むなぐるま

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September 16, 2004

ダン・ラザー祭り続報

(9月16日、末尾に加筆した。)
昨日の晩、CBSが声明を発表。(pdf)同日の「60ミニッツ」の番組で、当時テキサス州軍で勤めていた86歳の秘書がインタビューを受け、「私はこの文書はタイプしていないけれど、この文書に含まれている情報は正しいわ」と発言。CBS報道局としても「文書は捏造だったが中身は正確」と微妙にスタンスを変えた様子。一方、文書の正確性については「引き続き調査」するとしながら、「レポートの大筋については批判を受けていない」と、基本的にはレポートを撤回していない。(CBSのサイトではこちらの記事も載せている。)
 CBSが「捏造だったが正確」という言い訳で逃れられると考えているんだったら相当甘いね。一方、ラザー氏はワシントン・ポスト紙のインタビューに答え、「もしこの文書が私たちが信じているようなものではなかったら、このストーリーは撤回する」と発言している。いや、そうじゃなくて、もう捏造と確定しているんですが…。この辺でも、ブロガーの数手後を行く大手メディアのメンタリティが浮き彫りになっている。

当初は傍観していたAndrew Sullivan もすっかりキレてしまった模様。一方、CBSの地方ネット局ではダン・ラザーのニュース番組や「60ミニッツ」を放送しない局まで現れてきているなど、波紋は広がる一方である。

一方、だれがこの文書を捏造したかだが、ワシントン・ポスト紙のこの記事によると、この文書はテキサス州アビレーン市のコピー店 "Kinko's" からファックスされたということらしい。この事実から、店の所在地から約21マイルのところに住んでいる元テキサス州兵勤務のBill Burkett氏の名前が浮上している、とのこと。また、NYTでもかなり大きな扱いでこの件に関する記事を載せている。

この事件、これだけで収拾がつくはずもないので、これからも追っていくつもり。

興味深いのは、この件でラザー氏辞職など大きな動きがあった場合、日本の大手メディアがどれだけ反応するか、ということ。「ブッシュ氏に対する憎しみのあまり、ジャーナリストとしての判断基準が狂って捏造文書を報道してしまいました」なんていう記事をたとえば朝日新聞が載せるということはとても目に浮かばないのだが。捏造事件・恣意的な報道・リークには事欠かない朝日新聞にとっては古傷が痛む事件だろう。それとも、「ラザーさんには同情します」とか言うのだろうか。また、同罪とまで行かなくても同じ傾向の日本のメディア関係者は大勢いるから、こういうニュースは大手メディアでは慎重な扱いになることだろう。そういうことを気にせずに書いて発信できるというのがBlogの利点の一つではある、と改めて思うのだ。

追記(9月16日):この事件が日本でどう報じられているか少し調べてみると、TBSのワシントン特派員である金平茂紀氏が個人サイトでコメントしていた。タイトルからして「CBSのダン・ラザーが怒りで声が涸れていたこと」と、すっかりラザー氏に同情している。本文でも、こう書いている。

さて、CBSニュースはこの「ねつ造説」に対して、真っ向から正攻法で反論した。ダン・ラザーの声は涸れていた。怒りのあまりだろう。すさまじい勢いで検証報道をやっていた。筆勢鑑定家やら当時の上官の知己やら総動員して「ねつ造」説に根拠がないことを証明していた。
最も大きなポイントは、ベトナム戦争当時のタイプライターでは打てない小文字の「th」があるという主張だが、CBSニュースは1968年当時からそれを打てるタイプライターが実在していて、当のホワイトハウスが公表した文書のなかにも小文字の「th」があることをしっかりと反証していた。今のような時代では「ねつ造説」もねつ造できる。それこそコンピュータグラフィクスを駆使したり、有力メディアの記者にねつ造説をリークすれば、またたくまに「ねつ造説」だけが拡がる。そういう意味では、CBSニュースの根性は見上げたもんだ。
この「検証報道」だが、呼んできた鑑定家が調べていたのは署名だけであって、タイプライターについての疑惑は少しも晴れていないことがブロガーたちによって指摘されている。また、CBSが雇った4人の文書鑑定家のうち、2人はすでにABCニュースに出演して「慎重を期すためもう一度調査を」とアドバイスした、と発言、CBSと距離を取り始めている。
 また、上付のできるタイプライターはあったという説だが、これも専門家が、ネット上で、Word文書の上付と1970年代のタイプライターで打ち出せる上付との違いについて細かく論証している。
 しかし、私が一番問題だと思うのは、個々の論点について自分の頭で考えないで「今のような時代では『ねつ造説』もねつ造できる」なんてさらっと書いてしまうところである。この記者の方も、自分の信念というか、信条に基づいてブッシュ大統領再選に反対しているのだろうが、だからといってジャーナリストとしての公平な視点を失ってしまっては仕方ないと思う。「声は涸(ママ)れていて」などと、情熱的なラザー氏に感情移入しているのだろうが、こんな分裂したアメリカ大統領選挙だからこそ、熱いハートを持っていてもクールな頭で観察を続けなければいけないのではないだろうか。

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Tracked on Sep 17, 2004 12:47:51 PM

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Tracked on Sep 19, 2004 1:20:38 AM

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from ������˷��Ʋ�������衡
CBS�˥塼������¤���ǤˤĤ��� [Read More]

Tracked on Sep 28, 2004 2:24:21 AM

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Sobria eberietas <<Ivrésse sans boire>>
from 松 坊 堂 日 乗
CBSニュースの捏造疑惑について.「捏造してでも批判する」ってのは日本だけぢゃ無いんだね [Read More]

Tracked on Nov 8, 2004 2:07:25 AM

Comments

日本でもこんなことが起きてます

ブロガー
http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/cat_aeoeoau.html
V・S
保守論壇の重鎮
http://blog.livedoor.jp/nishio_nitiroku/

大物ニュースキャスターも保守論壇の重鎮も、怪しげな情報に飛びつくようではその資質を疑われます。

Posted by: F2A | Sep 16, 2004 12:37:47 PM

>F2Aさん
この件についてはちらっと読みましたが…。ブロガーがメディア・リテラシーに関して今までのタイプの知識人(ジャーナリスト)を論破してしまう、という構図は似ていますね。Blogがメディアのチェック機能を果たしている、という新しい状況をよく表しているとは思います。

Posted by: むなぐるま | Sep 16, 2004 5:43:41 PM

初めまして。何時も米国発の生の情報を楽しみにいます。
この件について今後、日本での提携関係にあるTBS(特にN23の筑紫)がどう反応するかが楽しみであります。

Posted by: (anonymous) | Sep 16, 2004 6:57:19 PM

あ、その答えの一部はすでに出ているようですが…。末尾の追記をお読み下さい。

Posted by: むなぐるま | Sep 16, 2004 7:11:53 PM

 日本でもTBSが報道しました。ただ、リポートしたのが悪名高い金平なので、CBSは正しいに終始しました。

Posted by: (anonymous) | Sep 17, 2004 10:45:55 AM

初めてコメントさせていただきます。
この件がNews23で取り上げられていました、内容はCBSの報道内容の疑問点がブログによって暴かれたという点は殆ど述べられず、軍歴疑惑の報道をめぐってのCBSとブッシュ陣営との争いという点がクローズアップされてました。
また筑紫がダンラザーを擁護する発言をしており、むなぐるまさんの予想通りといった感じです。
この事件を取り上げたその他の報道(テレビ確認できたのはフジ・テレ東)も大統領選の軍歴疑惑の真偽がメインといった感じで、CBSの捏造とブログについては詳しく触れられていませんでした。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040917k0000e030041000c.html
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20040916AT2M1600N16092004.html

Posted by: (anonymous) | Sep 17, 2004 10:50:54 AM

コメントして下さった方々へ(名前欄を"anonymous"と変えました)
 なるほど、予想通りの展開だったわけですね。
 日本のマスコミがアメリカの情勢についてコメントする場合などに、アメリカのメディアの権威を借りながら報道することがありますよね。イラク日本人人質事件のとき、朝日新聞がル・モンドやらニューヨーク・タイムズを借りてきて人質を弁護したのと同じことです。今回の事件でも、アメリカのメディアの権威が壊れてしまっては困るという事情もあるのでしょう。
 また、同病相憐れむというか、この事件で問題になっている大手メディアの報道姿勢の体質を彼らが共有しているという問題もあると思います。はっきり言うと、大手メディア自身が「真実」を握っており、自分には大衆を教え導く義務があるという態度です。一昔前ではそれでよかったんでしょうが、今はBlogなどによって事実関係をすぐチェックされますから、間違いがあったときにすぐメッキがはげてしまいます。そういう時こそ、メディアの姿勢の本質があらわになるということなのでしょう。

Posted by: むなぐるま | Sep 17, 2004 1:32:18 PM

日本の大手メディアに至っては数手どころが10手も20手も遅れて
現実との乖離を晒しまくる醜態振りです。それどころか情報工作まで
いとも簡単に見破られる始末であります。保守論客さえ過ちを指摘
される程ですから。

日本のメディアは先ず疑ってかかれ!がネチズンの間ですっかり
定着した観がありますなあ┐(´ー`)┌

Posted by: abusan | Sep 17, 2004 8:59:36 PM

>abusan さん
そうですね、日本ではネットの人々がメディアをチェックするのは日常的になりつつあるようですね。ただ、今回のCBSの件でも言われていることですが、大部分の人々にとって、まだまだインターネットはまだまだ信頼性の低い、ノイズの多いメディアという印象なのではないでしょうか。メディアを巡る力関係が大きく変わり始めたという印象はありますが、まだまだ変化の途中ではあると思います。

Posted by: むなぐるま | Sep 18, 2004 2:43:30 PM

今回の「CBSによる捏造」問題の最も重要な点:

Bush陣営は「Bush軍役不正」問題を「CBSによる捏造」問題にすりかえて選挙まで乗り切ろうとしている。

See also:
http://www.cnn.com/2004/ALLPOLITICS/02/27/elec04.bush.doonesbury.reut/
No winner yet in 'Doonesbury' Bush search
(I think the reward is now $25K.)

(追記:管理人権限で著者名を変えました。一つのIPにつき一つのハンドルでお願いします。)

Posted by: (id:kishida_shu) | Sep 20, 2004 8:46:33 PM

(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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