むなぐるま

アメリカ在住の研究者(の卵)による日常観察・オピニオン系Blog

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August 24, 2004

このままでいけばケリー

米大統領選について。
共和党大会を来週に控えて、興味深い分析が。
"Writing on wall for another one-term Bush" (The Sunday Times - リンクは The Australian)
この記事(著者はこのblogにも何度か登場したAndrew Sullivan)によると、ワシントンインサイダーとして選挙分析には定評のあるCharlie Cook氏が早々と「この後、よほど選挙の基礎的な諸条件が変わらない限りケリーが勝利するだろう」と予測しているらしい。
この記事の分析内容をまとめてみる。
●勝負を決すると言われる「決戦州」のほとんどで、ケリー氏がリードを固めつつある。特に、大票田のフロリダでは47% vs. 42%とリード。一方、これらの州のうちブッシュ氏が大差でリードしている州は一つもない。南部のノース・キャロライナでもわずかにリードしているだけ。
●まだ誰に投票するか決めていない層(未決層)で、ケリー氏はブッシュ氏を大きくリード(49% x 31%)しているから、ブッシュ氏は今後の票の伸びが見込めない。
●今回の選挙での争点を聞くと、ブッシュ支持者は「テロ戦争」、ケリー支持者は経済など国内問題が1位になっているが、未決層も経済問題が1位。つまり、未決層はケリー支持者のような投票行動を見せると分析されている。(「経済が一番の争点」と言う有権者の間ではケリー氏が断然リードしている)
●前回ブッシュ氏に投票した州ではブッシュ氏のリードが減少している一方、前回ゴア氏に投票した州ではケリー氏のリードが増大している。
この結果、ブッシュ氏は数字に表れている以上に不利な情勢になっている。ブッシュ氏が勝つためには、「選挙日直前の世論調査で、大きくリードするか、少なくとも3%以上のリードが必要」とこのアナリストは言っている。

さて、ブッシュ氏が挽回するにはどうしたらいいか。選挙戦略としては、保守層にさらなる支持を訴えるか、穏健派へ手を差し出すか。どちらにしても、戦略としては手詰まりという感じがする。保守層はすでに堅くまとまっているから大きな伸びは期待できないし、穏健派も、あれだけ疎外しておいていまさら打つ手もないだろう。とすると、選挙の力学を全く変えるような「事件」が起こらない限り、このままケリー勝利、というわけである。選挙ウォッチャーとしては、票読みの段階は終わって、そんな「事件」をウォッチする段階にさしかかってきた、ということだ。

このブログの右側パネルには、州ごとの世論調査を分析したサイトのバナーを貼っているのだが、このサイトの情勢分析でも、ほとんどの決戦州でケリー氏優位となっているので、この分析とも合致する。今日の新聞では、ケリー氏の軍歴疑惑についての報道が多かったが、この一件も、ケリー氏の履歴の事実関係という側面と、容赦ない個人攻撃をするブッシュ氏の政治倫理という側面があるため、ケリー氏がよほどへまをしない限り痛み分けという気がする。実際のところ、ケリー氏陣営は「ミスをしない」ことを最優先に対応をしている気がする。サッカーに例えるなら、後半40分、1点リードのケリー氏がボールキープしながら安全第一にプレーしているという状況だろうか。

追記:大統領選関連の記事は "U.S. Election 2004" のカテゴリにまとめました。ページ右側の "Categories" からご覧下さい。

追記2:ブッシュ氏がこれ以上支持を伸ばすのは難しい、という分析はここにもある。(salon.com)

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Comments

原油の先物価格が50ドルを越えた。
これは、1983年以来の歴史上初の高値だ。
40ドルをこえた原油の価格は、糸のきれたたこのようにたった3-4
週間で50をつけたことになる。これは、明らかに作為的に高値
を目指していたようであり、もともと投機的な、恣意的なマー
ケットであるから、誰がしかけているのか、つまり、誰が儲か
るのか、一般人はただ傍観するのみだ。しかし、アナリスト達
はもっともな理由をつけ、経済の先行きの不安をあおった。原
油が40ドルをこえる辺りからダウは下げはじめ、一時10000ド
ルを切った。
その間ブッシュは沈黙していた。
ところが先日から原油が下げはじめた。そこで、ブッシュは、
ロシアの大統領と電話で、原油供給のバランスを調整すると話
したことを発表した。
印象では、彼は、この内容、つまり、原油価格と株価の関係。
需給のバランス。雇用率とインフレ率と金利の関係、えーい、
経済のことなんて、ちっとも分かっていない、という顔つきだ
った。
プーチンと話したぜ。みたいなもんだ。
原油価格が上がれば、オイルメジャーは儲かる。きっと彼は来
年の所得税額をみて、なにがおこったのかしるのだろう。
ばか。
ケリーも嫌味な野郎だが、ブッシュのばか面をみるのも、疲れ
た。

Posted by: mash (転載:むなぐるま) | Aug 24, 2004 1:58:57 PM

>mashさん
お気持ちは理解できます。ブッシュ大統領が馬鹿というか、自分に興味のない事柄は素通りするという例は、枚挙にいとまがないほどでしょう。未読ですが、その辺は "Price of Loyalty" (邦題『忠誠の代償』)でオニール元財務長官が告発しているようです。
 米大統領選挙については、誰もが意見を持っていると思うので、このblogでは、感情的な議論を避けてなるべく冷めた視点から現状を観察するというスタンスでやってます。
 私もいろいろと意見はありますが、ここでは意見表明は控えておきます。(一度書いたんですけど、やっぱりうまくまとまりませんでした。)
 日本には、マイケル・ムーアの『華氏911』なんかを持ち上げて喜んでいる人が多いようですが、反米の人は、ブッシュ大統領を引きずり下ろして満足するのではなくて、今のアメリカのどこが問題なのかをしっかり考えなければ、と思いますが。もちろん、日本は日本で、誰が大統領になっても現在国益のために何が大事かを考える必要があると思います。

Posted by: むなぐるま | Aug 24, 2004 4:54:06 PM

あ、上のコメントは私個人のスタンスについて書いているのであって、皆さんがこの大統領選(あるいはこの大統領や大統領候補)について書くのは全く構いません。というか、どんどんやってください。

Posted by: むなぐるま | Aug 24, 2004 5:37:22 PM

自分のコメントが続きますが…。
宮台真司氏のブログに、『ブッシュの悪」で「アメリカの悪」を覆い隠すな!』というエントリが載っています。
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=145
この文章の次の論点は大事だと思います。
《■ブッシュ政権に見る反人道的な粗野さがなかったとして、ケリーが明示的に継承せんとする米国流グローバル化に対し、我々はどんな立場を採るべきか。ブッシュを噛ませ犬とする『華氏911』を翼賛する米国外の“思考停止の輩”は、この緊要な問題を隠蔽する。》
この記事は少々長いですがお勧めです。

Posted by: むなぐるま | Aug 25, 2004 8:02:06 AM

(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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