むなぐるま

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September 23, 2004

メモ疑惑:日米ジャーナリストの反応

日本でもCBSメモ疑惑の報道がちらほら出てきた模様。新聞でも産経新聞のこの記事が事情をよくまとめている。著者は古森義久氏。この記事では、大手メディアの信用が疑問視されているというポイントをよく押さえてある。
以下、古森氏の記事から引用。

 CBSは従来、政治報道では民主党リベラル派への共鳴を示し、とくにラザー氏は共和党保守のニクソン氏や先代ブッシュ氏を激しく追及し、衝突してきた。「CBSは党派性の上に立つ聖なるメディアという自負を主張してきたが、実は民主党寄りであることをこの事件が証した」(ジョージタウン大学のロバート・リヒター教授)というように、その政治偏向が暴走して今回の誤報を生んだという見方も広まった。
(中略)
 同事件のこうした政治的側面について保守系大手紙のウォールストリート・ジャーナルは「メディアの分岐点」と題する社説で今回の重大な誤報が全米向けテレビの民主党寄り偏向をあばき、なおかつ従来の「リベラルのメディア独占の終わり」を告げる、と論評した。実際にニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNなど、報道や論評の政治基調では民主党寄りを明確にする他の大手メディアまでがCBSの誤報を厳しく追及し従来の政治的姿勢の変化をも思わせるにいたった。
CBSの偏見については、今回に始まったことではないので、ここに書かれていることはおおむね正しい。ただ、リベラル・左派の人々はこういう大手メディアの「政治的姿勢の変化」については認めようとしないかもしれないが。

一方、TBS記者の金平茂紀氏もホームページ更新。
CBSニュースが全面謝罪ということに・・・・  (9/20付)
健全な自省力のゆくえ (9/22付)
CBS全面謝罪という事態に直面して、混乱している様子が伺われる。

きのうのワシントンポスト紙を読んでいて考え込んだ。ハワード・カーツらがCBSブッシュ軍歴報道に関する1ページ以上を割いた異例の検証記事を掲載していたのだ。CBS内部でいかにオンエアが優先され、警鐘が無視されたのかを、時々刻々と検証して伝えている。正直、恐ろしいと思った。記事の情報ソースは明らかにCBS内部にもあった。
ここで言及しているのはこの記事(登録必要)だと思うが、なぜ「正直、恐ろしい」と思ったのか興味深い。記事の情報ソースがCBS内部にあったということのどこが悪いのだろうか。正体不明のメモを看板報道番組で流した後、徹底調査する過程で、内部のプロセスがここまで短期間のうちに透明化されていることが「恐ろしい」のだろうか。メディア内部はいつまでもブラックボックスであればいいと思っているのだろうか。

アメリカでも大手メディアが、この問題をブロガーを後追いする形で追及していることについては、米国内でも反論がある。大きな視野に立てば、確かにそうだろう。この大統領選では、他にも重大な争点がたくさんある。しかし、ワシントン・ポストが大きなスペースを割いて検証しているのは、CBSが明らかな間違いについて10日以上も否定し続け、自浄能力を失っていたからではないだろうか。メディアの信用に関わる問題を大きく扱うワシントン・ポスト紙の姿勢は、日本の多くの新聞、TVメディアが見習うべきだと思う。

メディアの透明性ということに関して、サンノゼ・マーキュリーニュースのコラムニストが書いた次のような記事がある。
Bloggers key to tracking down truth in media
(日本語はこちら。なんとアサヒ・コムのサイト内にある。)
記事の中心は、ブロガーが大手メディアに影響力を持ってきたのかどうか、について。新聞ジャーナリズムに関わる者として、彼はブロガーの影響力にはまだまだ懐疑的なのだが、次のようにまとめている。

 このエピソードから誤った教訓を導かないように注意しつつも、ブロガーらの純粋な成果をおとしめないようにしようではないか。彼らの「オープン・ソース」ジャーナリズムは特筆に値する。
(中略)
 メディアの監視も新しいことではない。だが最新のものは、業界にいる我々が我々自身や仲間うちについて行う大部分において礼儀正しい報道とはまったく違うものだ。今起きていることは、時に教訓的で、常に手ごわい。
 ジャーナリストは、他者に対して透明性を高めることを要求してきた。我々の仕事を公の場で分析する多くの人々の能力、それもほぼリアルタイムで行う能力のおかげで、今度は他者が我々に対してより多くを要求している。我々もそれに慣れていかなければならない。
大手メディアが信頼を確保するためには、他者に求めるのと同様の透明性を自らも確保すること、という原則に立って、ブロガーが大手メディアをチェックするという現実に大手メディアの方が慣れていかねばならない、という結論部分については、さすがだと感心する。日本の大手メディアには、ブロガーがメディアのあり方を変えているという現実認識、また、透明性を確保することが視聴者・読者の信頼を勝ち取る鍵である、ということがわかっていないように思う。

金平氏のコメントに戻るが、アメリカのメディア識者のコメントをひきながらこう書いている。

また、BLOGが主要メディアを負かした、とかいう「俗説」を笑い飛ばしていたが、今や主要メディアがBLOGから影響を受けていることは否定できない、とごくごく真っ当な意見を述べていた。健全な自省力を見た気がした。
「健全な自省力を見た」と完全に人事なのだが、金平さん、その現実は日本でもすでにやって来ているのではないですか? TBSにも「自省力」があるのか問われている、とだけ書いておこう。

ついでに、ワシントン・ポスト紙から、今回の事件についてのブロガーの活躍をまとめた記事を紹介しておきます。(9/20)
誰か訳してくれるといいのですが…。

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