副大統領討論
元ハリバートンCEO対元法廷弁護士の討論。何か書こうと準備していたのだが、討論の中継の途中で友人から電話がかかってきて、中断。(非常に実りのある会話で満足した。本件とは関係ないのだが。)ということで、きちんと見ていないのだが、最初の1時間ほどを見た感想を短く。
○両者の準備がずいぶん違う形で現れた。エドワーズ氏は、特にイラク戦争については、同じ論点をとにかく繰り返すこと。それは、自分の信条や経験から生み出されたものではなく、ケリー陣営として現大統領を批判するために練りに練られたポイントだったと思う。経験不足のため説得力が薄いと思われる部分もあったが、特にイラク戦争については、現政権側として反論しきれないものもあるわけだから、それは両者の違いとして残った。例えば、エドワーズ氏が、先週のケリー氏の議論をくり返しながら、アメリカが「90%の犠牲者、90%のコスト」を負担しているというと、チェイニー氏は、「その数字にはイラク人の犠牲者が入っていないし、先進国がイラクへの債権放棄したのも含まれていない。イラクの人々や同盟国を尊重しないのか」と反論。これに対してエドワーズ氏は「現政権が国民をミスリードする典型例だ」と。
○イラクの論点は、基本的には、イラクの現状を悲観的に見るケリー氏側と、今までの業績を強調し、「自由」という目的の高邁さを訴えるブッシュ氏側ということになる。今から喜んでイラクに派兵しようという国がないから、イラクの治安維持に多くの国の参加を求めるのは夢物語、という意味ではブッシュ氏側が正しいが、ケリー氏側は、そもそもこうなったのはブッシュ氏の失政なのだ、と言っている。この点に限って言えば、アメリカの世論はケリー氏側に傾きつつあると思う。
○チェイニー氏は、ケリー氏とエドワーズ氏の両方にかなり厳しい個人攻撃を加えていた。とくに、ケリー氏の30年にわたる上院での投票行動をやり玉に挙げていた。30年間投票していれば、いろいろと攻撃材料が出てくるものである。ブッシュ大統領は今のところこれを攻撃材料として使っていなかったのだが、今日の討論ではチェイニー氏が具体例を挙げて攻撃した。「90分の言論で30年の投票行動を隠せない」と。また、エドワーズ氏が上院の欠席率が高いとして、「私は(上院議長として)毎週火曜日に議会に出ていますが、今日初めて会いましたね」などと批判していた。それに対して、エドワーズ氏はチェイニー氏の下院議員時代の投票行動をもちだして反論。「キング牧師記念日に反対」とか、「マンデラ氏釈放決議に反対」とか、今の常識では考えにくい保守的な例を挙げていた。この攻撃はけっこう有効だったのでは。この辺りの個人攻撃は、共和党が広告などを通して進めている戦術と一貫していて、チェイニー氏は自分の役割を果たしていたと思う。しかし、あまり繰り返すと国民に飽きられるのではないかという気がした。
○一方、現政権は国内政策ではかなり問題を抱えているのではないだろうか。この討論が行われたオハイオ州クリーブランドは貧困率がアメリカ一高い都市だそうだが、現政権の政策で貧困層が助かるようなものはない。せいぜい減税くらい。(しかし、減税で最も潤ったのは高所得層なのだ。)この問題は民主党のおはこである。特に、法廷弁護士として一般庶民の側に立って戦った(ということになっている)エドワーズ氏は、この辺りの問題になると説得力があると思った。論争が国内問題に移る3回目の討論では、ブッシュ氏はかなり苦戦するのではないだろうか。
○ブログをいくつか見てみると、チェイニー氏のやる気がなかったのでは? という指摘がいくつかあった。ハリバートンに関するエドワーズ氏の攻撃にしても、「すべて論破されています。ウェブサイトを見て下さい」と言うだけ。また、チェイニー氏の娘がゲイのため発言が注目された同性婚に関する質問でも、一回目に自分の主張を述べた後、エドワーズ氏の主張に対して反論する機会が与えられても「私の家族に対して敬意を払ってくれてありがとう」と言って終わり。自分の言いたいことが言えればいいという態度が目立った。これについて、4年間の激務の後の疲労か、それとも無関心か、といろいろと憶測が飛び交っていた。
まとめ。副大統領討論が選挙の行方を決めるということはないのだが、選挙戦の方向性というのは見えてくる。ケリー氏側がイラク戦争の「間違い」を主張しても、ブッシュ氏側が今までの楽観的、希望的な見方をここにきて変えるというのは考えにくい。一方、ブッシュ氏側はケリー氏の上院での投票行動などを通してケリー氏の「資質」を疑問視する。これについても、この前の討論で見たように、ケリー氏側はかなりはっきりとした答えを用意してきて、真っ向から反論している。4年前のチェイニー氏対リーバーマン氏の討論では、二人の経験豊かな政治家が実際に論争を戦わせているというイメージがあったが、今回は、チェイニー氏はこの4年間の政策を弁護しなければならない。民主党側は特に外交・軍事では経験不足という感じだが、選挙に勝つための戦術として、反論が難しい大きなポイントを繰り返している。結果、二つの世界観が交わることなく共存するようなことになっている。こうなると、どちらが論争に勝ったか、ということよりも、中間層のまだ決めかねている人々にどちらの世界観が「現実的」と思えるかが勝負を決めることになると思う。
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» とりあえず、これ見て笑え from ( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェー
えー、あちこちで殺伐としているこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
現在アメリカ大統領選挙の候補討論が行われていますけど、
なんだか民主党のケリー候補有利で進んでいるよう�... [Read More]
Tracked on Oct 8, 2004 12:27:46 PM
Comments
録画しておいた討論会を一通り見てみましたが、
1) 司会者の質問に対して、エドワード候補がはぐらかしてしまうことが多々
見られたこと(ケリー候補の言う"need to pass the global test"とはいったい
何なのか、減税を謳いながら同時に財政均衡をどうやって行うのか、等々)
2)上院および諸委員会の出席率が悪いことをチェイニー副大統領に指摘され、
なおかつしっかりと反論できなかった(欠席率7割は事実と認めてしまった)
3)司会者の「ドイツとフランスはケリー候補が大統領になったとしても、イラク問題に
関しては協力しないと言っている。国際協力によってイラク問題をまとめると
ケリー陣営では言っているが、どのようにして他国の協力を得るつもりなのか」
という質問にしっかりと答えることができなかった(イラク問題について本当に
プランを持っているのか疑問を覚える)
などの理由で、私にはどう見てもチェイニーの勝ちとしか見えませんでした。
Posted by: at | Oct 7, 2004 1:28:37 AM
トラックバックさせて頂いた記事にも書きましたけど
jibjab.comの大統領選を皮肉ったFlashと
「サウス・パーク」の作者が作った人形劇映画「チーム・アメリカ」の予告編で
大爆笑してます。
2回目の大統領候補討論会は、所用のためLiveで見られそうにありません。
#というか、現在台風接近中で関東地方は大雨です。
electoral-vote.comの調査結果でもケリーが逆転したので
ブッシュがどんな手を使ってくるか?非常に気になります。
Posted by: ( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェー | Oct 8, 2004 12:41:18 PM
今晩の二回目の討論のあと更新すると思います。
> at さん
どちらが勝ったかについては、世論調査でも割れているようですね。
ケリー氏同様、エドワーズ氏は外交・防衛に関しては知識も関心も低いのではと思いますが、この討論でもそういう部分は表に出ていたと思います。一方、チェイニー氏は討論後のコラムなどで、かなりあからさまな曲解があったと批判されています。例えば、「イラクとアル・カイーダが関係があると示唆したことはない」とか言っていましたが、実はその数分前にそういう発言をしているんですよね。また、「あなたとは会ったことがない」という発言も、その時は効果的な攻撃だと思いましたが、後で実際に「会った」写真が出て来たりしています。今週は、ブレマー氏の政権批判、WMDの調査書など、政権に不利なニュースが続きました。
> ( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェー さん
jibjab.com は新作が出たんですよね。今回の作品はなぜかやたらとゲイネタが多いような…。
Posted by: むなぐるま | Oct 8, 2004 1:44:38 PM