むなぐるま

アメリカ在住の研究者(の卵)による日常観察・オピニオン系Blog

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October 27, 2004

米大統領選挙の引き分け・延長戦ルール?

ケリー対ブッシュの大統領選も大詰め。どの世論調査を見ても大接戦になっており、新聞などでは、4年前の悪夢が再現か…という懸念が浮上している。周知の通り、4年前の選挙はフロリダ州の投票結果がなかなか確定せず、再集計、法廷闘争の末ブッシュ氏に選挙人が与えられることとなった。ところで、この2000年・フロリダ州の選挙、民主党支持者には、ゴア氏が勝ったのだと信じて疑わない人が今でも多いのだが、私は、「引き分け」だった、という説を支持している。

これはある数学者が言っていたのだが、つまり、投票結果は誤差の範囲内であり、あとはどの票をどう数えるかという「数え方」によって選挙の結果が左右されるのだから、どちらが「勝った」ともいえない、というのだ。「一人一票の投票用紙をきちんと数えれば…」と考えがちだが、あのときの大騒ぎで、一票の「意志」というものにも相当な曖昧性があることがはっきりしたと思う。また、どんなに選挙システムの精度を上げても、差が小さければ、ルール次第で勝者が変わってくることは十分にあり得るわけで、その「誤差の範囲」をなくすことはできない。そして結果が誤差の範囲内だったらやっぱり「引き分け」なのである。

もちろん、2000年のフロリダの接戦の結果、投票用紙の不備、在外投票制度、また数千人規模と言われるマイノリティ中心の投票妨害などのアメリカの選挙制度の様々な問題に光が当たったのは確かである。(特に最後の問題は重い問題で、今回も問題が繰り返されるのではと特に民主党が注意を呼びかけている。)ともあれ、結果として最高裁の裁定で結果が確定したため、裁判所が結果を決めたという印象が残って後味の悪いことになった。jibjab.comのFlash動画でも、最高裁判事達が「あなたたちが投票しないとわれわれが大統領を決めちゃうぞ」と言っているのもそういう印象を裏付けている。

さて、今回こそはフロリダの教訓を生かして、問題点をすべて解消しているのでは…と思うのだが、じつはいくつか法廷闘争にもちこまれそうな要素が生まれてきている、という。大統領選挙と法律についての専門家がElection Law Blogを運営しているのだが、このブログを覗いてみるだけで、あまりの潜在的な法的問題点の多さに驚く。同じ著者が、Slate.comのほうで、選挙の結果を左右する法的問題点を5つにまとめているのがわかりやすいので、これに沿ってまとめてみる。

(1) 投票所の設備の故障・不備による訴訟。4年前は「ちょうつがい式投票用紙」の不備で相当もめたが、今回は、前回の選挙以来投票所の備品を取り替えたところが多く、初めての実戦が大統領選挙というところが多いらしく、故障や不正などで前のような混乱が起こる可能性がある。

(2) 有権者の資格審査に関する訴訟。最近の法改正により、投票所で投票資格がないと判断された人でも、仮投票用紙を使って投票し、後日資格を確認した上で正式な票と認められる、という手続きができた。しかし、この手続きのため、有効か無効かわからない票が数千票単位で生まれる可能性があり、接戦になった州ではこれらの票の有効・無効をめぐって訴訟になる可能性がある。また、既に、有権者の投票資格を不当に奪ったのではないかという疑惑がネバダ、ペンシルベニアなどで起こっており、これらが問題となることもありうる。

(3) コロラド州 "Amendment 36" をめぐる訴訟。コロラド州では、勝者が選挙人総取りする現行法を改めて、投票数に応じて比例配分すべきという改正案が住民投票にかかっており、もしこれが通ればこの選挙から適用となる。つまり、9人の選挙人のうち、最大4人が敗者に配分されることもあるのだ。この改正案、この選挙から適用となる「事後法」であること、また、選挙人に関する法律を決める権限は議会にあるという憲法違反であるという議論も成り立ちうるため、この4票をめぐって訴訟が起こる可能性もある。

(4) 議会によって大統領が決まる場合の訴訟。選挙人が同数の場合、下院(各州一票)の投票にゆだねられるのだが、これが問題になる可能性もある。また、選挙人が、本来投票すべき人物に投票しないことも可能であり、その最終判断が最高裁の手にゆだねられる可能性もある。

(5) 投票日にテロ事件などが起こった場合、投票時間を延長したり、投票を延期するかどうかについての訴訟。こんなことがあったら本当に大変なのだが、このような場合の投票の延長・延期については規定がない州が多く、裁判所が介入する可能性がある。

そんなわけで、11月2日の投票が終わっても、僅差ならば結果がすぐに出ない可能性も大きい。まあ、前回は結局最高裁が選挙の結果を決めることとなり、それに関して最高裁の権威や公平なイメージが損なわれたのは確かで、前のようなあからさまな介入はしないのではないかという観測もある。しかし、ある調査では、アメリカ国民の60%が、選挙の結果は24時間以内に判明しないと考えているらしい。これって、アメリカの選挙制度が破綻している証拠ではないかと思うのだが。ともあれ、「タイブレークルール」が発動しないよう、どちらが勝つにしても十分の差をつけて勝つことを願っているアメリカ人は多い。

さて、今日出た世論調査によると、電話世論調査の結果を、実際に投票した人種比率に基づいて補正をかける(電話世論調査のサンプルには白人が多い)と、接戦の州でもケリー氏が5%ほどリードしているらしい。(参考)もし黒人などマイノリティの投票率が上がれば、ケリー氏がかなり有利になるだろうという分析になっている。この時期になると毎日出る世論調査の数字は、携帯電話しか持っていない人は含まれないなど、どうしても正確な投票行動の予想はしにくい面があり、投票結果はこの数字だけでは予想できないといえるだろう。

P.S. イラクで人質になった日本人の方の無事を祈ります。ザルカウィ派だとすると、生存は難しいかもしれない。しかし、無事であって欲しいと願う。なぜ今時イラクに行ったの? とかいう質問は、無事に帰ってきてからするとして。

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「グッドニュースとバッドニュースがある・・・」というのはアメリカンなジョークの定番だが、これはどっちやら。 レッドソックスのシリング投手が大統領の応援演説 http://munaguruma.b... [Read More]

Tracked on Oct 29, 2004 4:36:52 PM

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