匿名のゴミコメントが良質ブログを潰すこともある
私のところにもTBを頂いた、団藤氏の「ブログ時評」のエントリにコメントが殺到している。といってもせいぜい30から40くらいなのだが。それで団藤氏が、ハウスルールに従ってコメントを管理人のみが読めるモードに変えたところ、R30さんには「ステルスコメントスクラム」などと揶揄されている。また、ブログ界隈のあちこちで批判の声があがっている。
私自身は、「ブログ時評」のエントリはなんとも答えようがないなあ、と思って静観を決め込んでいた。というか、正直、一般のブロガーとはだいぶ感性がずれているように思うし、揶揄されても、テンプレになっても仕方ないと個人的には感じていた。でも、コメント欄の管理については団藤氏に同情する。つうか、コメントを削除したり閲覧不能にしたりしたから言論弾圧っていうのはおかしくないか?
愛読していた「小さな目で見る大きな世界」が、開設1年を期に更新停止された。最近は、ブログのエントリやコメントを通して、意見が違うなりにも(あ、また言っちゃった)有意義な交流をさせてもらっていたので寂しい気がした。全く会ったことのない赤の他人のブログが更新停止になってこんな寂しい思いがするというのも変だなあと思っている。standpoint1989さんには、半年といわず、できるだけ早く復帰してもらいたいと願っている。
さて、更新停止にいたるいきさつについては氏が最近のいくつかのエントリで語っておられるのだが、そのうち、このエントリでは、匿名コメントに腹立たしさを感じた、というのがあった。匿名コメントの管理に時間が取られているのかなあ、と思ったが、匿名でコメントを残すというメンタリティに苛立つのだという。
時間を掛けて、自分の思考を文章にしていく。その過程で、自分の内面を多くの人に晒しているという感覚にもなる。リアルタイムで文章を発表し、それが読まれていくブログというフォーマットなら尚更だ。そのような状態で、ネットの向こう側から、誰とも知れない人々が、悪意のあるコメントを残していく。これは何とも不快で、standpoint1989さんの言うように、やられた人にしかわからない厭な感覚が残る。文章を売ることで生計を立てている言論人ならそういうリスクも引き受けようが、ブロガーの多くは素人である。物書きとしての覚悟がない、と非難する向きもあろうが、要するに実質的にもそれだけのリスクを引き受ける事への対価が少ないということなのである。
拙ブログでも「ブロガー燃え尽き症候群」というエントリで書いたのだが、アメリカの大物ブロガーには、コメント欄やトラックバックをオフにしているブロガーも少なくない。Instapunditのような超大物ブロガーだけでなく、最近よく読むAlthouseもコメント欄を廃止していて、彼女自身も時々コメント欄について語ったりする。その判断の基準だが、単純に、コメント欄の管理の時間がもったいない、という現実的な基準によるようだ。時々「オープンでない」という批判もあるようだが、日本のように「言論の自由を抑圧した!」というようなあからさまな非難にはならないようだ。これは、日本では「話せばわかる」というような、対話のために必要な共通の基盤というような幻想があるのに対し、アメリカにはそのような幻想はゼロに近いからではないだろうか。アメリカのブログにも「荒らしコメント」という意味で、trollという言葉が使われるし、「荒らしはスルーの方向で」というような共通理解があるのも同じ。ただ、日本のように、ブロガーが対抗処置としてコメント欄を閉鎖したりすると「言論弾圧」と言われて非難されるということはない。それは何ともやりきれない気がする。それによって、standpoint1989さんのような良質のブロガーが「ブロガー燃え尽き症候群」に追い込まれるのなら尚更のことだ。
(以上、私がstandpoint1989さんの思いを勝手に推測してのコメントということを明記しておく。)
日本の例では、finalventさんなんか、基本的にコメントがオープンだし、日記の方では丁寧に対応しておられる。ずいぶん耐性の強い方だなあと感心せざるをえない。ただ、誰もが氏のように仏の心を持っているわけではない。
私は、というと、ポリシーの欄で説明している通り、コメントとトラックバックを区別している。これは、トラックバックならば、ブログという形で、その人物(匿名、実名を問わず)の発言を通してみることが出来るので、どのような人格を相手にしているかわかるからだ。また、発言が残るとなれば、後で自分が恥ずかしくなるようなことは言わないだろう。最近は無料ブログサービスも増えたので、今まで以上にブログから発信することが容易になっている。ブログを持たない理由は、ない。
また、よくわからないコメント・TBは削除している。別に断りもしない。読んでいる皆さんとしても、書き手である私がコメント管理やらに時間と労力を取られてブログを辞めてしまったらつまらないでしょ?
他人の意見に反対するのは結構。また、他人の意見が許せなくて嫌がらせをする人が絶えないのも仕方ない。しかし、それに対して対策を講じたらファシスト扱いされるというのは、何とも困ったものだと私は思う。
【追記】このエントリの表題は、standpoint1989さんのブログが匿名コメントのために潰された、という意味ではなく、一般論としてのことです。念のため。
【追記2】「ブログ時評」は今度から『世界』に連載されるそうで。(via: muse-a-muse)あらら、団藤さんのコラムはMSM(大手メディア)的なニオイがするなあと思ったら…。ブログの本質は速報性(無編集)、双方向性にあると思うのですが。まあ、本論でのべた双方向性のデメリットについて私の考えは変わりませんが、ブログエントリがそのまま雑誌記事になるというのでは「ブログ」のメリットを生かし切っているとは言えないと思うんですが。