない。でも、世界の一部で、テロを道具に使うような連中が受け入れられないような条件をつくることは可能だろう。

エドワーズ副大統領候補の反応。
After months of listening to the Republicans base their campaign on their singular ability to win the war on terror, the president now says we can't win the war on terrorism. ... This is no time to declare defeat--it won't be easy and it won't be quick, but we have a comprehensive long-term plan to make America safer.

数ヶ月間、共和党が、対テロ戦争に勝つというそのことだけを中心に選挙戦を戦ってきた後で、大統領は対テロの戦争に勝てないと言った。今は、敗北宣言をするべき時ではない。簡単ではなく、すぐには勝てないかもしれないが、われわれ(民主党)にはアメリカを安全にするための包括的な長期プランがある。

8月31日、ブッシュ大統領。
"We meet today in a time of war for our country, a war (i.e., the war on terror) we did not start yet one that we will win."

今日、わが国は戦時中にある。この戦争(テロに対する戦争)はわれわれが始めたものではないが、われわれは勝利する。

8月31日、ブッシュ大統領。

I should have made my point more clear about what I meant. What I meant was that this is not a conventional war. It is a different kind of war. We're fighting people who have got a dark ideology who use terrorists, terrorism, as a tool. They're trying to shake our conscience. They're trying to shake our will, and so in the short run the strategy has got to be to find them where they lurk. I tell people all the time, "We will find them on the offense. We will bring them to justice on foreign lands so we don't have to face them here at home," and that's because you cannot negotiate with these people. And in a conventional war there would be a peace treaty or there would be a moment where somebody would sit on the side and say we quit. That's not the kind of war we're in, and that's what I was saying. The kind of war we're in requires, you know, steadfast resolve, and I will continue to be resolved to bring them to justice, but as well as to spread liberty ... There's no doubt in my mind, so long as this country stays resolved and strong and determined, and by winning, I just would remind your listeners that Pakistan is now an ally in the war on terror.

[抄訳]私が言いたかったのは、この戦争は通常の戦争ではないと言うことだ。敵は、テロリズムを武器にわれわれの意志をそごうとしている。だから、彼らをまず見つけて、攻撃しなければいけない。また、普通の戦争なら、平和条約やら、降伏やらということがあるが、今回は、固い意志が必要なのだ。だから、この国が意志を堅く、強く持ち続けるならば、間違いない。勝つと言うことについていえば、パキスタンが対テロ戦争の見方となったことを思い出して欲しい。(特に英語の最後の一文は文法的にブロークンで正確な意味は不明。)

8月31日、マクレラン大統領報道官
"This is an unconventional war with an unconventional enemy, I don't think there'll be a formal surrender or a treaty signed. ... We will prevail in the war on terrorism."

この戦争は通常の敵に対する、通常の戦争ではない。だから、公式な降伏や条約締結と言うことはないだろう。しかし、対テロ戦争において、われわれは最後には勝利(prevail)する。

この通り、ブッシュ大統領が「テロ戦争には勝てないかも」と言った一言から、大統領は釈明に追われている。対テロ戦争は「勝てるとは思わない」のか、「勝つ」のか、「平和条約締結しないから通常の意味で勝つとはいえない」のか、よくわからない。最後の大統領報道官の釈明も、winはできないがprevailするだろう、というのは詭弁のようなものだ。
 しかし、一連の発言をざっと読んでみると、これは単なる失言というだけでなく、この大統領のほとんど唯一のセールスポイントである「対テロ戦争」を戦い抜くだけの理解力・知識が彼にはあるのか、という疑問を投げかけている。テロ戦争には賛成派のAndrew Sullivanも、この大統領は「テロ戦争をどう戦うのか」という概念的な理解があるのだろうか、と書いている。「おれたちは負けないよ」だけで勝てるほどこの戦争は甘くはないのだ。
 それと、ブッシュ大統領が自らの誤りを認めたがらない、ということも関係していると思う。間違いを認めまいとしてどんどん泥沼にはまっているように見えるが。
 民主党がこの一連の映像を使ったら、結構致命的なTV広告が作れるかもしれない。ケリー候補が「私は、[イラク戦争の追加予算に]反対票を投じる前に、賛成票を投じた」と選挙演説で言った場面を、共和党員は「意見をコロコロ変える候補」というイメージを定着させるためにTV広告やら演説にフル活用しているが、今回のは、意見を変えているだけじゃなくて、本当に言ってることわかってるの? と聞かざるを得ない内容だからよけいにたちが悪い。これからの選挙戦に大きな影響があるかもしれない。

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August 30, 2004

米共和党大会1日目:タイムトリップ

オリンピックは終わったが、今週は共和党全国大会が続きます。民主党大会に続いて、感想など書いていく予定にしています。

今日は、マケイン上院議員、ジュリアーニ元NY市長と、穏健派にも人気のある共和党のスターが登場。
マケイン氏は2000年の大統領予備選でブッシュ氏と激しい争いを演じており、今年も民主党員がケリー氏の副大統領候補にしようとしたりして動向が注目されていたのだが、この2、3週間はブッシュ氏の応援演説に立ったりして、協力関係を強調している。じっさい、今日のスピーチの後(火曜日)マケイン氏は遊説中のブッシュ氏に合流。またブッシュ氏の演説(木曜日)の翌日、ブッシュ氏に同伴するのはチェイニー副大統領ではなくマケイン氏である。このため、マケイン氏がチェイニー氏に代わって副大統領候補に立つのでは、というすら立つほどの突然の蜜月関係である。(演説後のインタビューではこの噂をやんわり否定していた。)

さて、民主党大会と同様、この共和党大会でも中間層にどれだけアピールできるか、なのだが、民主党が「強いアメリカ」を強調して安心感を持たせようとしたのに対し、共和党の今日の演説では9・11のテロの後にアメリカ国民が感じた一体感、愛国心を思い出させようとしていると感じた。テロ事件の犠牲者家族が登場(ペンシルベニアに墜ちた旅客機の乗客でテロ犯人と素手で戦った人の夫人も演説した)したのももちろんだが、マケイン氏やジュリアーニ氏の演説でも「あの時、民主党も共和党もなく、われわれは皆アメリカ人だった」というフレーズを繰り返していた。

マケイン氏が「あの9月11日の朝、雲一つない快晴の日、あの恐ろしい事件が起こった…」と言ったとき、私もあの日のことを思い出していた。(私は当時ニュージャージー州在住)日本の親からの電話で起こされ、事件のことを知り、学校に行った。学校の講堂には特別にニュース番組が映されて、大勢の人々が集まる中、2機目の飛行機が衝突した。あまりにもリアリティのない画面に、なにが起こっているか把握できたのはその日のずっと後だった。

まああの事件は世界中の人々にとってショッキングだったことに違いないと思うのだが、あのときの記憶を喚起しようとしているのはわかった。ジュリアーニ氏は、事件後数日のブッシュ大統領と現場の人々との交流、ボストンやシカゴなど他の都市の市民の協力などのエピソードを紹介しながら、大統領を中心に一つにまとまったあのテロ事件の直後の雰囲気をつくろうとしていた。まあ、あの時は大統領はよくやったと思っている人は民主党にも多いと思う。

また、二人ともテロ戦争の歴史的意義を強調していた。二人とも、2001年より前のテロ事件の例などを挙げながら、9・11以後の反テロ戦争を大きな文脈においていた。「この戦争はまだ始まったばかりかもしれないが、この戦いに負けるわけにはいかない」というマケイン氏のメッセージは、選挙演説というよりは、アメリカ国民全体に、なぜこの戦争をやっているかを改めて説得するような口調だったように思う。マケイン氏の結びの文句を引用しておく。

Take courage from the knowledge that our military superiority is matched only by the superiority of our ideals and our unconquerable love for them. ... We fight for love of freedom and justice--a love that is invincible. Keep that faith! Keep your courage! Stick together! Stay strong! Do not yield! Do not flinch! Stand up! Stand up with our President and fight! We're Americans! We're Americans and we'll never surrender! They will!
このメッセージも、9・11テロの直後の混乱から、アフガニスタン戦争に向けて国全体がシフトしていった、3年前のあの頃の雰囲気を思い出させるものだった。一瞬、まるでイラク戦争など起こらなかったような錯覚に陥るほどだった。

マケイン氏の演説は結構落ち着いたもので、ケリー氏の個人攻撃はなかった。個人攻撃に陥りやすい共和党員をたしなめるような場面もみられた。(マイケル・ムーア氏を「あの不誠実な映画監督のように…」と批判したときには会場全体が盛り上がったが。彼も会場にいて、カメラに向かってピースサインをしていた。)むしろ、「反テロ戦争」の意義を強調することで中間層に団結を訴えるという方向性だった。いっぽう、ジュリアーニ氏の演説は内輪向きの性格が強かった。結構はっきりとケリー氏の「あいまいさ」を批判して、共和党員の喝采を浴びていた。まあそういう役割分担だった、ということか。

一つ、ジュリアーニ氏の演説から印象に残った言葉。「共和党の考えがいつも正しいわけではないし、民主党がいつも間違っているわけではない。でも、ある歴史の段階においては、より必要とされる考えというのがあるのではないだろうか。」さて、今のような時代に「より必要とされる考え」とは何だろうか。

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August 28, 2004

接戦になってきた大統領選

つい2、3日前に「このままでいけばケリー」なんていうタイトルでエントリを書いたばかりなのだが、世論調査を見ると大統領選はだいぶ拮抗してきた。Electoral Vote Predictor によると、ケリー氏が選挙人270人の予想に対してブッシュ氏が259人。このサイトではコロラド州が全くの同点としているが、この州がブッシュ氏に傾くとすると270対268と2票差になる。アメリカの選挙制度では選挙人1人くらいはどうにかなる。例えば、メイン州は現在ケリー氏優勢だが、州法により敗者が選挙人の一部を取ることがある。だから、これはほぼ互角のレースと言っていい。これだけ接戦になってきたのは、フロリダ州やオハイオ州に加え、ミズーリ州、アリゾナ州、ウィスコンシン州がブッシュ氏優勢となったためである。
接戦になってきた理由は、ブッシュ陣営のネガティブ・キャンペーンが効いてきたということらしい。「ベトナム退役軍人の団体」がケリー氏の軍歴には嘘があるという趣旨のテレビ広告を流して、これがここ数日論争を起こしている。この団体、ブッシュ陣営は「独立の政治団体が勝手にやっていること」といっていたが、実はブッシュ選挙本部の弁護士が関与していて辞職することになった。また、この広告の内容はワシントン・ポスト紙などが検証してほとんどが根拠のないものとわかったが、ケリー陣営がきちんと対応していないこともあって、「やっぱりなにかおかしいんじゃないか」という雰囲気が残ってしまっている。そんな雰囲気がこうして数字に表れて来ているんだと思う。

選挙戦略という意味では、経済情勢、イラク戦争などこれだけ現職大統領に不利な条件の中でブッシュ氏の数字が上がってきているのは驚異的である。一方、ベトナム戦争に行ったケリー氏の軍歴を、戦争を忌避したブッシュ氏やチェイニー氏が攻撃するというのは、なんとも後味の悪いものがある。共和党の退役軍人にも、ちょっとやりすぎではと思っている人は多い。例えば、1996年にクリントン大統領に敗れたドール氏が、ホワイトハウスから「共和党の退役軍人をまとめてくれ」と依頼されているらしいが、ドール氏は、ケリー氏を攻撃するならやらないよ、と言っている。(この件の詳細についてはこちらのワシントン・ポストのコラムが詳しい。)ワシントン・ポストには、ここ数日、「退役軍人の個人攻撃はやめとけよ」という趣旨のコラムが次々と載っているのが興味深い。それも、元軍人、あるいは上級官僚や政治家などの大物が書いているものが多い。(これこれ)一見、世論調査とは逆を行っている。

来週の月曜日から共和党全国大会が始まるが、共和党の戦略はだいたい次のようになると予想される。
○シュワルツェネッガー州知事やジュリアーニ元市長など、社会政策では穏健で人気のある政治家を前面に出し、共和党の懐の広さを見せつつ、中間層を呼び込む。
○民主党の上院議員ゼル・ミラー氏が、党の枠を越えて異例のブッシュ氏支持演説をする。多分、ケリー氏の上院議員時代の経歴を挙げながら、ケリー氏の安全保障政策の矛盾を指摘するだろう。民主党大会で、この人は「テロ戦争に真剣に取り組むというなら、なぜイラク戦争の追加予算に反対したのか?」などとケリー氏を批判していた。
○9/11テロ直後、ブッシュ大統領が見せたリーダーシップのイメージを協調するだろう。
ブッシュ氏というと、頑固というか、あいまいさのない信念の持ち主というイメージが売りなのだが、このイメージは裏返すと寛容でない、とか融通が利かないというネガティブなイメージにもなりうる。こういうイメージに対抗して、「共和党にもいろいろな人がいますよ」ということを売り込む場になるのではないだろうか。さて、どういう結果になるか。

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August 27, 2004

「チーターマン」、シマウマと再戦へ

日本、メダルラッシュですごいですね。女子マラソンは生で見ましたが、野口選手の勝ちっぷりは本当にすごかった。

さて、米国のオリンピック。さえないドリームチーム、体操ポール・ハムの誤審疑惑など暗いニュースも多い中、私の一押しニュースはこれ。
Calling for a Rematch, Cheetah Man vs. Zebra (ESPN)
「チーターマン」というのは、陸上男子200mで優勝したショーン・クロフォードのニックネーム。この1年くらいで急に陸上のスターになった。
この選手、無名時代の去年、"Man vs. Beast" というテレビ番組でシマウマと競走し2回とも敗れている。(この番組、ホットドッグ早食いの小林尊がクマと早食い競争した番組である。)当時は力はあるがスタート技術などを磨いていなかったためいい記録が出せないでいた。そころがこの番組出場後、有名コーチについてまじめに練習を始めてからめきめき記録を上げ、五輪予選で見事に100m, 200mの出場権を得た。本戦では、100mでは惜しくも4位(0.04秒差)だったが、200mでは見事優勝した。このレース、地元ギリシャの選手がドーピング疑惑で出場しなかったため、観客がブーイングの嵐を起こし異様な雰囲気だったが、見事勝利。勝った後の神妙な表情が印象的だった。

で、早速「シマウマと再戦か」という話題が。ESPNのサイトに本人のコメントは出ていないが、エージェントによると本人は結構乗り気らしい。「ショーンの体調は今までになくいい。でも、あのシマウマはショーンを避けているから…」とか。しかし、100m金メダリストのガトリンが「シマウマとは俺に走らせてくれ」といっているらしい。シマウマは逃げないで、100mでガトリンと、200mでクロフォードと是非対戦してもらいたい。

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August 24, 2004

フィッシャー氏強制退去へ

ワシントン・ポスト紙によると、日本の入管はフィッシャー氏の政治難民申請を棄却、退去強制令を発行した模様。
Japan Rejects Fischer's Refugee Bid (Washington Post)
朝日新聞は、
元チェス王者に退去強制令 救う会が執行停止求め抗告中 (asahi.com)
という見出しの付け方をしているが、ワシントン・ポスト紙の記事によると、フィッシャー氏の弁護士は「フィッシャー氏は最終的には強制退去させられるだろう」と通告されているというから、この抗告も時間稼ぎ以外の意味はないのではないだろうか。無効のパスポートを持って出国しようとした人物を拘束しない法的理由は今のところ見あたらないのだから。しかし、朝日新聞としてはこの問題も、国家が個人を不当に抑圧した事件の一つに過ぎないのだろう。

この事件については前にも書いたが、別に日本政府が積極的にアメリカに加担してフィッシャー氏を捕まえた、という証拠はいまのところないような気がする。パスポートを無効にしたのは米国で、その情報が日本の入管に伝わっただけ。ただ、ジェンキンス氏の司法取引が進行中の現在、日本政府としては下手に動けないタイミングであることは確か。日本政府にはジェンキンス氏の身分の保証はしっかりやってもらわなければ困る。それに比較して、フィッシャー氏の件はアメリカの問題である。日本が責められるいわれはないと思う。彼に同情はするが。
 この事件については、興味をなくしてしまった。
 フィッシャー氏について久しぶりに調べているときに見つけたページ。日本の若い人の、フィッシャー氏とジェンキンス氏の事件に関する意見。こういうものを読んだ時にぴったりのアスキーアートがある。
_| ̄|○

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このままでいけばケリー

米大統領選について。
共和党大会を来週に控えて、興味深い分析が。
"Writing on wall for another one-term Bush" (The Sunday Times - リンクは The Australian)
この記事(著者はこのblogにも何度か登場したAndrew Sullivan)によると、ワシントンインサイダーとして選挙分析には定評のあるCharlie Cook氏が早々と「この後、よほど選挙の基礎的な諸条件が変わらない限りケリーが勝利するだろう」と予測しているらしい。
この記事の分析内容をまとめてみる。
●勝負を決すると言われる「決戦州」のほとんどで、ケリー氏がリードを固めつつある。特に、大票田のフロリダでは47% vs. 42%とリード。一方、これらの州のうちブッシュ氏が大差でリードしている州は一つもない。南部のノース・キャロライナでもわずかにリードしているだけ。
●まだ誰に投票するか決めていない層(未決層)で、ケリー氏はブッシュ氏を大きくリード(49% x 31%)しているから、ブッシュ氏は今後の票の伸びが見込めない。
●今回の選挙での争点を聞くと、ブッシュ支持者は「テロ戦争」、ケリー支持者は経済など国内問題が1位になっているが、未決層も経済問題が1位。つまり、未決層はケリー支持者のような投票行動を見せると分析されている。(「経済が一番の争点」と言う有権者の間ではケリー氏が断然リードしている)
●前回ブッシュ氏に投票した州ではブッシュ氏のリードが減少している一方、前回ゴア氏に投票した州ではケリー氏のリードが増大している。
この結果、ブッシュ氏は数字に表れている以上に不利な情勢になっている。ブッシュ氏が勝つためには、「選挙日直前の世論調査で、大きくリードするか、少なくとも3%以上のリードが必要」とこのアナリストは言っている。

さて、ブッシュ氏が挽回するにはどうしたらいいか。選挙戦略としては、保守層にさらなる支持を訴えるか、穏健派へ手を差し出すか。どちらにしても、戦略としては手詰まりという感じがする。保守層はすでに堅くまとまっているから大きな伸びは期待できないし、穏健派も、あれだけ疎外しておいていまさら打つ手もないだろう。とすると、選挙の力学を全く変えるような「事件」が起こらない限り、このままケリー勝利、というわけである。選挙ウォッチャーとしては、票読みの段階は終わって、そんな「事件」をウォッチする段階にさしかかってきた、ということだ。

このブログの右側パネルには、州ごとの世論調査を分析したサイトのバナーを貼っているのだが、このサイトの情勢分析でも、ほとんどの決戦州でケリー氏優位となっているので、この分析とも合致する。今日の新聞では、ケリー氏の軍歴疑惑についての報道が多かったが、この一件も、ケリー氏の履歴の事実関係という側面と、容赦ない個人攻撃をするブッシュ氏の政治倫理という側面があるため、ケリー氏がよほどへまをしない限り痛み分けという気がする。実際のところ、ケリー氏陣営は「ミスをしない」ことを最優先に対応をしている気がする。サッカーに例えるなら、後半40分、1点リードのケリー氏がボールキープしながら安全第一にプレーしているという状況だろうか。

追記:大統領選関連の記事は "U.S. Election 2004" のカテゴリにまとめました。ページ右側の "Categories" からご覧下さい。

追記2:ブッシュ氏がこれ以上支持を伸ばすのは難しい、という分析はここにもある。(salon.com)

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August 19, 2004

読んでからよ〜く考えてみたい文章

最近読んで、少し引っかかった文章を二つ。

サッカー・アジア杯「反日」スタジアムの深層心理 王敏氏に聞く(毎日)
大統領は大韓民国を恥ずべき国にするつもりか(朝鮮日報・社説)

前者は、中国でアジアカップの最中に起こった反日行動について、日本在住の中国人教授(専門は「日中比較研究」)が説明している記事。後者は、韓国の一連の「過去史真相究明」(「反日法」)についてついに野党議長が辞任する事態になったことに関する社説。日本人としてこれを読んで、考えてみてもあまり結論が出ないので、読み直してもう一度考え直したいと思った。というわけで、このエントリは結論らしきものがないまま見切り発車で書いている。
まず、前者の記事。インタビューを受けているこの学者、少しくせ者だと思った。この記事の「意図」としては、あの事件にかかわっている中国人をヒューマナイズする、つまり同じ人間として、どうしてああいう事態になったのかを想像してみよう、ということなのだろう。でも、この記事を読んで納得する人はいるのだろうか。まず、「中国で行われているのは愛国平和教育であって、決して反日教育ではありません」と言って、これは「自強教育」という、「一人一人が己を磨いて国家を強くするという思想」伝統なのだという。「自分を強くしなければ再び同じ目に遭うかもしれない」から、近代史の侵略の歴史を強調するのだということだ。でも、はっきり言ってそれはやはり歪んだナショナリズムなのではないだろうか。日本の幕末では、「攘夷」もあったが「開国」もあった。自国への誇りを他国との協調に結びつける考え方があった。やっぱり、このグローバル化の時代に「攘夷」をたきつけている中共の政府、というのはおかしいんじゃないかと思う。
 一番気になるのは、この人の説明は、読めば読むほどはぐらされたような気分になるということ。この人が言いたくても言えないことが何か、を補いながら読む必要がある気がする。その「言いたくても言えない」最大の部分は、中共政府の国家の方向性に庶民は口を出せない、言論の自由もない、という冷たい現実なんじゃないかなあ、と思う。この記事の結びで、教授は「私たちは互いに知っているようで、実は『知ってるつもり』の知識なんですね。そろそろ等身大で認め合う時だと思います」とか言っているが、でも、中国には政治言論の自由がないという壁にぶち当たったら、その後の対話が続かないんじゃないか、という気がする。
 対話の相手の立場を「想像」せよ、というのはよく言われる。それは正しい姿勢だと私は思う。しかし、この記事を読む限り、中国相手にはそのプロセスは非常にやっかいな気がしてくる。なんとも不愉快な文章だ。

前者の記事が異教徒に対する護教文書という趣がするのに対して、後者は韓国人の韓国人による自己批判である。こういう記事が出てくること自体、韓国は言論の自由がある民主主義の国、ということで、多少希望がある気がする。また、こんな記事がさまざまな反日記事とともに日本語に訳されて日本人がほぼリアルタイムに読んでいる、ということはすごいことなのではないかと思う。
 「反日法」を巡る動きはnews_from_japanのakiさんが詳しく書いておられる。(ここここ)akiさんの記事の通り、最近の一連の動きは「現在の価値観で過去を糾弾する」、民主主義国家とは思えないような愚かな行動である。また、私は韓国の現在の政治についてよく知らないのだが、政争の匂いがぷんぷんする。歴史を一時の政局のために使って、この後絶対取り返しのつかないことになる、とも思う。
 この朝鮮日報の社説は、題名で「大統領は大韓民国を恥ずべき国にするつもりか」と言う通り、この問題の核心についてはっきり批判している。過去を振り返れば誰もが現在の価値観では間違いとされることをしているし、それをことさら取り上げたらだれもが犯罪人の息子・娘になってしまう。そんなことをしたら自国に誇りが持てないし、他国の恥ではないか、と。こう書いてみると、日本の「新しい歴史教科書をつくる会」が左翼の歴史観を「自虐史観」として批判したのと相似形であることに気がつく。次のような箇所は、お決まりの反日レトリックはともあれ、論説委員が自分の感情に素直に、なおかつ知恵を絞りに絞って書いた文章なのだろうと思う。

 日本による植民地統治下において外国に亡命せずこの地で暮らしながら日帝の激しい弾圧を全力で克服し、解放後には左右の流血を伴う衝突と韓国戦争を経験しながら韓国のどの家庭も傷のないところはないと言っても過言ではない。父子間に、兄弟間に、親戚間に「抗日と親日」「親共と反共」が混在してきたのであり、数百万の小説を書けるくらい気が遠くなるような無数の素材がどの家庭にもある。 
 
 今日の大韓民国は私たちの祖先がそうした悲しみと痛みを胸にしまい込み、これ以上他人の圧政下で生きることはよそう、私たちも他人がうらやむように生きてみようと気を引き締め閉じていた目を見開き臥薪嘗胆の思いで積み立ててきた記念塔だ。その涙に濡れた記念塔をこの国の大統領とその追従者たち、そして政略に政略で対抗しようという野党がともに打ち壊そうと乗り出しているのである。 
 
 先進国の隊列に約10年ほど入った後、再び滑り落ち、再度入り込んだと思いきやまた落ちることを繰り返している今、そしてアジアが米国、中国、日本の力関係により再編され、その中で力のない国の運命がどう裁断されるかわからない状況で、この国の大統領と政権与党、さらに今や野党までが挙って国家的自害行為に乗り出しているのである。
戦争とは、善悪では割り切れない複雑なものだということが実感をもって語られている。今の「反日法」の愚かさを端的に表していると思う。さて、この文章は次のように結ばれている。
この民族全体の加害者だった隣国の日本が、被害者たちが国権を失ってから100年後に起こしているこの一連の騒動を見守りながら私たちをどのような目で眺め、私たちをどう評価しているかに思いを巡らし冷や汗をかかない韓国民−政権勢力の一部を除く−がどこにいようか
ここまできて、問いがこちらの方に飛んで来ている。はて、どうしたらいいものだろうか。

乱暴を承知で二つの文章の共通点を挙げるならば、中国や韓国のような「反日」が国是の国で、どちらも「反日」が行き過ぎたことを認めている、ということである。それも、アジアカップの暴動やら「反日法」の大騒ぎを見つめる日本の視線を気にしながら、それを「変」だと感じている日本人が正しいことを(暗に)認めている。それは中韓の現状を考えてみれば大したことなのではないだろうか。他の国なら当たり前なのかも知れないが。
 さて、この当たりから始めれば何か実りある対話が出来そうな気もするのだが、少し考えてみるとやっぱり厄介な気がする。彼らに「日本の戦争を《絶対悪》とする思考の根本を見直してみませんか」と言ってみたい気もするのだが、それを日本人の側から言うのは、やはり傲慢なのだろうか。書きながら考えてみたのだが、結局結論が出ないのだった。
 アメリカの大学で「日本研究」をしていると、韓国人、中国人の知り合いも多い。アメリカの大学院に来ても反日に凝り固まっている中国人学生もいるが、私の知っている中国人には親日の人もいる。何とか話が出来たらなあ、と思うのだが。やっぱり対話はできないのだろうか。皆さんはどう思いますか。

追記:8月20日、論旨は変えずに多少表現を改めました。

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August 18, 2004

Bloglines

ページ左側にBlogrollを付けました。一応よく読む・または時々読むblogを中心にリストしていますが、時々入れ替えることがあります。あまり深読みなさらないよう。

Blogrollの表示に使っているのは、Bloglinesというサービス。これは、基本的にはWeb上でBlogの更新情報を管理するサービスですね。RSSリーダというのは、RSSという小さいファイルを調べることによりウェブページの更新情報を取得するソフトなのですが、このサイトはソフトでローカルにやるのではなく、サイトでまとめて調べて、個人に情報を供給する形になっています。個人のパソコンにソフトを常駐させておけばRSSリーダと変わりなく使えます。システム的にははてなアンテナと似ているのですが、はてなアンテナが実際にページを巡回している(らしい)のに対しこちらはRSSを調べているだけなのでシステムへの負荷が比較的小さく、更新情報が比較的早く手に入ります。この2、3日使っているのですが、かなり便利です。これでBlogやニュースサイトをチェックする時間がかなり短縮できそうです。
このサービスではオプションが多くあり、いろいろ設定できるのですが、Blogrollを表示するのもその一つ。更新時刻で並べることも可能。Blogpeopleなども使っていましたが、これはBlogを使っている人がblogpeopleにpingを送っていないと更新情報が出ないのに対し、このサービスならRSSを供給している限り大丈夫で、より多くのサイトの更新情報を反映できます。Blogの更新時間がわかったからといってどうということはないのですがね。(ちなみに、このサイトではblogpeopleとmy blog listにはpingを送っています。)

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August 14, 2004

福田和也『イデオロギーズ』

読書において、結局は、一生懸命読み込んだものしか自分の身に付かない、と思う。

福田和也氏は「文藝春秋」や「諸君」などに毎月のように寄稿している保守の論客として知られるが、結局は文芸評論家である。「ブンガク」というと揶揄の言葉として使われることもあるが、そういうネガティブな意味も、もちろんポジティブな意味も込めて。彼の最初の著作が、20世紀のフランス文学におけるナチ協力者について書いた『奇妙な廃墟』(未読)であることからもわかる通り、彼の学者としてのトレーニングは20世紀ヨーロッパ文学である。
 私は『甘美な人生』や『現代文学』など、彼の才気溢れる近代日本文学の評論のファンでもある。しかし、彼が20世紀のヨーロッパの文学者・思想家を語るときは、やはり彼が地道に読み込んできた手ごたえを感じる。また、他の分野でも、彼がヨーロッパの反ヒューマニズム思想をよく考えてきた内容がうまくその時の話題と結びついたときはうまくいっていると感じる。このことは彼が保守であることと矛盾しない。彼がこの本でエドムンド・バークについて言っている通り、現代の保守思想というのは、「伝統」を盲目的に受け入れるのではなく、それを意識的に考え抜くところにあるからだ。

 一方、彼の時評家としての立ち位置のためか、最近粗製濫造が目立つとも思う。「ひと月百冊読み、三百枚書く私」などと言って喜んでいる場合ではない。でも、特に『甘美な人生』所収の批評などを知ってしまっている自分としてはつい読んでしまう。「当たり」がないかどうか求めてしまう。

イデオロギーズ
福田 和也
新潮社
2004-05-25


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 そういう意味で、『イデオロギーズ』はまず「当たり」と言っていいと思う。よく言えば、20世紀研究の彼らしい本である。この本では、「テクノロジー」「暴力」「自由」「信仰」「愛」という5つの概念を中心に論が進められる。彼の問題意識は、われわれが現在当たり前のように受け取っているこれらの概念を、ヨーロッパの近代に照らして再考しようということなのだが、面白いのは、近代思想の巨人を考えるのに、20世紀の思想家というレンズを通していること。例えば、「テクノロジー」では、ハンナ・アーレントとアイザイア・バーリンのヴィーコについての論争を枕に論を始めている。ヴィーコを直接論ずるのではなく、あくまでアーレントとバーリンを通して、なのだ。同様に、カントやヘーゲルではなく、ハイデッガーとカッシーラーなのである。もしここでヨーロッパの近代について本格的に考えるのならば、やはりヴィーコそのものを論じないといけないのだろう。また、ここでヨーロッパの思想史について細かく突っ込んでいくと、いろいろあらが見えてくるだろう。(たとえば、「信仰」において、スピノザの宗教史における位置づけを考えるときに『神学・政治論』を抜いてはいけないだろう。)また、テクノロジー論も、緻密に論じていこうとしたら本書に登場する4人の他にも欠かしてはならない人物はまだまだいるだろう。そういう意味では、個々の分野の専門家には物足りないものかも知れない。

 しかし、福田氏の資質というか、トレーニングというか、それはやはり20世紀思想なのだから、ないものねだりをしてはいけない。むしろ、20世紀、それも20世紀前半における思想史のある瞬間を捉えて、問題の在処を明らかにする手さばきは確かなものだと思う。そういう意味で、特に「自由」の章の、カッシーラーとハイデッガーが「対決」するくだりは、若きスターとしてのハイデッガーと没落しゆく何かを代表するカッシーラーの対比、またハイデッガーとナチズムの関連から見直すカッシーラー的なものなど、読み応えがあった。(これを読んで、カッシーラーを読んでみようという気になった。)また、哲学や思想をこれから学びたいと思う人にとって、これらの20世紀の思想家はよい入り口であるとは思う。(もちろん、それは私自身も含めて、なのだが)

 また、この本はいい意味で「批評的」な本でもある。「暴力」の章の初出が『新潮』2001年10月、11月号であることをみてもわかる通り、この一連の評論の背景には9/11後の世界情勢がある。福田氏の議論は、一言で言えば、現在起こっていることは「テクノロジーそれ自体の自己運動、自己発達がもたらすダイナミズム」となる。かれの挑発をどう受け取るかは本書を読んで一人一人が考えることとして、現在の世界を一歩下がって考え直すという意味ではすぐれた「啓蒙書」たりえていることは確かだ。

 本の編集について一言。この脚注はなんとかならないものか。「レーニン」とか「プルースト」とかに註を振るべきではない。当然知っているべきだし、知らなければ恥ずかしく思って哲学・文学事典で調べればいい。こういうのを見ると、ディレッタンティズムという気がする。日本の出版社がこういうのを始めたのは『文学部唯野教授』あたりからではないだろうか。また、帯には「俊英 酒井信氏による註解付」とあるが、俊英にこういうことをさせてはいけないし、俊英はこういうことをしてはいけない。こういう仕事をしてもキャリアのステップ・アップになるとは思えないのだが…。まあ、これだけの名詞・固有名詞にしっかりした註が付けられる人がいるというのは喜ぶべきことではあるが。

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August 13, 2004

丸山真男:インタビュー捏造事件

アサヒ・コムの美濃口担氏のコラム、丸山真男:インタビュー捏造事件をSoredaさん@はてながとりあげている。(Soredaさんは、ボビー・フィッシャーの件も根気強く追っておられるので、この事件の情報を求めて拙サイトに来られた方はこちらのサイトも訪問されてはどうだろうか。)
 イタリア人ジャーナリストのティツィアーノ・テルツァーニが最近亡くなったが、この人が「シュピーゲル」1990年10月22日号で丸山真男へのインタビューを捏造していたというのだ。
 事件の経過について、美濃口氏コラムはこうまとめている。

ドイツ統一の1990年初頭、丸山真男にインタビューを申し込み、断れたテルツァーニ記者は、「さて、これはインタビューの申し込みではないのですが、、、」と油断させて、日本での勤務を終える前に是非会って話したい、という願望を手紙にしるす。その後、丸山真男の弟子といっしょに、4月のはじめ頃に丸山宅を訪れて話をすることに成功する。

3週間後、テルツァーニ記者は、復元した訪問時の会話と追加質問を丸山氏に送り、質問に書式で回答してくれるように依頼する。この手紙の中で、できあがったテキストを承諾なしに発表しないことが強調されていたこともあって、読んだ丸山氏のほうは、記者の厚顔無恥に腹を立てると同時に、病気がちであったこともあって、返事しなかった。秋も深まる11月になって、丸山氏は友人から「シュピーゲル」誌に自分とのインタビューが掲載されていると知らされて、びっくり仰天する。

このテルツァーニ記者の仕事について私はよく知らないのだが、この人、今年になって「反戦の手紙」という本を出版したらしい。かつては記者として進歩派知識人の親玉・丸山真男にインタビューして、現在は反戦本、というのは、典型的な左翼だと思うのだが、この事件で問題なのは、そうした欧米の左翼的なインテリが日本のような国の文化とどのように接するか、という点にある。この辺について、(アサヒ・コムのコラムにしては珍しく?)美濃口氏はけっこう切り口鋭く分析してくれているので、コラムから再度引用しよう。
欧米には過激なイスラム教脅威論者がいる。「反戦の手紙」は非暴力を説き、一見このイスラム教脅威論と対立する。この本にイスラム過激主義の若者を「別の惑星の住人に思えた」とあるが、とすると、シュピーゲル元記者とイスラム教脅威論者との相違はちいさい。(彼は自分がガンを患っているから脅威を感じなくて、戦争に反対しているだけではないのかとさえ思えてくる)。

 昔、テルツァーニ記者の東京発信記事が私にいやだったのは、日本人が「別の惑星の住人」のように扱われていたからである。この人が、自分と長時間話してくれた病がちの老学者・丸山真男の好意をあっさり踏みにじることができたのも、非西欧社会に対するこの見方と無関係でない。

欧米メディアの日本関係記事を長いこと読んでいる者として、こういう違和感はよくわかる気がする。記者が、自分の生まれ育った価値観とは理解できない現象に遭遇するとき、その価値観をとにかく理解しようと努力するのではなくて、あっさり「別の惑星の住人」と割り切ってあきらめてしまう。それでも、特に「地球市民」とか信じている左翼系の記者の場合、だからといって無視してばかりはいられないので、西洋人にはわかりやすい丸山氏のような進歩的知識人とか、市民系運動家などに注目したりする。日本人がみんな丸山氏のような考え方をしたら、民主的で、平和で、平等な世界になるのに、という考え方なのだろう。でも、そこには、そこに生きている日本人の生活とかに対するリスペクトが決定的に欠けているのではないか、と思わざるを得ないことが多い。そういう、どこかで見くびった態度というのが、こういう事件にちらりと現れたりする。アメリカで日本研究に関わっている一人として言うと、残念ながら、こういう姿勢は日本に関わる学者・コメンテイターにも時々見られる。日本人や日本のテクストを読むとき、そこにあるものを観察しようと言うのではなく、自分の議論に都合のいいものだけ引っ張ってこよう、という姿勢だ。
 こう考えてみると、「日本人人質」事件で、「日本ではお上には逆らえない」と日本を前近代社会のように描いたニューヨーク・タイムス紙の記事やら、「日本にも新世代育つ」とか言って人質を持ち上げたル・モンドの論説などと根っこは同じというか、変わっていないことに気がつく。あのとき左翼・リベラルの人々は「人質に感謝しましょう」とか言ったり「世界の論調は…」とか言っていたが、その背後にある、欧米の非西洋の文化に対する差別感覚にもっと気がついた方がいいと思う。だからといって欧米を敵視するのではなく、冷めた目で見ましょうと言うことなのだが。

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August 12, 2004

夏休みモード

といっても仕事しているわけですが。これからも米共和党大会については民主党大会と同様追っかけたいと思っています。
 このページの右側にElectoral Vote Predictor へのバナーつきリンクを張りました。このサイトは、各州ごとの世論調査を元に現在の「選挙人数」に基づく情勢を調べているサイト。ご存じの通り、アメリカの大統領は各州ごとに集計し、州の勝者が選挙人を総取りし、その選挙人の合計数によって大統領が決まる制度なので、全国の世論調査の数字はあまり意味がないので、この数字の方が現状をよく表していると言えるでしょう。普通は民主党大会後に民主党の候補の支持者が上がるのに今回は上がらなかったとか言われていますが、このサイトによると、ケリー氏優勢は変わらないようです。また、本サイトのほうの地図も面白い。いわゆる激戦区のうち、共和党に傾いているのはオハイオくらい。でも、フロリダ州ともう一つ大きめの州がブッシュ氏に傾くと逆転するので予断は許さない、といったところです。
 また、メモのところにも書きましたが、緑風香Weblogの管理人の方のお兄さんと、脱北者が持ってきた北朝鮮にいるとされる日本人の写真が「同一人物の可能性が極めて高い」と専門家によって鑑定されました。拉致問題は、帰国された数人の方々や政府認定の方々だけでなく、拉致の疑いの高い「特定失踪者」の問題でもあります。緑風香さんの言葉を引用しておきます。

 政府が認める拉致被害者だけが拉致被害者では決してありません。それは、拉致被害者のほんの一部です。おそらく、数百名はいるとわたしは思っています。
なぜなら、私は、兄が拉致されたなどとはつい2年前まで思いもしなかったし、おそらくまだまだ届け出ていない方々が大勢いると思われるからです。実際、先日の署名中に複数の人から「うちの家族ももしや拉致かも・・・・」という相談を受け、失踪情況から拉致の可能性大と思いました。私の兄の報道をご覧になって、もしやと思われる方がもっともっと届け出てくれることを期待しています。拉致の「とてつもない実態」の扉が開きつつあります。兄の1枚の写真を契機に、もう一度徹底的な日本側の国内外調査を期待します。

そして、北朝鮮で隔離拘束されているであろう拉致被害者すべての身の安全を早急に確保するべきです。拉致そのものの「もみ消し」を絶対にさせてはならないと・・・

日朝協議の結果に注目しましょう。

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August 07, 2004

アジアカップ

 アジアカップでは日本が優勝できてよかった。純粋にサッカーという観点から見れば、あれだけの「アウェー」環境でしっかり勝てたのはよかったのではないだろうか。また、引き続きアジア・チャンピオンになったことで、来年のコンフェデ杯の出場権を獲得したのが大きい。選手たちにはおめでとうと言いたい。
 今回は中国の反日ブーイングが話題になったが、日本人は基本的にはクールに観察していればいいのではないだろうか。この件で困るのは、観衆の無法な行動が世界中に知れてしまった中国の方である。「民度が低い」という言葉は私は嫌いだ。例えば「日本人は民度が低い」と言ったところで、建設的な批判をしているような気にはならない。しかし、試合後も暴動が起こったなどというニュースが世界に流れて損するのは中国だろう。このままでは、4年後の五輪も、外国人の観光客は相当慎重になるのではないだろうか。(今年のアテネ・オリンピックも、開始一ヶ月前の時点で半数ほどのチケットが売れ残っていると聞く。)五輪チケットが大量に売れ残るような事態になったら中国は相当困るだろう。
 しかし、中共の政府はどうするんだろうか。これだけの暴力のエネルギーがある国民に向けられている事態を容認することになったら、日中関係というより近代的な政府のあり方として大変な問題だと思うのだが。この点だけは注視する必要があるかもしれない。

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とりあえず。

 Googleで「バラック・オバマ」と日本語で検索するとこのサイトが一番上に来るようです。(挨拶)
 引っ越しをしていたのでこの数日更新できませんでしたが、やっとネット接続環境も整いました。
 今回引っ越しをして、家具が足りないので、いろいろと探している。アメリカでは、引っ越しで出て行く人が家具などを売る「ムービング・セール」などで家具を安く手に入れることができる。昨日、近所のアパートで「ムービング・セール」の広告が出ていた。名前で日本人の人とわかって、電話してみると、まだ広告を一日しか出していなかったのに、ほとんどのものが売れてしまったという。それでも残っているものを見せてもらって、マットレスとコーヒー・テーブルを購入することになった。その人は、「日本人は、持ち物を大切にするということで、信頼されているみたいですね。買ったものの箱を取っておくし、きれいに使うし。だからこんなに早く売り切れたんでしょう」と言っていた。
 どこの国と比較してどう、というつもりではないのだが、こういう評判というのはうれしいものだと思う。海外在住、また海外旅行をする日本人の皆さん。こういう評判が長続きするよう、ちょっとしたことに気を付けたいものですね。

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(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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