むなぐるま

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August 30, 2004

米共和党大会1日目:タイムトリップ

オリンピックは終わったが、今週は共和党全国大会が続きます。民主党大会に続いて、感想など書いていく予定にしています。

今日は、マケイン上院議員、ジュリアーニ元NY市長と、穏健派にも人気のある共和党のスターが登場。
マケイン氏は2000年の大統領予備選でブッシュ氏と激しい争いを演じており、今年も民主党員がケリー氏の副大統領候補にしようとしたりして動向が注目されていたのだが、この2、3週間はブッシュ氏の応援演説に立ったりして、協力関係を強調している。じっさい、今日のスピーチの後(火曜日)マケイン氏は遊説中のブッシュ氏に合流。またブッシュ氏の演説(木曜日)の翌日、ブッシュ氏に同伴するのはチェイニー副大統領ではなくマケイン氏である。このため、マケイン氏がチェイニー氏に代わって副大統領候補に立つのでは、というすら立つほどの突然の蜜月関係である。(演説後のインタビューではこの噂をやんわり否定していた。)

さて、民主党大会と同様、この共和党大会でも中間層にどれだけアピールできるか、なのだが、民主党が「強いアメリカ」を強調して安心感を持たせようとしたのに対し、共和党の今日の演説では9・11のテロの後にアメリカ国民が感じた一体感、愛国心を思い出させようとしていると感じた。テロ事件の犠牲者家族が登場(ペンシルベニアに墜ちた旅客機の乗客でテロ犯人と素手で戦った人の夫人も演説した)したのももちろんだが、マケイン氏やジュリアーニ氏の演説でも「あの時、民主党も共和党もなく、われわれは皆アメリカ人だった」というフレーズを繰り返していた。

マケイン氏が「あの9月11日の朝、雲一つない快晴の日、あの恐ろしい事件が起こった…」と言ったとき、私もあの日のことを思い出していた。(私は当時ニュージャージー州在住)日本の親からの電話で起こされ、事件のことを知り、学校に行った。学校の講堂には特別にニュース番組が映されて、大勢の人々が集まる中、2機目の飛行機が衝突した。あまりにもリアリティのない画面に、なにが起こっているか把握できたのはその日のずっと後だった。

まああの事件は世界中の人々にとってショッキングだったことに違いないと思うのだが、あのときの記憶を喚起しようとしているのはわかった。ジュリアーニ氏は、事件後数日のブッシュ大統領と現場の人々との交流、ボストンやシカゴなど他の都市の市民の協力などのエピソードを紹介しながら、大統領を中心に一つにまとまったあのテロ事件の直後の雰囲気をつくろうとしていた。まあ、あの時は大統領はよくやったと思っている人は民主党にも多いと思う。

また、二人ともテロ戦争の歴史的意義を強調していた。二人とも、2001年より前のテロ事件の例などを挙げながら、9・11以後の反テロ戦争を大きな文脈においていた。「この戦争はまだ始まったばかりかもしれないが、この戦いに負けるわけにはいかない」というマケイン氏のメッセージは、選挙演説というよりは、アメリカ国民全体に、なぜこの戦争をやっているかを改めて説得するような口調だったように思う。マケイン氏の結びの文句を引用しておく。

Take courage from the knowledge that our military superiority is matched only by the superiority of our ideals and our unconquerable love for them. ... We fight for love of freedom and justice--a love that is invincible. Keep that faith! Keep your courage! Stick together! Stay strong! Do not yield! Do not flinch! Stand up! Stand up with our President and fight! We're Americans! We're Americans and we'll never surrender! They will!
このメッセージも、9・11テロの直後の混乱から、アフガニスタン戦争に向けて国全体がシフトしていった、3年前のあの頃の雰囲気を思い出させるものだった。一瞬、まるでイラク戦争など起こらなかったような錯覚に陥るほどだった。

マケイン氏の演説は結構落ち着いたもので、ケリー氏の個人攻撃はなかった。個人攻撃に陥りやすい共和党員をたしなめるような場面もみられた。(マイケル・ムーア氏を「あの不誠実な映画監督のように…」と批判したときには会場全体が盛り上がったが。彼も会場にいて、カメラに向かってピースサインをしていた。)むしろ、「反テロ戦争」の意義を強調することで中間層に団結を訴えるという方向性だった。いっぽう、ジュリアーニ氏の演説は内輪向きの性格が強かった。結構はっきりとケリー氏の「あいまいさ」を批判して、共和党員の喝采を浴びていた。まあそういう役割分担だった、ということか。

一つ、ジュリアーニ氏の演説から印象に残った言葉。「共和党の考えがいつも正しいわけではないし、民主党がいつも間違っているわけではない。でも、ある歴史の段階においては、より必要とされる考えというのがあるのではないだろうか。」さて、今のような時代に「より必要とされる考え」とは何だろうか。

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Comments

初めまして。共和党大会を見ていて、「9.11直後はアメリカ人が団結していた」というメッセージに聞き覚えがあるなあ、と思ったら、民主党大会のジョン・ケリー氏の指名受託演説でした。

I am proud that after September 11th all our people rallied to President Bush's call for unity to meet the danger.
There were no Democrats.
There were no Republicans.
There were only Americans.
How we wish it had stayed that way.

「そのままだったらどんなによかったでしょう」という最後の一行があるかないかが、共和党と民主党の違いなんだな、と思いました。あの日に戻ってやり直そうという共和党と、イラク戦争を経験したからもう戻れないんだよという民主党。なんだか男女の別れ話を連想しますね。
それから"There were no~"の繰り返しフレーズは、バラック・オバマ氏の演説から来ているんじゃないかと気づきました。

Posted by: MM | Aug 31, 2004 12:34:40 PM

>MMさん
はじめまして。ケリー氏の演説の最後の一文があるかないかが共和党と民主党の違い、というのは核心をついているかもしれません。昨日の演説を聴いていると、テロ戦争をゆるぎなく継続するという意志に充ち満ちている共和党と、イラク戦争ですっかり幻滅してしまった民主党と、これこそ「二つのアメリカ」なんじゃないかと思いました。ジュリアーニ氏は「ケリー氏が賛成票を投じたアメリカと、反対票を投じたアメリカ」なんて、パラレル・ユニバースみたいなことを言ってケリー氏のあいまいさを揶揄していましたが。
 その点、バラック・オバマ氏の演説は全国民にアピールするつぼを心得ていたんじゃないかと。2008年は民主党からはオバマ、ヒラリー、エドワーズ、共和党からはジュリアーニ、マケインなどによって大統領選が争われることになりそうですね。あ、ひょっとしてシュワ氏もありうるか。

Posted by: むなぐるま | Aug 31, 2004 1:36:56 PM

(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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