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February 19, 2005

ハーバード大学の総長が「女性科学者」発言で窮地に

今頃になってマイアヒーがぐるぐる(挨拶) (参考

ハーバード大学総長のローレンス・サマーズが、自然科学の分野で活躍する女性が少ない理由について持論を展開したところ、強烈な反論にさらされている。この発言自体は1か月以上前のある学会での発言なのだが、つい数日前に大学側が圧力に負けて発言全文を公開、波紋が広がっている。
 リベラル系のAtriosは、「実際の発言は報道されていたのよりもずっと、ずっとひどいな」とコメント。リベラル・フェミニスト系のブロガーでは激怒している人も。一方、Andrew Sullivanは、彼が辞任したら大学という理想、研究の自由に対する脅威になる、と危惧している

 問題になっている部分を、オリジナルと私訳で引用しておく。

It is after all not the case that the role of women in science is the only example of a group that is significantly underrepresented in an important activity and whose underrepresentation contributes to a shortage of role models for others who are considering being in that group. To take a set of diverse examples, the data will, I am confident, reveal that Catholics are substantially underrepresented in investment banking, which is an enormously high-paying profession in our society; that white men are very substantially underrepresented in the National Basketball Association; and that Jews are very substantially underrepresented in farming and in agriculture. These are all phenomena in which one observes underrepresentation, and I think it's important to try to think systematically and clinically about the reasons for underrepresentation.

There are three broad hypotheses about the sources of the very substantial disparities that this conference's papers document and have been documented before with respect to the presence of women in high-end scientific professions. One is what I would call the-I'll explain each of these in a few moments and comment on how important I think they are-the first is what I call the high-powered job hypothesis. The second is what I would call different availability of aptitude at the high end, and the third is what I would call different socialization and patterns of discrimination in a search. And in my own view, their importance probably ranks in exactly the order that I just described.

科学界における女性の役割というのは、ある重要な役職において特定のグループの占める割合がかなり低いため、そのグループに属する人が目標と出来る人々(ロール・モデル)が少ない、というケースのたった一つにすぎない。いくつか例を挙げると、データが示すようにーーそういうデータがあると確信しているーー我々の社会では非常に年収の高い投資家という職業にはカトリックの人々が少ない。NBAには白人選手は少ない。ユダヤ人で農業に携わる人は少ない。このような、あるグループの割合が低い例があるわけで、その理由を系統的に、臨床的に考えることが重要なのだ。

最高レベルで活躍する科学者に女性が少ない原因について、この学会における論文、また過去の研究によると、大きく3つの仮説がある。それぞれについて順番に説明すると、まず、一つ目は「上級職仮説」[訳注:結婚して子供もいる女性は、高い時間や労力を要求する上級職に就きたがらないのではないか、という説]っである。第2には、高度な仕事に必要な適性の問題[訳注:生物学的その他の理由で、女性には科学に向いていないという説]、そして第3には、社会的な役割づけ、あるいは就職における差別など[訳注:要するに様々な社会的要因]などがある。そして、私見では、この3つの理由は今挙げた順に重要度が高いのだろうと考えている。

要するに、女性の社会進出【追記:特に学内での性別による差別をなくすこと】に責任をもつべきはずのハーバードの総長が、女性の科学者が少ないのは、社会的な差別の構造という理由よりは、まず女性がそのようなきつい仕事を求めないこと、また、生物学的に女性に科学は向いていないことという理由のほうが大きいのではないか、と発言しているわけである。

こういう発言が出てくると、とにかく男女平等の見地から、「生物学的な要因などと言うのは社会的な差別を正当化するもので認められない」という公式的な反論が出てくるのが目にみえるようなのだが、男女の性差、特に専門職などに対する適性などが、生物的な要因によるものか、社会的な要因によるものかというのは、アメリカでもはっきりした研究結果が出たわけではないのではないだろうか。こう書くとあちこちからいろいろ飛んで来そうなのだが、私はこの議論そのものについては専門外なのでどちらがどうと判断することはできないと言っておく。むしろ、この発言でサマーズ氏の首が危なくなるというのは、ちょっとどうかとは思う。この発言を見る限りでは、女性はどう頑張っても科学者になれないと言っているわけでもないし、差別的発言をしているわけでもない。大学という場所では、言論の自由、思想の自由というのは、左右構わず守られなければならない、という見地に立つと、これが「失言」と見なされて辞任に追い込まれるということになったら、アメリカの大学という場所も窮屈になると思う。

一方、ある職種において人種・性別によって割合が異なるということは事実としてあって、それが社会的にいろいろな意味合いを持ってくるというのは、アメリカにおいては見逃せない事実。私だって、「あなたは英語のネイティブ・スピーカーじゃないからアメリカでは大学で就職できません」とかいわれたらイヤだろう。特に、大学という場の特性もあって、むしろネイティブ・スピーカーじゃないことによって教育・研究に寄与できることもありますよ、と言いたくなる。そういう意味では、大学にいろんな人がいた方がいいわけで、女性の科学者には、ブラック・クォーターバック同様がんばれと言いたい。(そういえば、この前のNFLのオールスター・ゲームであるプロ・ボウルでは、NFCのQBがマクナブ、ヴィック、カルペッパーと3人とも黒人だった。3人で並んで撮った映像が印象的だった。

【追記】Washington Postの社説(2/19付け)では、サマーズ氏の発言を詳細に検討しながら、「この件でサマーズ氏が辞職に追い込まれたら研究の自由に対しての脅威となる」と結論づけている。また、過去のサマーズ氏の学内政治における発言(アフリカ系アメリカ人研究学部との対立、終身雇用制度の再検討、学内の反イスラエル運動に対しての発言)などを挙げ、過去に対立した教授がこの問題を通してサマーズ氏の首を狙っている可能性についても言及している。

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それからハーバード大学の学長発言は、むなぐるまでの意見と同じく特に女性差別的ではないと思う。『人間の本性〜』でも言われている通り、「人間は生まれた時は空白でなんにでもなれるのだ」という考え方と、「民族や男女、その他の遺伝的特質で適性はある程度決まっている」という考え方の争いがあるらしく、『人間の本性〜』を書いたスティーブン・ピンカーもハーバード学長も後者の考え方を持っているということなんだろうと思う。... [Read More]

Tracked on Jun 6, 2005 6:19:31 PM

Comments

サマーズの話は私の周りでもずいぶん話題になってました。ここまで大きな問題になったのは、よりによってハーバードなんかでやってしまったからというところもあるでしょうね。しかし、サマーズはよく言われるとおり相当の変人で、こういう失言をしても全く不思議のないキャラですね。
O-Zoneは、去年に「Now 58」に入っていたのを聞いて、私もメロディーが頭からはなれなくなりました。

Posted by: やじゅん | Feb 19, 2005 9:22:12 PM

『科学界における女性の役割というのは、ある重要な役職において特定のグループの占める割合がかなり低いため、そのグループに属する人が目標と出来る人々(ロール・モデル)が少ない、というケースのたった一つにすぎない。』
サマーズさんのこの部分は、確かにその通りでものすごく重要な事を言ってらっしゃると、思いますよ。
ようするに、女性がいくらがんばっても女性でトップに立っている例があまりにも少ないから
女性で学会でも政界でもトップに立てる道をみいだせない、といっているんではないでしょうか・・・。
実際あの宇宙飛行士の向井千秋さんも日本初のトップの心臓外科医的な存在になったのにもかかわらず、突然宇宙飛行士になんかなってしまったのは、やはりいくら最高レベルの環境で心臓外科学を学んでも、女性として他のトップの男性心臓外科医と並んだ評価を得て医学を続けていくにはまだまだ、あまりにも難しい時代だったからだ、と聞いた事があります。
それと同じ理由で菊川怜なんて女優もいるのかもしれません。
何かサマーズの言いたい事が少し分かるような気がしないでもありません。
しかし、1995年のノーベル医学賞を取った女性はなぜ天下のアメリカ人女性ではなく、ドイツ人女性だったりするのでしょうか。
そうゆう意地悪な質問を是非、サマーズさんに一生に一回してみたいものです。

Posted by: ゆかり | Jul 30, 2005 8:42:51 AM

(2006年5月 むなぐるま管理人からの受託により保管)

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