この大統領で大丈夫?
共和党大会の開催中、ブッシュ大統領の「テロ戦争」の定義を巡ってちょっとした問題が。リベラル系の有名ブログTalking Points Memoが追っかけている。
問題になっているのは、この1か月のブッシュ大統領のテロ戦争に関する発言。このサイトを参考に、少し時系列順に追ってみよう。
2004年7月30日・ブッシュ大統領
"We have a clear vision on how to win the war on terror and bring peace to the world."8月29日・ブッシュ大統領、NBCのインタビューにて。われわれには、テロに対する戦争に勝ち、世界に平和をもたらすための明確なビジョンがある。
"I don’t think you can win [the war on terror]. But I think you can create conditions so that the — those who use terror as a tool are — less acceptable in parts of the world.”エドワーズ副大統領候補の反応。[テロ戦争に]勝てる(win)とは思わない。でも、世界の一部で、テロを道具に使うような連中が受け入れられないような条件をつくることは可能だろう。
After months of listening to the Republicans base their campaign on their singular ability to win the war on terror, the president now says we can't win the war on terrorism. ... This is no time to declare defeat--it won't be easy and it won't be quick, but we have a comprehensive long-term plan to make America safer.8月31日、ブッシュ大統領。数ヶ月間、共和党が、対テロ戦争に勝つというそのことだけを中心に選挙戦を戦ってきた後で、大統領は対テロの戦争に勝てないと言った。今は、敗北宣言をするべき時ではない。簡単ではなく、すぐには勝てないかもしれないが、われわれ(民主党)にはアメリカを安全にするための包括的な長期プランがある。
"We meet today in a time of war for our country, a war (i.e., the war on terror) we did not start yet one that we will win."8月31日、ブッシュ大統領。今日、わが国は戦時中にある。この戦争(テロに対する戦争)はわれわれが始めたものではないが、われわれは勝利する。
8月31日、マクレラン大統領報道官
I should have made my point more clear about what I meant. What I meant was that this is not a conventional war. It is a different kind of war. We're fighting people who have got a dark ideology who use terrorists, terrorism, as a tool. They're trying to shake our conscience. They're trying to shake our will, and so in the short run the strategy has got to be to find them where they lurk. I tell people all the time, "We will find them on the offense. We will bring them to justice on foreign lands so we don't have to face them here at home," and that's because you cannot negotiate with these people. And in a conventional war there would be a peace treaty or there would be a moment where somebody would sit on the side and say we quit. That's not the kind of war we're in, and that's what I was saying. The kind of war we're in requires, you know, steadfast resolve, and I will continue to be resolved to bring them to justice, but as well as to spread liberty ... There's no doubt in my mind, so long as this country stays resolved and strong and determined, and by winning, I just would remind your listeners that Pakistan is now an ally in the war on terror.[抄訳]私が言いたかったのは、この戦争は通常の戦争ではないと言うことだ。敵は、テロリズムを武器にわれわれの意志をそごうとしている。だから、彼らをまず見つけて、攻撃しなければいけない。また、普通の戦争なら、平和条約やら、降伏やらということがあるが、今回は、固い意志が必要なのだ。だから、この国が意志を堅く、強く持ち続けるならば、間違いない。勝つと言うことについていえば、パキスタンが対テロ戦争の見方となったことを思い出して欲しい。(特に英語の最後の一文は文法的にブロークンで正確な意味は不明。)
"This is an unconventional war with an unconventional enemy, I don't think there'll be a formal surrender or a treaty signed. ... We will prevail in the war on terrorism."この通り、ブッシュ大統領が「テロ戦争には勝てないかも」と言った一言から、大統領は釈明に追われている。対テロ戦争は「勝てるとは思わない」のか、「勝つ」のか、「平和条約締結しないから通常の意味で勝つとはいえない」のか、よくわからない。最後の大統領報道官の釈明も、winはできないがprevailするだろう、というのは詭弁のようなものだ。この戦争は通常の敵に対する、通常の戦争ではない。だから、公式な降伏や条約締結と言うことはないだろう。しかし、対テロ戦争において、われわれは最後には勝利(prevail)する。
しかし、一連の発言をざっと読んでみると、これは単なる失言というだけでなく、この大統領のほとんど唯一のセールスポイントである「対テロ戦争」を戦い抜くだけの理解力・知識が彼にはあるのか、という疑問を投げかけている。テロ戦争には賛成派のAndrew Sullivanも、この大統領は「テロ戦争をどう戦うのか」という概念的な理解があるのだろうか、と書いている。「おれたちは負けないよ」だけで勝てるほどこの戦争は甘くはないのだ。
それと、ブッシュ大統領が自らの誤りを認めたがらない、ということも関係していると思う。間違いを認めまいとしてどんどん泥沼にはまっているように見えるが。
民主党がこの一連の映像を使ったら、結構致命的なTV広告が作れるかもしれない。ケリー候補が「私は、[イラク戦争の追加予算に]反対票を投じる前に、賛成票を投じた」と選挙演説で言った場面を、共和党員は「意見をコロコロ変える候補」というイメージを定着させるためにTV広告やら演説にフル活用しているが、今回のは、意見を変えているだけじゃなくて、本当に言ってることわかってるの? と聞かざるを得ない内容だからよけいにたちが悪い。これからの選挙戦に大きな影響があるかもしれない。
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Comments
こんにちわ!失っていたと思っていた むなぐるまさんのアドレスを漸く見つけましたので又コメントさせて頂きます。
共和党大会最終日は4局をチャンネルサーフしながら ながら見していました。
私もSen.Zell Miller氏のMean極まりないスピーチにあっけにとられてしまった。
MsNBCでの醜態も見ていました。1月にリタイアされるそうですし 本も出すと言う事を旦那が言っていてケリー支持の立場としては胸焼けしました。あれはdidn't help at all.とさえ思いましたが。。翌日位のAOLNewsでMiller氏のスピーチには間違いがあったとかなんとかいう見出しのコラムがあったのが興味があり読もうとしたら 直ぐに消されていました。?
ブッシュのスピーチには個人的意見を言わせて頂きますと
皮肉にも 一貫してサダムと連呼していて ビンラディンの名前すら出ていませんでしたよね?確か?
あと共和党終了後のOHIOからのケリーのスピーチは こりゃぁ その場でインプロバイズしないとならない部分もあった為 乱れも当然と思われますが 少なくとも私にはほんの少しでしたが 胸焼けが少し収まりました。
Posted by: Juellie | Sep 6, 2004 10:40:48 PM
>Juellieさん
コメントありがとうございます。
ミラー氏の演説の間違いというのは、ケリー候補の軍事予算に関する反対票について揶揄した辺りですね。それについては別のエントリにも書きましたがちょっとひどいなと思いました。
私は、どちらに勝ってほしいと言うよりは、アメリカ政治を傍観するという立場で見ていたのですが、やっぱり多少は期待があったようで、終わってからは少しがっかりしました。今の大統領は、知能がないとかいろいろ言われていますが、一番問題なのは、間違いを認めないところだと思います。とくに9・11以来、間違いを認めて軌道修正することが弱みを見せることだと勘違いして一歩も譲りませんものね。その点は不満です。でも、共和党大会後にブッシュ氏の支持率が上がったのはわかる気がします。純粋に政治のテクニックの意味でですが。
一方、ケリー候補はこのままではちょっとやばいですね。民主党支持者はケリー選挙本部に文句を言う権利があると思いますよ。ていうか、「ベトナム戦争に行った」というだけで何の政策もないキャンペーンをしていること自体、重大な作戦ミスだと思いますが。従軍の記録を自慢したら、その後の反戦活動で批判されるだろうというのはとっくにわかっていたと思うのですが。
Posted by: むなぐるま | Sep 7, 2004 4:03:34 PM