むなぐるま

アメリカ在住の研究者(の卵)による日常観察・オピニオン系Blog

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November 30, 2004

アメリカの今年の流行語大賞:Blog

Publisher: 'Blog' No. 1 word of the year (CNN)
辞書の出版社 Merriam-Webster が、自社ウェブサイトの検索結果をもとに選んだ "Word of the Year" を発表。第1位は、"blog" だったという。ちなみに、この単語の定義は、"a Web site that contains an online personal journal with reflections, comments and often hyperlinks provided by the writer" (筆者が自分の考え、コメント、そしてしばしばハイパーリンクなどを載せたオンライン日記を含むウェブサイト)。この単語、来年の11版から同社の辞書にも載る予定のようだ。

記事にもあるように、ラザーゲートなど、ブログが大統領選報道に大きく影響した1年でした。

トップテンに乗った単語を見ると、大統領選関連の "incumbent" (「現職」)、"partisan"(「党派的」)、またイラク戦争絡みの "insurgent" (「反乱分子」)"sovereignty" (「主権」)などが目立つ。それにしても、10位の "defenestration" (ものや人を窓から投げ出すこと)って何で有名になったのだろう?

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国連アナン事務総長と有名ブロガー

国連アナン事務総長退任まであと二手(極東ブログ)

石油プログラムの汚職事件に絡んでアナン事務総長の立場がかなりやばいという話。スキャンダルが辞任に値するところまできていることに異論はないのだが、このWSJの記事の著者が、ラザーゲートで旗振り役を演じた有名ブログ instapundit.comのブロガー、グレン・レイノルズ教授というのは頭に入れておいたほうがいいかもしれない。彼は国連のOil-for-Food program についてはかなり執拗に追っかけていた。ラザーゲートとの共通点は、ある意味、イラク戦争の裏ネタでアメリカの大手メディアに乗りにくい話題と言うことといえるだおるか。

ここでチェコのハベル元大統領の名前が出てくるのは、ウクライナ情勢でポーランドやチェコなど旧東欧諸国の対応にスポットが当たっているということと関係がある。ワレサ議長は「民主化」の名の下にユシチェンコ派を支持しながら「しかしこのことは(他国の介入ではなく)あなたたち国民が成し遂げなければならない」という微妙なメッセージを送り、ハベル氏は再三野党候補を支持する人々を応援する声明を出したりしている。レイノルズ氏のような人には、このケースも、イラク戦争でアメリカ支持にまわった「新しいヨーロッパ」諸国と、事なかれ主義で腐敗している国連やフランスという対比が見えるのだろう。この記事では「ハベルを国連総長に!」という声が聞こえる、とあるが、instapundit.com 系の右派ブログが中心だと思う。この数日のinstapundit.com ではこの話題を扱うブログへのリンクが張られていた。ここにもブロガー対大手メディアの対決の余波が見えるということか。しかし、レイノルズ教授は言ってしまえばいちブロガーであり、つい最近までは大手メディアへの露出は少なかったが、先日は英ガーディアンのサイトで米大統領選コラムを連載したり、今回はWSJのOp-Ed登場と、だんだんメジャーになってきた。

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November 26, 2004

ウクライナ情勢〜革命はブログに記録される

"The revolution will be blogged." というのはandrewsullivan.comのトップページに掲げてあるあった言葉なのだが、現在のウクライナ情勢でも数多くのブログが詳細なレポートを発信している。英語圏のブログで見つけた関連のブログをいくつか記しておく。
Europhobia: ここ数日の出来事をほぼライブで伝えている。事態の進展がよくわかる。
Le Sabot Post-Moderne, TulipGirl, Neeka's Backlog: キエフからのレポート。デモのフォトログも。
A fistful of Europe: まとめ記事。リンクも多い。

これらのブログを読む限りでは、野党候補のユシチェンコ氏への支持の熱気が伝わってくる。例えば、上にあげた "TulipGirl" に載っている、著者の友人からの手紙:

"Quite recently I didn't believe that my people able to resist to violence and humiliation. 2 month ago I guessed that I live in the worst country in the world. I was oppressed when I could not see a dignity in my fellow citizens, that I could not see the willingness to freedom and happiness in them. I considered that there is no passionaries in my country, and even when they appear all the rest start make propaganda: "they just have nothing to do" or "they just want to take the power". And for me there was obviously the main difference between Ukrainians who says "What can I do?..." and for example Americans who says "Just do it!" I hated that strong negative feeling rising in me every time when I saw alcoholics or drug addict urinating at doorway, when I saw students who are timid to reject an extortion of theirs corrupted professors, when I saw animal obedience of journalists and governmental administrators to theirs masters who even does not paid them enough.

November, 22 I started to be really proud of my co-citizens. Now I can see that them are not passive mammals who want just to dig comfortable burrow, to generate they own posterity and to finish life in poverty, pretending that there is no another way. Since November, 22 there was not a crowd on the main square of my country. It is the PEOPLE. It is the NATION. Love, faith and hope filled up a whole space of capitol of my country and warm these people who spend the nights on the frost snowing street instead to lie down on the sofa and watching the "pocket" TV channels and chewing sausage…

And now I know for sure that there are a lot of us. But we are not only the force able to be the opposition to a criminals and cads. It can not be enough for me, I think. We are the people in the most exalted and humane sense of this word. And not only number turns us to be the force, but exactly these LOVE, FAITH and HOPE which live in everybody now.

Ukrainians, I am happy that I was so wrong about you before!"

キエフのデモの参加者を読んでみると、冷戦終結後に見られた「民主化」デモと同じような雰囲気が伝わってくる。現地情勢の背景について私はよく知らないのだが、チェコ元大統領のハベル氏がデモ参加者にエールを送った(参考)ことが一つのバロメーターにはなっていると思う。また、ウクライナの地政的な位置づけから、この情勢をロシア・EU・米国などの外交的な駆け引きのなかで捉えることももちろん重要だろう。(極東ブログの記事はそのようなスタンスで書かれている。)しかし、ワシントン・ポストの社説では、ロシアと西側のウクライナへの影響力をめぐる綱引きという見方を「大きな歪曲」としている。人々が厳寒のキエフの夜に4日連続でデモに参加したのは、自由なマスコミや民主的に選ばれた政府のためであると。(さらに、この社説では、民主化と言うことで筋を通すならば西側はプーチン氏と袂を分かつべき、と書いているのが興味深い。)地政的な情勢を前提にしつつも、民主的なプロセスという視点に立ってあえてスタンスを取っている。たとえば朝日新聞はこういう社説を書くような新聞を目指したらいいのではないだろうか。また、ハベル氏の発言を紹介しているinstapunditの読者からは「ハベル氏を国連総長に!」という声が上がっているのも面白い。レイノルズ教授は国連のoil-for-foodプログラムの国連腐敗疑惑については徹底的にフォローしてきた。つまりは、アメリカで国連に不信感を抱き、イラク戦争を支持するような層は、このような時こそ国連が仕事をすべき、と考えているということだろう。イラク戦争以来、「民主化」「自由」という言葉も、アメリカの国益の隠れ蓑になっているという側面に焦点が当たっているが、それはそれ、これはこれと考えられないだろうか。

もちろん、ブログだけを読んで客観的な情勢把握ができるわけでもない。特に、英語で発信するブロガーは現地の米国人や親米的なウクライナ人(またはその声を代弁する人々)だから、情報が偏っている可能性はある。また、現地のブロガーの多くはユシチェンコ支持に回った国の西側にあるキエフから書いているようで、ヤヌコビッチ氏の地元のドネツクでは氏が根強い支持を得ているという報道(BBC)もある。しかし、現在のキエフの情勢のように、マスコミは与党のコントロール化にあったのが、ストライキやボイコットにより野党側の声を伝え始めている、という情勢の中で、このように現地の人の声が聞けるというのは興味深い。また、民主化支持の署名活動なども始まっており、これらのブログはそれらの活動の広報・宣伝に一役買っているようだ。英語圏のニュースソースでは例えばBBCなどがかなり包括的に情勢を伝えているが、ブログも独自のニュースソースとして他のメディアでは得られない情報を発信していることは確かだと思う。

ふと思うのだが、日本人が英語で発信しているブログがいくつあるのかな、とは思う。現在キエフで起こっていることが東京で起こるとは考えにくいが、たとえば何か国際的に関心を呼ぶ事件があった場合、地元の視点から英語で発信するということは、かけがえのない価値があると思うのだ。日本のブログの現在をめぐる状況に関して、私自身も含めてそれこそ超どうでもいい議論が続いているが、日本のブログ(というか、日本のメディア全体)が英語圏、あるいは他の言語圏のメディアに開いていないというのがひとつの大きな課題だと思う。それは、英語などで手に入る情報が日本語のメディアに流れないということもそうだし、日本語圏から英語圏に発信することが少ないということでもある。どちらにせよ、英語がデファクトの世界公用語である以上、そこに流れている情報、あるいはそこに通底する価値観の体系のようなものに日本語の世界をどうつなげていくか、というのはとても重要な課題だと思う。

【追記 11/30】"The revolution will be blogged" という言葉は、前はandrewsullivan.com のトップページに載っていましたが、現在は別の言葉が出ています。今載っている "Freedom means freedom for everyone." というのは、チェイニー副大統領のゲイの権利擁護発言の言葉ですね。

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November 23, 2004

ダン・ラザー、3月に「CBSイブニング・ニュース」降板へ

Rather to leave anchor desk in March (CNN)

 今日、ラザー氏自身が3月をもって「CBSイブニング・ニュース」を降板することを表明。これからは『60ミニッツ』(日曜・水曜版両方)の特派員としての役割に集中するとのこと。後任は未定。
 ラザー氏からはメモ疑惑(ラザーゲート)についての言及はなしだが、他のメディアは当然ながらその関係についていろいろと言及することだろう。メモ疑惑についての調査結果の発表も間もなくありそうだ、ということ。
 一つの区切りなのだが、「パジャマハディン」ことブロガーたちとの関係では、もう勝負はついていたという気がする。でも、メモ疑惑で問題になった『60ミニッツ』のほうは辞めない、というのは、これはスキャンダルの責任を取っての降板、ということではないのだろうか。ラザー氏が平気な顔をして『60ミニッツ』に登場したとき、ああ何も変わってないんだな、という実感がわくことだろう。
 『60ミニッツ』の報道は、リベラル偏向などの批判もあったが、私は調査ジャーナリズムの模範の一つと思っていたので、はやくそちらの方の信頼を回復してもらいたいと思う。しかし、『60ミニッツ』の面子もお年寄りが多い。アンディ・ルーニーとか、最近はお小言を聴いているような印象しか受けない。チャーリー・ローズあたりを中心に据えて世代交代しないと。

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サンクスギビングと憂国忌

サンクスギビング・デーは今週の木曜日なのだが、ここ2年ほど、サンクスギビングというと三島由紀夫を思い出す。

というのも、2年前のちょうど今頃、学部生向けの日本文学の授業の教材を探していて、 "MISHIMA: A LIFE IN FOUR CHAPTERS" (1985) をDVDで借りてきていた。ちょうどサンクスギビングの休暇間近の月曜日だったので、友人達を何人か誘って見たのだが、見終わった後もしばらく映画の余韻を味わっていたのを今でも思い出す。そして、その日に思い出したのか、後になって気がついたのか失念したのだが、その映画を見た日がたまたま11月25日、いわゆる憂国忌だった。それで、ああ、アメリカでこの日本で公開されなかった映画を見ながら知らずに憂国忌を記念していたのか、と思って感慨に打たれたのだった。それから、何だかこの映画とサンクスギビングには縁がある。去年、今年と秋学期に "MISHIMA" を学生に見せているのだが、なぜかこの時期に重なってしまう。今年も、水曜日に見せるから、一日早い憂国忌である。

この映画は1985年封切。監督は「タクシー・ドライバー」の脚本家であり、小津安二郎をいち早く米国で紹介したことでも知られるポール・シュレーダー。三島役には緒方拳。その他、沢田研二、永島敏行、佐藤浩市、左幸子など。若き日の板東八十助や三上博史も出ているし、萬田久子や烏丸せつ子がチョイ役で出ていたりする超豪華な顔ぶれ。笠智衆もカメオ出演したのだが、惜しくも最終版で編集されてしまったそうだ。(私の持っているDVD版ではこの場面もおまけで見られる。)フィリップ・グラスがドラマチックでぎらぎらした音楽を提供している。また、舞台美術はのちにアカデミー賞を受賞することとなる石岡瑛子。この映画、1985年カンヌ映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞していることからもわかる通り非常に完成度の高い映画なのだが、日本では未公開。それも、三島の未亡人が、三島の同性愛を描いたシーンを削除するよう依頼したが聞き入れられず、未だに許可が得られていないためだという。輸入版がレンタルビデオ屋で出回っているという情報もあるが、不明。ま、米国在住の私には関係なく見られる。しかし、この映画が日本で見られないというのは、どうしたものか。まあ、未見の方は是非見て頂きたい作品だ。(amazon.comの商品ページ; Region-1なので注意)

本編は、1970年11月25日の出来事を追いながら、三島の生涯をフラッシュバックで補い、それに更に『金閣寺』『鏡子の家』『奔馬』のストーリーを織り込むという形式を取っている。フィクション部分は、石岡氏デザインの、色鮮やかにデフォルメされた舞台美術が際だち、ずいぶん簡略化した「映画化」ながら、三島作品の世界の感触を再現している。また、小説の場面と三島自身の生涯をオーバーラップさせることにより、フィクションに影を落とす作家のメンタリティを描くことに成功している。

この映画を見ていると、三島が海外の意外なところで理解者を得ていたのかな、という不思議な気分にとらわれる。たしかDVD版の解説で聴いたのだが、シュレーダー監督は三島を自ら創作した「タクシー・ドライバー」の殺人犯トラヴィス・ビッケルと比較している。どちらも、自意識過剰な人間が都市の中で孤独に耐えられなくなって精神異常になるまで追いつめられたのだと。こう書くと、三島を崇拝する人達に叱られそうだが、映像で描かれた三島には監督のシンパシーを感じる。特に、切腹直前に三島が演説するシーンでは、画面は昼食休みに出てきたあきらかに無関心な自衛隊員、そして空中を飛ぶマスコミのヘリコプターなどを余すところなく捉える。本人の熱情とは対照的に冷め切った周囲の反応。そして、一生最後・最大の芝居として用意周到に備えてきたが思わず現実に裏切られる皮肉。

私は、三島の割腹事件の後に生まれた。もちろん三島の事はリアルタイムでは知らない。三島作品というのは、高校生のころはいまいちぴんと来なかった。というか、読まなかった。せいぜい、島田雅彦と浅田彰が「三島の割腹事件のとき何してた?」とか雑談していたのを読んだくらい。しかし、ネットで憂国忌についてのレポートなどをどこかで読んだのだが、三十年以上経った今でもますます盛況のようだ。日本文学を学ぶようになって自分でも三島の作品をいくつか読んでみた今は、やはり今の日本人として「ミシマをどう思うか」という問いには答えられなければならないような気がする。三島が切腹することで、なにが死んだのか、そして何が生きながらえることになったのか、と。それは、エキゾチックな日本を見たい・知りたいアメリカ人のまなざしに応えるということではなくて、いまの日本にある、身近な何かを再確認する契機になりそうな気がするからだ。そう、ちょうど村上春樹がプリンストン大学の図書館でせっせとノモンハンの井戸を掘り続けたように。

【追記 04/11/23】このエントリ、読み直してみると肝心のことが書けてないような気がします。ブログの記事を書きながらある事柄について「書きにくいなあ」と思うのは、結論がわからずに書き始めて、書くプロセスで模索したのだが結局答えが出なかった、という場合と、書きたいと思うことは何となくわかっていながら、それをどう書いていいかわからない場合とあると思うのですが、このエントリは後者のケースだと思います。その点、finalventさんの三島についてのエントリは参考になります。結局、三島の死が表象する「日本」とは何なのか、ということなのでしょう。この辺の話を始めると話が救いようもないほど錯綜して手に負えないという反面、少しずつほどいていく努力も必要だと感じています。ともあれ、もう少し勉強します…。

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November 22, 2004

ココログ雑感

Typepadからココログへの移転は結構スムースでした。以下、ココログを使ってみての雑感。

○Typepadは中国のネット環境からはブロックされて見られないようです。(そのためNorth Korea Zoneは独自ドメインに引っ越した。)そんなわけで、今回のココログ移転により中国在住の方も「むなぐるま」が読めるようになりました。いらっしゃいませ。(このことは「当代江北日記」からトラックバックして頂いた記事で気がつきました。Jonah_2さん、どうぞよろしく。)

○少々テクニカルな話ですが、引っ越しの手順。
ブログのエンジンが同じTypepadということもあって、基本的にはTypepadから書き出し→ココログへ読み込みで、コメントやトラックバックを含めてデータを移すことができます。もっとも、直接移そうとしたらエラーが出てしまい、書き出しファイルを少々手入れしました。まず、ココログの方はベーシックで「追記」フィールドを使えないようにしていたので、すべて「本文」に含めてしまい、それから、LFをすべて取り除いてセーブしました。これでOK。(どちらで引っかかっていたのかは、不明。)それから、サイト内リンクをmunaguruma.blogs.com/jp/からmunaguruma.air-nifty.com/blog/へすべて置換。エンジンが同じなので個々の記事の名称もドメイン名以外は全く同じ。というわけで、引っ越しは楽でした。また、Movable Type互換データを吐いてくれるブログは、将来的にもデータの取り出しが容易にできるというメリットを実感できました。(News Handlerから引っ越したときは、すべて手動でやって大変でした。)

○今のデザインは少し文字が小さいですが、気になる方はブラウザで文字の大きさを調整してください。また、以前は「追記」機能で、トップページでは最初の2、3行のみ表示し、残りは「続きを読む」をクリックしてもらうというやり方をしていたのですが、今回は全文一度に表示するようにしました。どうでしょうか? (これもそもそもはTypepadの転送量対策で始めたのですが、その心配もなくなったので。)現在のデザインについてコメントがありましたらこのエントリに付けてください。しかし、こうして全文表示でエントリを並べてみると、まあよくこれだけ書いたものだな、とは思う。

○そう、ココログは(少なくとも今のところは)転送量制限なし! コメント、トラックバック、遠慮なく送って下さい。

○私はブログを書くのにectoというソフトウェアを使っています。これはオフラインで書けるし、最近のログが保存されるので便利。タグ打ち込み支援や、WYSIWYGインターフェースもなかなか。これも、Typepad互換のココログでは問題なく使えています。

○移転に際していろいろなブログシステムについて少し読んでみたのですが、現在ブログで圧倒的なシェアを誇るMovable Typeというシステムは、基本的にサーバー負荷が大きく、転送量も無駄が多いシステムではあるらしい。そこで、Movable Typeを手動で細々とチューンアップしたり、次世代ブログシステムが登場するのを待つ手もあるのでしょうが、私としては、そういうことに時間を使うのであれば、現状でそこそこよいパッケージのココログにさっさと移転して、今は書くことに集中しようと思ったわけ。ブログという形態も、2、3年したら時代遅れになるのでしょうが、とにかく今それなりに心地よく更新できるシステムで書いていく、という姿勢でいます。

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November 18, 2004

読者からのメール 11/18/04

読者のmtさんという方から次のようなメールを頂きました。アメリカの一般の人々の雰囲気が伝わってくるご意見です。

-アメリカ人の投票行動の基礎?

私は、多くのアメリカ人にはテロもイラク戦争も財政赤字も「形而上」の話なのではないかと思うのです。自分の身の周りで起こっていることではなくあくまでもテレビの中のことではないかと。一方この4年間、身近なところで具体的に何か困ったことが起こった訳ではない。税金が上がったわけでも物価が上がったわけでも失業が増えたわけでも治安が悪化したわけでもない。金利が安いので家も買い換えたし。飛行機に乗ることもない地元での生活なので厳しいセキュリティチェックにあう事もない。そして王侯貴族のような生活ではないが、十分豊かな平和な暮らしをしていてまあ満足している。だとしたら積極的に大統領を変える理由がない、というではなかったかと思うのです。(だからある程度以上の生活をしている大卒の人がブッシュを支持したのではないでしょうか?)
逆に、同姓結婚は、私の秘書いわく、「私は別に気にしないけど、15歳の子供が同姓結婚がかっこいいと言うの、子供がそう考えるような状況を生み出すのは困る」と言っていたので、そういう形でテレビの中の話に留まらず普通の人の身の周りに影響してしまったのでは、と思っております。

一方、大学で働いていたり映画評論家をしていれば、その仕事自体が「形而上」なものですから、イラク戦争ももっと近く考えるのではないでしょうか?(失礼致しました) また出張で飛び回っているビジネスマンは空港セキュリティが厳しくなったことを肌で感じているでしょう。こういう人たちがブッシュに反感を持つのも理解できるかと思います。

また、ブッシュ支持・不支持が、その人の「知的レベル」を示す「リトマス試験紙」のような役割をしているとアメリカのエリートは無意識に感じたのではないでしょうか? ちょうど「すし」を食べることが知的でありリベラルであることを示すように(アメリカ人はおいしいからすしを食べているよりもマクドナルドを食べるほどばかじゃないことを示すために食べている部分があると思います)。だから細かい政策うんぬん以上にそういう部分が影響したのではと思いますが。

つまり私が申し上げたいのは、宗教や党派という部分で投票行動が決定され固定化された、というのは、必ずしも正しくないのでは、と思うのですがどうでしょうか? (基本的な問題提起はなぜイラク戦争の英雄のブッシュ父がその半年後に大統領選挙に負けたのかという部分から来ているですが)  もっと身近な部分の経験が判断を決定させる気がするです。

-アメリカの分断?

そこからの関連で、アメリカが二つに分断されている、という言い方は2つの意味で余り正しくないと思っています。1つは日本人から見れば、アメリカ外から見れば、やはり大きな「アメリカ」という枠を越えていないのではと思うのです。その枠の中での違いであり、基礎となっている部分、共有している部分は大きいのでは、と思うのです。例えば、アメリカ人が共産党を許容することが無いように、アメリカ人が燃えるごみと燃えないごみの分別をすることを考えないように。アメリカ人が車のない生活を考えられないように。その違いは本当に東京人と大阪人の違いより大きいでしょうか? だから日本のマスコミがアメリカのマスコミの論調をそのままコピーすることは誤りだと思っております。

もう1つはアメリカ人はもっとpracticalでありmaterialなのではないか、と思うのです。政治信条を貫くために自分の生活を犠牲にする、ということはあまり無いのでは、と思うのです。上で述べたようにもっと身近な部分の経験が判断を決定させる気がするです。

以上長くなり申し訳ありませんが、私としては何となく疑問に思っていて、ただおそらくアメリカ人にとっては余りに根本的すぎて誰も意識して取り上げていないということかと思った次第です。あるいは単に私に認識が誤まりなのかもしれません。

これからも、情報提供・ご意見のメールなど、適宜このように転載したいと思います。(転載の際はこちらからご連絡いたします。)

それから、この数日、多くの応援メールを頂きました。また、アソシエイトでのお買い物という形でサポートの意志を示してくださった皆さんにもこの場を借りて御礼申し上げます。(こちらからは、その方々のお名前がわからないものですから。)

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November 16, 2004

論壇系ブログのために今できることは何だろうか?

切込隊長氏と「ネットは新聞を殺すのかblog」の湯川氏の間での、ブログによる論評、ジャーナリズムについての議論を読んだ。切込氏の最近のエントリには、ブログ界隈を盛り上げていこうという気概が感じられて読んでいてとても面白いのだが、この議論も、切込氏の問題意識が感じられた。お二人の議論については、湯川氏の最近のエントリで総括されておられるように、湯川氏が「『参加型ジャーナリズム』という遠い未来の夢」を語る一方、隊長は「実体験に基づく現実論を説いている」というところだろう。お二人のエントリを読みながら議論・論壇・オピニオン系のブログのあり方についていろいろ考えさせられたので、性懲りもなくまた自分の考えを書いてみる。

私としては、前に「論壇系ブログ」についていくつかエントリを書いており(参照)そちらも参考にしていただきたいのだが、最近、ブログをやめようと思っていることなどもあり、当時とは若干考えが変わっている。なるべく具体的にいくつかコメントしたいと思う。

○ブログが将来的にジャーナリズムに「融合」したり、それを「補完」したりするかどうか、ということについての将来展望について、それが5年先であれ50年先であれ、机上の空論ではあまり意味がない。むしろ、今現在、自分がブログ(広く言えばインターネット)を、紙メディアや放送メディア(TV、ラジオなど)に代わるニュース源として使っているかどうか、また、どんな情報を求めているか、また、書き手は他のメディアにない情報を発信できているか、ということを自問自答することが必要だと思う。その意味で、切込氏の具体的な数字(2ちゃんねるはTVの視聴率に換算すると1.6%程度)というのはメディアの規模を知る上で有益な指標なのだが、いっぽうで、インターネットというメディアの特徴を捉えれば、ニッチマーケットになりうるかもしれない。とにかく、ブログの書き手が総体的に面白い読み物を提供するようになり、人々がブログに注目するような状況にならない限り、この辺りの議論は無意味だと思う。その意味では、ブログ・ジャーナリズムをやりたい人は、そのへんのメタ的議論よりも、ブログ自体を盛り上げることが必要だろう。

○で、誰がそんな「面白い読み物」を提供するか、ということだが、そこで結局、切込氏の言う、「利得のないところに情報は流れてこない」という問題に行き着く。現状では、いい書き手がブログで書くという必然性がほとんどないのが大きな問題だと思う。私は、自分でもpolitical junkie属性があるのは認めるが、結局、ブログは、専門外の課外活動以外の何者でもない。目的としては、まあ時事ネタに絡めたコラムを書く練習と、そうでなければいろんな世の中の動きについて意見を言いたいという欲求を満たすという程度のものが大部分で、自分の専門領域との重なりは少ない。だから、ブログにそこまでは自分の時間と労力を投資できないし、本業が忙しくなればブログはやめる。その点、政治学やジャーナリズムの大学院生などが、もっともっとブログに本気で参戦すれば面白くなるのに、とは思う。

○また、送り手のコストの問題として、転送量増加というのも意外な障害である。具体的に、私が現在使っているTypepadで、現在のPlusプランでは1か月3GBの制限があるのだが、拙ブログの現状では2000Hit/日くらいで、このキャップの80%くらいになってしまう。Proレベルにアップグレードすれば5GBまでキャップが増えるが、それもこのまま成長していけばすぐだろう。ココログなどでは転送量制限がないということなので、つくづく失敗したと思っている。また、自前のサーバーでやっても同じ問題に行き着くだろう。社会的な影響力をもつためには少なくとも平均10000Hit/日くらいのアクセス数を目指さなければならないと思うが、そのレベルのヒット数を目指すならば、転送量コストを回収できる仕組みがなければ続けていくのは難しい。拙ブログと言えば、このままではまずいので、このまま店じまいするか、移転するかなのだが、移転するとなると労力が必要だし、移転後はしばらく続けなきゃまずいだろうし、ということで現在は消極的な現状維持で問題を先送りしている。
(そんなわけで、現在引っ越し先を検討しています。今のところ、ココログかエキサイトがいいかなと思っていますが。)

○ブログは広告媒体としてどうなのか、というマーケティング調査を見てみたい。アメリカのブログに特化した広告業者 Blogads.comでは、ブログユーザーへの調査結果を公表していて、ブログの読者は「教養が非常に高く、ネット利用率が高く、社会的影響力もあり、高収入」であるとまとめている。この調査を見てわかるのは、アメリカのブログの読者は政治など特化した情報を求めてブログを読んでいるので、広告主としては、ターゲットをピンポイントに絞って広告を出せること。また、同じブログを毎日読む人が多いので、繰り返し効果が高いことなど、ある種の広告には有利な条件もある。それに、若くてコンピューターを使いこなせる専門職の人が多いという結果もあり、例えば新しいインターネット・ビジネスを始めたい人などには格好の広告媒体と言えるという。
 日本の場合は、例えばエキサイトのブログニュースなどを覗いてみると、ブログの読者はもう少し若く、もう少しサブカル志向が強いような印象がある。この辺りのマーケティング調査の結果が出れば、日本のブログは広告媒体として熟成してきているか、判断がつくような気がする。

○アメリカでは、グループ・ブログがけっこう盛んである。ネタ的には何でもありの Metafilter が有名だが、政治系では Volokh ConspiracyOxblogなどが有名。最近のAndrewsullivan.comでは、In the Agoraというできたてのグループ・ブログが紹介されていた。グループ・サイトは更新度も上がるし、ある特定の問題系について関心を持っている人々への求心力も強まると思う。ブログの社会的影響力を強めるためには、そんな試みもあってもいいのではないだろうか。

○最後に、「情報」の定義だが、切込氏は「一次情報」にこだわり過ぎかな、とは思う。むしろ、今の時代、ある専門家だけが持っているインサイダー情報をいかに手に入れるか、ではなく、現在目の前にあるあふれる情報をどう読み、どう選別するか、のテクニックを現実のことがらを通して伝える、というニーズもあると思う。もちろん、一次情報を仕入れなくてもいいから楽というわけではない。「読みのテクニック」にも超一流から初心者まであるのだから。
 私の短いブログ歴を振り返って、自分が一番書いて充実感があったもの、あるいは一番反響があったものは、そういうコラム的な内容のものだったと思う。そのような目的には、ある元記事にリンクし、自分の分析を書くというブログのフォーマットは適していると思う。また、ブログのいいところは、時間の経過とともに書いたものが蓄積されていくこと。その蓄積から伝わる、そのコラムの書き手の世界観や方法論というものもあるだろう。

私の結論としては、もう少しいろんな分野の専門家が参入したらブログも盛り上がるかな、というのと、現在のようにコスト回収の仕組みがない状態ではせっかく参入した人も長続きしないかな、という矛盾した二つの印象が共存している状態。それは今のこのブログの状態にも反映されている。

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November 12, 2004

「ブログが広げた投票不正疑惑はすぐに論破された」 (New York Times)

Voter Fraud Theories, Spread by Blogs, Are Quickly Buried (NYT)

この記事、
1)大統領選挙後に流れた、ブッシュ陣営が投票の不正をしたというさまざまな噂について、大学などの専門家たちが、まったく根拠がないと否定している検証報道
2)根拠のない噂を無責任に流すブログやインターネットはいかがなものか、という意見
の二つの要素がある。

まず、1)だが、カリフォルニア工科大とMITの共同プロジェクトである "Voting Technology Project" の分析結果として、投票行動、また投票方法のテクノロジーに関し、「特に変わったパターンは認められない」とし、「インターネットで流通している『事実』は、選択的に選ばれたものである」というコメントを引用している。この記事では、特に、フロリダのいくつかの郡において、民主党員が多い州でブッシュ氏の得票の方が統計的に有意に多くなっているという、あるウェブサイトの指摘を取り上げているが、コーネル大やハーバード大の政治学教授が「これらの郡は伝統的に大統領選は共和党に投票した」として、投票行動として特に珍しくはないと反駁しているという。

また、オハイオ州の電子投票機で、ブッシュ氏に4000票余りが追加されていたという問題について、オハイオ州の選挙管理委員会の委員長であるダムシュローダー氏は、この誤作動の理由はわからないとしながらも、この間違いは訂正されて、最終的な集計は正しいものになっている、と言っている。また、この誤作動は1台だけの問題であり、他の機械では同じような誤作動は見られなかった、という。この事件を追っていたBlackBoxVoting.orgは、日曜日以来更新されていない。

どうやら、ブッシュ陣営が選挙不正をしたという噂は、今のところ噂でしかないといえるようだ。まあ、ケリー支持者がやりきれない思いをこういう噂に賭けた、と考えればわかりやすいかもしれないが。

ところで、この大統領選挙に関して、ブログ界隈に流れた「都市伝説」は他にもある。たとえば、ブッシュ氏に投票した州はIQが低い、というが、日本でもあちこちのブログで紹介されていたが、この数字も、最上位のコネチカット(113)から最下位のミシシッピ(85)まで、IQの差が大きすぎる。この表について報道したEconomist紙は「オリジナルデータを独自に検証できない」として記事を撤回し、またこの表を最初に出したサイトの管理人も、「手元に資料がない」と、ソースを提示できないでいる。一方、別のサイトでは、大学受験生の共通試験であるSATなどをもとに独自に計算したところ、もう少し均衡した数字が出た。この表でも、大雑把にはBlue StatesのほうがRed StatesよりもIQが高いように見えるが、有意な差かどうかは、前の表に比べてずっとわかりにくい。それでも、ケリー支持者のほうがIQが高い、という人は、こんなも見て欲しい。慈善団体への寄付額と一戸当たりの収入を比較した州別ランキングでは、あきらかにブッシュ氏支持の州の方が高得点を上げている。(via: andrewsullivan.com)

さて、重要なのは 2)の点である。この記事を読んで、早速、instapundit.comの読者たちが、「大手メディアがブログに対してネガティブ・キャンペーンを始めた」と言い始めている。レイノルズ教授自身は、同じ記事の「ブログでは情報の流れが速いので、噂が流れるのも速いが、専門家が噂を論破するのも速い」という部分を引いていて、まあそれほどネガティブではないと考えているようだ。もちろん、レイノルズ教授は「うちは引っかからなかったけれどね」と強調するのを忘れないわけだが。

確かに、このような大手メディアのブログに関する記事には、ラザーゲート事件以来傷ついた大手メディアのプライドが透けて見えるし、ブログの問題点を指摘したがっている様子もうかがえる。まあ、ラザーゲートが示したのは、大手メディアの反応は決して速いとは言えないし、ネットの住人が提示した疑惑が正しいことももちろんあるということだったが。ともあれアメリカではブログの存在感が増しているが、まだまだ大手メディアにつけいる隙はあるということだろう。

振り返るに、日本のブログで、ブッシュ支持者のIQネタやら、投票不正疑惑のネタやらを載せた後で、その後の事実検証・訂正・撤回まできちんと追っかけて載せたものがいくつあったのか興味がある。私の見たところでは、はてなのgryphon氏くらいだったが、他にはあるのだろうか。ブログが《草の根ジャーナリズム》だと言う言葉も聞かれるようになってきたが、まず、自分の発信した情報に責任を持つとか、ある程度のエチケットが浸透しない限り、日本のブログが現実の影響力を持つことは難しいといえるだろう。

【トラックバック】
NYタイムズ「不正投票疑惑は論破された」 ( 週刊オブイェクト) 
見事に釣られました……IQ調査の茶番劇 (アナザーブルーテリトリー〜最後の砦)

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暫定的に復帰

励ましのメールやコメント、トラックバックをくれた皆さん、どうもありがとうございました。当分、暫定的にこのブログは継続しようと思いますが、まだまだいろいろと思うところがありまして、今後については未定です。ま、当面は週1回くらいの更新になるかと思います。
 この前のエントリ「町山智浩氏にお返事」では、町山氏ご本人など、かなり反響がありました。私としても、ブログ休暇中ながら、できる限り、意味のある対話にしようと思い、コメントしました。(何だか休暇でも何でもなくなってしまったわけですが。)内容ですが、しばらくは、大統領選挙や、論壇ブログについてのフォローアップ的な内容になると思います。

さて、復帰早々なんなのですが、
ぬまぐるまですか。
…せっかく切込隊長氏も指摘してくれているのに、まだ訂正されてないとは。

Unvisiblemanさんの「なむぐるま」はお願いして直して頂きましたが、「むぐるま」とかも見ましたね。
とはいえ、漢字で書けば「空車」だし、どうせ駐車場の「くうしゃ」と誤解されると思ったので。

「むなぐるま」についてもっと知りたいという方は、とりあえず、森鴎外「空車(むなぐるま)」の電子テクストと、亀井秀雄先生の解説をお読み下さい。この作品、鴎外の日本の古典文学、文献学、考証学への興味は勿論、鴎外の翻訳物(『諸国物語』など)に見られるシュールな雰囲気が良く出ていて、とても好きな作品なのです。軍医であり文壇の大御所、というステレオタイプ的なイメージとは少し離れた、おしゃれでいて重みのある優れた小品だと思います。

しかし、グーグルで「むなぐるま」と検索すると、5000件以上ヒットというのは、すごいなあ。今年の新年にブログを始めたころには、確か50くらいしかヒットしなかったように思います。ブログの影響力について、改めて感心させられます。

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November 05, 2004

Time off.

しばらくブログ更新を休止させて頂こうと思います。とりあえずこの週末は更新を休み、その後も今までのようなペースでは更新できないと思います。本業の方が忙しく、今年いっぱいは時間的余裕がないこと、それから大統領選挙が終わって一息つきたいというのが理由です。
 少しリフレッシュしてまた更新の意欲がわけば、また更新を再開するとは思いますが…。また、現在公開されているエントリについてのご意見やご感想については、コメントなどで対応しますのでお願いします。

ここからは独り言なのですが、今のフォーマットでは将来性が見えないんですよね。本来の仕事とは関係ない形で言論活動をしても、自分のキャリアアップには結びつかないのはわかっていますし。それから、アクセス数が増えて、匿名とはいえある程度責任の持てる発言をしようと思うと、エントリの準備や資料集めにも時間がかかりますし。このサイトを通して得た発言の機会、また、いろいろな方々とのご縁は大切にしたいとは思いますが、少し休んで現状を再検討したいとは思います。それから、じつは私の本業のほうも非常に不安定な身分でして、もう少し落ち着くまではそちらに全力をつぎ込みたいというのもあります。

それから、「論壇系ブログ」についていくつか発言しましたが、いまの日本のブログ界隈 (blogosphere)を見て思うのは、New York Times, Washington Postなどのメディアの記事をきちんと読んで、要約して、解説するだけで、かなり意義があるんじゃないか、ということ。finalventさんがよく言われていることですが、特にNYTやWaPoは、世界に開かれたメディアであることは間違いないわけで、ここに出されている議論に賛成しなくても、同じ土俵に上がることが必要だと思うからです。(まあ、New York Timesの日本関係の記事についていろいろと問題があるのはこのブログでも何度も触れた通りです。これは、偶然ではなく構造的な問題があると思っています。)それから、WaPoとNYTのコラム欄はアメリカのオピニオン・リーダーが揃っており、これを読むだけで現在のアメリカ政治・社会が見えてきます。1、2か月、とにかく全部読んでいれば、一人一人のコラムニストのスタンスが見えてきますから、やがてそのスタンスを通して個々のイッシューの細かい議論の綾が見えてくる、というわけです。

それから、アメリカの政治系のブログを始めたいという方は、とりあえず
instapundit.com
andrewsullivan.com
Talking Points Memo
Slate
Salon.com
くらいを定期的に読んでおけば、それぞれのサイトのカラーがわかるし、そこからいろいろなブログに飛べるでしょう。(今の日本の言論系ブログに必要なのは、レイノルズ教授のような仕切り屋じゃないかと思うのですが。あ、キムタケさんのようなのじゃなくて。)それから、Daniel DreznerとかAlthouseとかは、大手メディアからも論客として認知されつつある。私はKosとかAtriosとかは読んでません。あんまりに党派的だから。あと、ネタ系としてはLileksとかWonketteとかでしょうか。とりあえずこれくらい読んでおけば大まかな流れはつかめる。それから情報収集に役に立つのが、もちろんWikipediaGoogle Newsこのサイト
(これだけネタ帳を公開してしまうと、復帰したときにどこからネタを仕入れたかばれてしまうかも。まあ、それでブログに参加する人が増えればそれでいい、ということで。)

とりあえず、これらのサイトをBloglinesで登録して定期的に読めばあなたもアメリカ政治系ブロガー! 日本語圏でもアメリカ政治や国際政治一般を語るブログが増えて、やがてクリティカル・マスに到達することを切に願います。

まあ、とりあえずはお休みを頂くと言うことで、今後は自然体で復帰したいと思います。

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町山智浩氏にお返事

町山氏からコメントを頂きました。町山氏は、正確には「中西部」に「文盲で狂信的な福音派のクリスチャン」がいる、とは言っていません。これは私の勇み足でしたので訂正します。私が反応したのは、おもに「2004-10-29 ブッシュが勝つかもしれない理由その3」の、次の部分です。

いや、そもそも、戦争がどうなろうと関係ないのだ。
国民の4割が福音派キリスト教徒のブッシュ支持者であり、この支持基盤は強固で揺ぎ無い。
民主党が票を得ることができるのは残りの6割から共和党支持者を引いた、わずかな数なのだ。

共和党はレーガンを当選させる時に福音派を支持基盤に取り込み、
実質的に彼らに共和党を乗っ取られた(マケインは共和党の宗教支配に反対している)
ブッシュは福音派に改宗して彼らの支持を確固たるものにした。

毎週日曜の朝は教会に通う福音派は、投票日には互いに声をかけあって投票に行く。
その投票動員率は日本の創価学会以上だ。
彼らはブッシュがウソでイラクに攻め込んでアメリカ兵を千人も殺させようと、
金持ち減税と戦費で、史上最高の赤字を作ろうと、
とにかくゲイ同士の結婚に反対し、中絶を非合法化することに賛成である限り、
ブッシュに無条件に投票する。
この福音派、国民の4割はどうにも動かせないのだ。

しかも、福音派は福音派の新聞を読み、福音派専用のニュース・チャンネルしか見ないし、福音派専用のラジオしか聴かない。
また、ユタ州のモルモン、ペンシルヴェニアからミズーリにかけて住むアーミッシュもブッシュを支持している。
また、メル・ギブソンが所属する、原理主義的カソリックも、ブッシュを支持している。
彼らは異教徒を許せないからだ。
モルモンはモルモンのニュースしか見ないし、アーミッシュはテレビを持っていない!
それなのに彼らの投票動員力は強力だ。神の教えを守るため、何が何でも投票に行く。
赤字やイラクの死者のことなど彼らには関係ないのだ。

そういう宗教キチガイどもにアメリカ、いや、世界がコントロールされてしまっているのだから
恐ろしいよ。もちろん彼らはイラク人が10万人死のうと気にしない。

『サウスパ−ク』のトレイとマットは「パッション・オブ・ジュー」でキリスト教原理主義の恐ろしさを訴えていたが、『チーム・アメリカ』で反ブッシュ俳優を皆殺しにし、「若者に投票に行くな」と呼びかけていた。このままだと君たちの大嫌いな宗教馬鹿どもの世の中になるけどいいのか?

この部分を読むと、アメリカ「国民の4割」が「日本の創価学会以上」の投票動員率を持つ、「どうにも動かせない」「宗教キチガイども」と読めますが、違いますか? 町山さんはこういう人達が中西部だとは言っていないのでそこは訂正しますが、この辺りの言葉には「キリスト教価値観がブッシュ勝利の大きな要因になる」という客観的な分析以上の敵意を感じます。町山さんが福音派をあたかも「悪魔の手先」であるかのように見ている、といったのは、そういうことです。

ご指摘を頂いた、今回の選挙における福音派クリスチャンの役割についての記事は私も読みました。キリスト教的価値観や、中西部(ハートランド)の、芸能人や知的エリートへの反発が、今回のブッシュ勝利につながったというご意見には大筋で賛成します。私も、たとえば同性婚のようなイッシューを民主党への敵対心のバネにするようなカール・ローブのやり方には反対です。でも、だからといって、上に引用したような大雑把な把握では現実を見誤ると思います。ブッシュ支持者には宗教的に穏健な人も多いし、有権者がブッシュ氏支持に回ったのは宗教だけではありません。また、ドブ板選挙的な選挙戦術の優劣も分析しなければいけないでしょう。

もうひとつ、上のような大雑把な表現により、二つの立場の感情的な反発が増すことになるとは思いませんか? コメントのなかにあったBBCの調査では、「マイケル・ムーアのような奴に誰に投票するか言われたくない」というのもありましたね。たぶんこれからヨーロッパやアメリカ東海岸の新聞を中心に、「福音派のおかげで勝った選挙」というレッテル貼りをする人々が出てくると思います。私はそのような新聞記事には何か別の動機があるのではと疑っています。また、ブッシュ氏に投票した51%の人達は、こういうのを読んで、「ヨーロッパのメディアやアメリカのリベラル・エリートがまたアメリカを曲解している」と思うのではないでしょうか。そういうのは誤解を深めるだけなのではないか、と思うのですが。また、今回の選挙における「福音派」の影響力をメディアが強調すればするほど、「福音派」の力の幻影というのが大きくなっていって、結果として「福音派」を利するということもあるのではないでしょうか。それは町山さんの望むところではないでしょう。

最後に、アメリカ人がイラク戦争のイラク人の死傷者について何とも思っていない、ということは全くその通りであり、私も強い違和感を覚えるところです。もちろん、ケリー氏支持者の大部分も、アメリカ兵の死者は問題にしてもイラク人(特に一般市民)の死傷者については考えていない人が大部分なわけですが。その点は町山さんに賛成します。

【追記 11/05/04】今回の選挙、ゲイの権利、キリスト教の影響などについて、Andrew Sullivanのブログで意義のあるダイアローグが続いています。彼はタカ派だがゲイでカソリック。ゆえに、現在のアメリカを二分するような思想戦争の中で、言葉で自分の居場所を創ろうとしている数少ない批評家・ブロガーです。私は彼の意見にいつも賛成するわけではないけれど、彼は勇気のある発言者だと思う。ぜひご参考に。それから、サイドバーに Over the Rhine の "Ohio" へのリンクを張りました。ぜひ聴いてみてください。

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「政治的資本」

ブッシュ大統領が再選が決まって初めての番記者との記者会見。「すべての人々に手をさしのべます。あなた達記者も含めて」と冗談を飛ばすなど、余裕と自信に満ちた会見
 日本のメディアでは、「国民に団結呼びかけ」(読売)「対テロ戦争を最優先」(朝日)などの見出しが付いているようだが、アメリカのメディアで一番注目を集めたのは、「私はこの選挙で政治的資本(political capital)を稼いだ。それをこれから使うつもりだ」("I earned capital in the campaign, political capital. And now I intend to spend it.")というフレーズ。

このフレーズにより、大統領は、この選挙によって国民の信任と負託を得たという認識を示し、大胆に公約を果たすと約束した、と解釈されている。今回の選挙は接戦だったが、純粋な票数で過半数を得られず、最高裁のアシストもあって選出された2000年のときと比べ、今回はケリー氏に300万票の差をつけて、1988年以来初めて総投票数の過半数を得た大統領となった。いま国民が分裂しているという現状を鑑み、国民の団結を優先して中道・穏健な政策を優先して実行していくというチョイスもある。しかし、今日の記者会見は、「選挙で信任を受けたんだから、今まで通り自分流でやりますよ」という宣言、という理解をされている。
 昨日の「私的総括」では、ケリー氏支持のリベラル派から歩み寄る必要について書いた。それについてコメント欄で、「では逆はどうか」、つまり現在の分裂状態の責任は保守側にもあるのではないかという意見をいただいた。それはまったくその通り。特に、現大統領は、一度決めたら頑固に意見を変えないし、自分の世界観に合わない現状は無視する。また、彼を支持する人々も、何かあると「リベラル・メディアの陰謀」と言うだけで、建設的な議論にならないことが多い。これからの4年間は、上下両院も最高裁も共和党多数で、権力のチェックがない。だからこそ、ブッシュ氏にも謙虚さが求められるのだが、リベラル系ブログなどでは今日の様子を見てすでに悲観視している見方も出てきている。「国の団結を優先して穏健な政策を」という見方自体が現実離れしている、ということか。どちらにせよ、民主党としては厳しい現状に追い込まれた。これをきっかけに民主党は自己改革できるのか、どうか。そのへんの議論もすでに始まっている。ケリー氏支持者の間では「これから」を議論している人が半分、がっくりきている人が半分という感じ。

 昨日の「総括」に補足。アメリカ人はなぜブッシュ氏に投票したのか、についての記事をご紹介しておく。資料的価値が高い記事だと思う。

Why did you vote for Bush? (BBC)
英国BBCで、アメリカの人々に問いかけた結果を発表。ブッシュ大統領の「信仰」に反応しているものもあるが、マイケル・ムーアやハリウッド、リベラルなメディア、そしてヨーロッパの世論に反発して決めた、というのも多い。今のアメリカ人のムードをよく表しているかもしれない。昨日のエントリでは「福音派」を悪魔化するのはやめよう、と書いたが、敬虔なクリスチャンがアメリカには多いのだな、という印象は受ける。それがどれだけ政治組織化されるか、というのはまた別の問題だが。

GOP Won With Accent on Rural and Traditional (Washington Post)
オハイオ州での選挙運動についてのリポート。共和党では、激戦州などを中心に11州で「同性の結婚を禁止する決議」を住民投票にかけた。もちろん、マサチューセッツで同性婚を認知するという州最高裁の決定に反発してのものだが、このような保守系の市民が反応しやすい議決を住民投票にかけることにより、「この決議に投票しましょう」と呼びかけたという。そして、住民投票が目的で投票場に足を運んだ人々がついでにブッシュ氏に投票する、という作戦だったらしい。ケリー氏もオハイオでは相当頑張ったが、及ばなかった、ということ。
 しかし、共和党の、保守から中道のアメリカ人の道徳的危機感に訴えるという戦術は、メディアではほとんどノーマークだった。私自身、こういう動きに気づいていなかったのは盲点だった。しかし、だからといってアメリカの大部分の人々を極右扱いすることへの疑問は変わらないが。

最後に、面白かったコラムから。ふたつの対照的な視点。
Two Nations Under God (Tom Friedman - NYT)
America's Shifting Reality (George Will - WaPo)

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November 04, 2004

大統領選についての私的総括

私はこの1年半ほどアメリカ中西部に住んでいる。今年の夏に引っ越したのだが、引っ越し前も後もたまたま今回の選挙で激戦になった州だった。だから、今回の選挙で、いつもはニコニコして共存している人々が全く違う価値観を持ち、ちょうど保守とリベラルで半々くらいで真っ二つに分かれている、というのは、理屈でなく日常の感覚でわかる気がする。2000年の選挙の結果が大接戦で終わったとき、アメリカという国はRed States(共和党支持の州)とBlue States(民主党支持の州)でくっきりと分裂している、ということがよく言われた。それ以来、この価値観の分裂に興味をもつようになった。特に、共和党の支持者とはどんな人達なのだろうか、と。

この感覚、じつは大学にいるとよくわからない。大学の場合、教員も院生も圧倒的にリベラルな人が多い。(教員以外の職員や学部生も入れると半々くらいになるのだが。)だから、大学の中にいると、イラク戦争についても「あの戦争に賛成している人ってどんな人だろう?」と、保守派の人々はどんな人か想像もつかないというようなことになりかねない。大学の先生方をはじめ、アメリカのリベラルな論客の話を聴いていると、同じ思想の人々に語る言葉は持っていても、保守派に語る言葉を持っている人は少ない。それから、「保守派の人達は知性が足りないのでは」というようなことも本気で信じている人も多い。有権者の50%(±1%)が共和党に投票する人々、残りが民主党に投票する人々なのに、その二つのグループの間で共通の言葉で対話することがどんどん難しくなっている現実がある。そんなことがわかってくると、日頃はリベラルな人達とつき合うことが多いのだが、対話のための共通の言語をもつためにはどうしたらいいのだろうか、と考えるようになった。

このブログでも米大統領選挙について、いろいろとかなり詳しく書いたのだが、基本的には、日本でも「反ブッシュ」のムードが先行するなかで、なぜブッシュ氏がアメリカ国民の半数の支持を得ているか冷静に考える材料を提供したいというのが大きな動機のひとつだった。で、実際に左や右の新聞記事やブログを読んだりしていくと、ブッシュ陣営(とくに選挙参謀のカール・ローブ)の巧妙な、反則すれすれの選挙戦術もいろいろと見えてきたし、ブッシュ氏が、さまざまな失政をしたのにもかかわらず、誤りを認めず責任も取らないという事実もわかってきた。いっぽう、そういう現実に不満を持つ大手のリベラルメディアが、「ブッシュ氏を支持するのは知能が足りない」という偏見丸出して、あたかも国民を教え、導くのが自らの使命とばかりに傲慢に振る舞うのも見えてきたように思う。また、とにかくブッシュ氏の政策に反対の意見をとりあえず出しとけ、というケリー氏の外交や、伝統的に反日的な民主党の政策の片鱗がケリー氏やエドワーズ氏にも見られたりもした。結局、私個人のスタンスとしては、民主党の外交・安全保障政策が共和党のそれに限りなく近づいていくなか、「説明責任」を明確に打ち出したケリー氏に交代した方がアメリカのためにはいいのかな、と考えるようになった。(日本の国益という意味では、ブッシュ氏のほうがいいことは言うまでもない。)また、アメリカ国民もそのような判断でケリー氏を選出するのではないかという感じを持っていた。

しかし、結果としては、ブッシュ氏勝利。私としては、事実の観測も誤ったことになる。ひとつには、民主党側の新しい有権者の掘り起こし(若者や貧しい層)についてはメディアで大きく報道されていたものの、共和党側の、教会や家族・親戚などのネットワークを使った草の根運動についてはまったく無視されていたことがある。実際、共和党では、フロリダのような州では草の根の有権者の掘り起こしを二年がかりでやっていたという。これについて選挙前に唯一コメントしていたのが、ワシントン・ポストのコラムニスト、ジョージ・ウィル氏だった。結局、Fox News以外の大手メディアでRed Statesの様子を理解していたのは彼くらいのものだったということだ。私も、共和党支持のメンタリティを理解しようとはしていたが、結局はわかっていなかったのかもしれない。

今回、ケリー氏は前回のゴア氏の得票に500万票上乗せしたという。若者や新しい有権者の掘り起こしはある程度成功した。しかし、ブッシュ氏は、上に書いたようなネットワークの力で900万票上乗せした。この900万票ぶんが、普段メディアにはあらわれないアメリカのコアな力の部分だった、というのが今回の選挙の結果のいちばんの教訓だと思う。

それから、今回の選挙の結果について「福音派」「宗教右翼」の支持を受けた共和党が躍進した、という説明がなされている。しかし、私は、この説明は必ずしも現実を反映していないと思う。CNNのこの出口調査をみれば、アメリカの多様な現実のなかで、ちょうどブッシュ氏が51%の支持を得た、という実像が浮き彫りになっていると思う。たとえば、学歴についても、ケリー氏が優位なのは高校を卒業していない層と大学院以上の層であり、むしろ大卒ではブッシュ氏がリードしているという事実はどうなのだろうか。一方、年齢別では60歳以上でブッシュ氏が4年前に比べてリードを広げているのが興味深い。民主党で共和党の応援演説をしたゼル・ミラー氏のように、今の民主党にはついていけない、と考えるお年寄りの方が多かったのかもしれない。シニア・シチズンがエミネムのビデオをインターネットで見るとは考えにくいが、ビル・オライリーが「ビンラディンとエミネムがケリー氏を応援していますよ」と言ったら、民主党には投票しにくいとは想像がつく。また、意外に大きかったのは、レンキスト最高裁判事の急病ではなかっただろうか。ケリー氏が大統領になって保守派のレンキスト氏の代わりにリベラルな判事を選んだら、今後30年、40年単位で最高裁のバランスが変わってしまう、という危機感を感じた保守派の人々がブッシュ氏支持に回った、というのが結構大きかったのかもしれない。いずれにせよ、ブッシュ氏に9割方投票するような「宗教右翼」層があって、その人々がブッシュ氏を支持したために選挙に勝った、というのは一面的に過ぎると思う。

つらつらと書いてきたが、一番伝えたかったのは、アメリカ政治について「ブッシュ氏を支持したのは、中西部に住む文盲で狂信的な福音派のクリスチャン」というようなステレオタイプ的な説明をすることは、事実と離れているばかりか、様々な意見を持つ人々の間に言葉を切り開く作業の妨げにしかならない、ということである。たとえば、選挙日の数日前から、町山智浩氏がその手の言説を広めているのを読んで、はて、どうしたものかと思った。アメリカ人の一部の人々について理解できず、自分の言葉が通じないからといって、まるで悪魔の手先のように書いても誤解を深めるだけなのに、と思っていた。しかし、この選挙の後で、そういう見方はどうなの、と疑問を投げかける意見を日本語のブログ界隈でもいくつか見かけて、少し安心している。いずれにせよ、選挙は終わったが、アメリカ国内の価値観をめぐる対話は間違いなくこれからも続いていくことだろう。

【追記 11/05/04】町山氏からコメントを頂き、もう一度自分の文章を検討した結果、「中西部に住む」という部分を削除しました。その経過についてはこのエントリを参照して下さい。また、町山さんのコメントですが、建設的な議論になるきっかけになればと思いますので、そのまま残させていただきます。ご了承下さい。

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November 03, 2004

ブッシュ氏の勝利が確定

ブッシュ大統領が再選、ケリー氏敗北認める (読売)
みなさん既にご存じとは思いますが、「エドワーズ氏もやる気満々」という記事が一番上ではやはり困るので、一応アップ。今、ケリー氏の今日の演説を見てます。(ビデオ)後ほどもう少しまとまったコメントを書きたいと思います。ひとこと、私にとってもこの結果は意外でした。

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オハイオ州

[2:42 ET]
オハイオ州の開票結果 (CNN)
一部メディアではオハイオ州はブッシュ氏が確実となっているという報道だが、現在、ブッシュ氏のリード(12万票)と、暫定票 (provisional ballot)(17万票と予想) がだいたい同数であり、暫定票のゆくえによって民主党勝利の可能性が少しでもある場合は、民主党は負けを認めないといっている。もちろん、暫定票のほとんどがケリー氏に行かなければ逆転はない状況で、ケリー氏は数字的には非常に苦しいが、先程エドワーズ氏が、「すべての票が数えられるまで、もう一晩待ってみよう」と、やる気満々の発言をした通り、正式に結果が出るまではしばらくかかりそう。今回のオハイオ州は、4年前のフロリダのような状況になるのかどうか。

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November 02, 2004

投票中

[0:30 ET] オハイオ州のノックス郡では、投票終了予定時刻から4時間以上経った今でもまだ投票が続いているらしい。この郡の、近くに大学がある投票所では、まだ200人くらいが行列に並んでおり、全員が投票終了するには午前3時までかかるとのこと。オハイオ州では身分証明などのためにもっぱら共和党が監視員を送っており、時間が余計にかかっているのかもしれない。とにかく、投票終了時刻に行列に並んでいる人は全員投票できるというルールのため、この全員が終わるまでは投票が続く。また、私の見ているNBCは、投票が続いている間はオハイオ州の当確を出さない方針にしているそうで、これが結果発表が長引く原因になっている。フロリダ州はブッシュ氏が取ったため、ケリー氏はオハイオ州を取る必要がある。

今、バラック・オバマがインタビューを受けている。民主党は厳しい結果が続く中、彼の当選は明るいニュースだ。彼はやっぱりいいなあ。

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開票中

現在(23:20 ET)のところ、ブッシュ氏204人にケリー氏188人。今のところ、目立つ結果としてはケリー氏がペンシルベニア州を取ったことくらいか。オハイオは、新規登録した有権者が殺到して多くの投票上でキャパを超えたことを考慮し、終了時刻を過ぎても投票が続いた。そのため、オハイオの結果が出るのはしばらく先になりそう。また、オハイオ州は古いタイプの投票用紙を使っているため、4年前のフロリダのように投票用紙を電球にかざして再集計…ともなりかねない。やれやれ。

もう一つの大票田フロリダだが、ブッシュ氏が支持を伸ばしている模様で、ブッシュ氏が取りそうな勢いだという。しかし、ここも、大量の在外票があり、開票に手間取っている。在外票の集計は木曜までかかるかも、と言っている。また、コンピュータ投票機が原因不明のエラーを起こしている郡もあるという。4年前の繰り返し。それから、フロリダの場合、4年前の教訓から接戦の郡の場合自動的に再集計になるため、結果が確定するまでは時間がかかりそうだ。とにかく、オハイオとフロリダの結果が確定しなければ大統領選の帰結も決まらないから、今晩は決まらないかも知れない。

印象としては、ケリー氏の伸びが意外と鈍い。NBCの出口調査によると、若い世代(18-29歳)の投票率は4年前とほぼ変わらなかったという。昨日のエントリで言及した調査では、未決層がケリー氏に傾けばケリー氏が激戦州を全勝ということもありうるという観測だったが、それほどの勢いはなさそう。もちろんまだその可能性はあるが。

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いよいよ選挙当日

今日図書館へ歩いていく途中で、"Kerry / Edwards" のプラカードを持った5人の大学生らしいグループを見かけた。ちょうどそこが投票場の前だったのだろう。また、「投票場への足が必要な人は声を掛けて」と窓に大きく書いたミニバンが走っていたり。アメリカの選挙の日 "Election Day" に居合わせたのは今日が初めてではないが、今までにない熱気だと思う。
 印象としては、選挙直前・当日の「現場」では、とくにケリー氏側のほうに熱気を感じる。昨日もたまたまリベラル系トークラジオのAir Americaを聴いていると、著名な言語学者のジョージ・レイコフ氏が電話出演。なんと、ネバダ州で俳優のショーン・ペン氏と組んで戸別訪問をしているという。これには私も耳を疑った。ショーン・ペンが玄関に立っていたら誰でもびっくりするだろうなあ。この教授にしても、発言だけでなく、自分の足で選挙活動をしているというのは、すごい。政治活動の原点と言うべきか。まあ、そういう意味では、数週間前、フロリダで保守系コラムニストのペギー・ヌーナン氏が似たようなことをしている映像を見たから、どちらもそのような動きはあるのだろう。あとは、特に投票場に共和党が弁護士を送り込んでいるオハイオ州などで訴訟や再集計にならないかどうかが注目。
 ネットの方は、リンクしていた Electoral-vote.com はじめ、ZogbyやらSlate.comもつながりにくい。多分アクセス過多なのだろう。今日は仕事を片づけながらゆっくりテレビで状況を追うことにしよう。

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November 01, 2004

世論調査のメタ分析:ケリー氏圧勝へ?

大統領選直前になってこちらで話題になっているのが、プリンストン大学の分子生物学教授が運営している世論調査のメタ分析サイト。このサイト、現在出ている各州世論調査をすべて計算に入れた上で、選挙人数の期待値を分析している。このサイトの管理人の教授によると、まだ誰に投票するか決めていない人や、初めて投票する人などの予想を計算に入れた上での最終結果の予想は、ケリー氏323人、ブッシュ氏215人となり、ケリー氏が圧勝するという。もちろん、この結果は不確定な要素についての主観的な要素が入っているのでそのまま客観的な結果予想とは言えないが、その分析を読んでみると現状がかなり見えてくる。とにかくこのサイトは一読をおすすめする。

さて、この教授の分析方法、結果を簡単にまとめてみる。まず、分析方法だが、各州ごとに世論調査をもとにしてケリー氏、ブッシュ氏勝利の確率を出す。この時点でほぼ100%どちらかが取ることが間違いない州は計算から除外する。それから、その確率に基づき、選挙人の数の期待値(ある州の勝利確率xその州の選挙人数の合計)を計算する。そのときの確率の計算なのだが、最初に現在ある世論調査(選挙に行く予定にしている有権者)をもとに、「既に意見を決めている人々(1)」について計算する。そのうえで、「まだ意見を決めていない人(2)」を計算に入れて補正し、さらに「初めて投票する人、世論調査にかからない人(3)」のぶんを補正する。

(2)、(3)の人々がどのように投票するか、また(3)の規模がどれくらいかは数字に表れないので、この部分にはどうしても主観が入ってくるが、過去の結果から大まかな予想を立てることはできる。(2)だが、この時点でまだ誰に入れるか決めていない人々は、過去の統計をみると現職よりも新人候補に入れる割合が高いという。この教授は、(2)の層は3:1の割合でケリー氏に投票するという予想から、ケリー氏の数字を1.5%補正している。(これは全く常識的な予想だと私は思う。)そして、(3)だが、この教授はこのファクターによりケリー氏が2.5%有利になると予想している。携帯電話しか持っていない若い層は圧倒的にケリー氏支持だし、また今回の選挙で初めて投票する人は現状に不満を持っているから、ケリー氏に入れるだろうという予想だ。その結果、現在の世論調査の結果に、合計4%ケリー氏に上乗せして計算している。繰り返すが、(2)(3)については正確なデータはないし、当日の天候などにも左右される。

さて、このような手順で出した最終的な選挙人数の予想は、
(1)ケリー氏252、ブッシュ氏286 (ブッシュ氏勝利確率80%)
  ↓ケリー氏に1.5%補正
(2)ケリー氏280、ブッシュ氏258 (ケリー氏勝利確率71%)
  ↓ケリー氏に2.5%補正
(3)ケリー氏323、ブッシュ氏215 (ケリー氏勝利確率約100%)
となる。

この結果をどう読むかは一人一人の判断なのだが、まだ決めていない人々、世論調査に含まれない人々が最終的にケリー氏に決める確率が高いというのはごく常識的な判断とすると、ケリー氏が圧倒的に有利とはいえるだろう。逆に、もしこれで接戦となれば、ブッシュ陣営の現場部隊が前日・当日に相当頑張ったといえるだろう。

また、このサイトの分析で有益なのは、まだ接戦の州のうち、民主党有利の州から共和党有利の州を順番に並べたリストである。このサイトによると、現時点で接戦になっているのは6州であり、民主党有利から共和党有利に並べてみると、
(民主党有利)ミネソタ・ハワイ・アイオワ・オハイオ・ウィスコンシン・フロリダ(共和党有利)
となる。(この分析では、ペンシルベニアはケリー氏で堅いと予想。)残りの、大勢の決した州の選挙人を現状で割り振ると、ブッシュ氏が236、ケリー氏224となる(はず)。ブッシュ氏としては、フロリダを勝っただけでは足りず、ウィスコンシンを取る必要がある。投票率がどうなってもこの順序はそう変わらないはずなので、明日の開票速報で、ウィスコンシンがどちらに傾くかが、この選挙の勝敗を決める一つの目安になるとは言えるだろう。

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大統領選の開票結果を速報するサイト

大統領選挙がいよいよ明日に迫りました。このページでも再三紹介しているElectoral-vote.comでは、開票結果をリアルタイム速報するということですので、興味がある方はこちらからどうぞ。もしサーバが落ちていたら、www.electoral-vote3.com, www.electoral-vote4.com, www.electoral-vote5.com などのミラーサイトがあるとのことです。

私はといえば、自宅でネットワークTVの速報を見るか、キャンパスのどこかで学生に混じってTVを見るかどちらかだと思います。拙ブログでは中継はしないつもりですのでご了承ください…。

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(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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